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ハグの力

私が活動で小学校に通い始めて最初に驚いたのは、
子どもたちがハグをしに駆け寄ってくることだった。

初めましての子ども達でも、「こんにちは~」とハグをしに走ってくる。
すごく可愛い。でも、全く警戒せずに大人に駆け寄る姿に少し不安を感じた。

学校の中なら安心だけど、外ではもう少し気をつけてほしいと思う。

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近所のフルーツ屋さんのおばさんは、私がハグをすると、たくさんの誉め言葉をかけながら、ハグをしてくれる。

「あ~かわいこちゃんかわいこちゃん!」みたいな。
(スペイン語の「可愛い」の表現がいくつかあるが、それを連ねてハグ)

道端で会うご近所さんといった仲だが、こんなにも愛情を与えてくれる。
力強い抱擁に、いつも多幸感に包まれる。

あの小学校の子供たちも、親御さんからこのような愛情を日常的に受けているのかな。

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語学学校の先生や同僚の先生から、
「日本って自殺が多いって聞くけど、どうして?」と尋ねられた。
どうしてと聞かれても困ってしまうが、自身の考えを伝えてもあまり理解されない。
「誰からも必要とされない。誰からも愛されない。」
といった考えに至ることはエルサルバドルではなかなかないのかもしれない。

最近、日本のメディアがエルサルバドルのギャングが収容されている刑務所を取材していた。彼らは殆どが終身刑で、よほどのことがない限り、刑務所の外へ出る事ができない。
生活環境も良いとは言えない。

インタビュアーが「そんな状況で、死にたいと思うことはないのか?」と尋ねると、「それでも、諦めたくない。生き続けたい。」と回答していたのが印象的だった。

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エルサルバドルでは、法律でも「子どもは愛される権利がある」と明記されていると、教員の隊員から教えてもらった。

■エルサルバドルの「子どもと青少年の包括的保護法」の一部要約
子どもの権利を包括的に定めた法律。この法律では、子どもが愛情を受け、家庭や社会で健全に成長する権利が強調されている。

第7条(子どもの権利の原則)
 「すべての子どもは、愛情をもって育てられる権利がある」といった趣旨の内容が含まれている。
第21条(家族の役割) では、子どもが愛情のある環境で育つことを保証する責任が家族にあるとされている。

子どもと青少年の包括的保護法(LEPINA, Ley de Protección Integral de la Niñez y la Adolescencia)

子供に愛される権利があるだなんて当然で、日本にもそのような法整備はあるだろうと思っていたが、子供専用の法律は割と最近にできたということを知って驚いた。(子ども基本法、2023年)

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子どもも大人も関係なく、愛情を言葉や行動で伝えることは、人間の生きる力になると思う。

直接的な表現をしない日本文化は美徳でもあるが、愛情については周囲の人に分かりやすく伝えるようになれば、日本でもっと生きやすくなりそう。

とはいえ、日本で直接的に愛を伝えるって少し恥ずかしい。
まずは帰ったら友人と家族にハグをしたい。

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