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地面師だけではない!海外にもある不動産取引の怖すぎるトラブルとは

 こんにちは。海外不動産投資家の宮脇さきと申します。

 私はお茶の水女子大学在学中に仮想通貨を購入し、仮想通貨の運用益で分散投資の一つとして不動産投資をスタートしました。

 21歳で国内投資物件を所有し、本格的に不動産投資の道に進みました。

 国内不動産は合計で3棟18室保有、シェアハウスで利回り30%超えの物件を運営し、その後いくつかの物件を売却し2000万円以上の売却益を出し22歳で世界へと視点を変え、現在はドバイ移住し、個人投資家として資産運用しながら投資家へのアドバイザー活動をしております。

 今回の記事では、実際にあった日本の地面師詐欺事件や海外不動産トラブルの具体的な事例、また地面師詐欺から身を守るための対策についての解説を行います。


地面師詐欺とは?

 そもそも地面師詐欺が何かを説明すると、他人の土地を自分のものと偽り販売し、相手からお金を騙し取るという詐欺になります。

 ここ最近では「地面師たち」という配信ドラマがNetflixで2024年7月に公開され、地面師という言葉が一気に日本中へと広まりました。これはフィクションではなく、2017年に実際におきた「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとして作られています。

地面師:地面師とは戦後すぐに誕生した言葉。戦争により役所の書類が燃えてなくなったことで土地の所有者がわからなくなり、他人の土地を自分のものと偽り売り始めたことが地面師の始まりといわれている。

地面師が増えるタイミングがある?

 例えば日本のバブルの時期(80年代〜90年代)には土地の値段が上がり、地面師詐欺が増えました。

 また最近でいうと、東京オリンピックの前には東京の地価が上がりました。土地の値段が上がれば一度の詐欺で儲かる金額も上がるため、地価が上がったタイミングに地面師詐欺は増えていくのです。

地面師詐欺の具体例。積水ハウスの地面師詐欺事件(2017年)とは

 この事件が起こった場所は、山手線五反田駅より徒歩5分ほどの場所で、古い旅館の跡地となっていた、広さがなんと2,000平米もある超一等地であり、被害額は55億円以上と言われています

 詐欺集団はこの土地を売却するために、土地のオーナーの女性が所有している付近の駐車場を借りるところから始め、オーナーの情報を集めながら動くタイミングを伺っていました。

 そしてオーナーが偶然入院した際、その敷地内に誰もいない状況になったところでなりすましの女性を準備し、その土地の売却話をいくつもの不動産業者へ持ちかけ、その中の一つである積水ハウスが飛びついたのです。

なぜ大手企業を騙すことができたのか?

 多額のお金が動く取引の際には多くの社員だけでなく、専門職の司法書士なども立ち会っていますが、詐欺師たちに皆騙されています。

 なぜ専門職の司法書士も欺くことができたかといえば、偽物の書類が非常に上手く作成されており、更には偽造された身分証明書のクオリティも高かったため、皆が騙されてしまったのです

 また売却時の本人確認の際、なりすましの女性はいくつかの質問に間違えてしまったのですが、例え本人だったとしても高齢でうっかり忘れてしまう可能性もあることや、地面師たちが上手くまくし立てたことにより、積水ハウス側はどうしても抑えたい土地ということで焦りが生じ、偽物と気づかずに契約を行ってしまったのです。

地面師詐欺は割が良い?

 地面師詐欺は一人で行うことはなく、各自が役割を割り振られているグループで行われています。またドラマとは異なり、実際の地面師たちが殺人を犯すということはありません。

 というのも、殺人を犯せば懲役何十年ということになりますが、詐欺の場合、そもそも立件することが難しく、懲役も5年ほどで刑務所から出てくることが可能です。

 つまり例え逮捕されたとしても、出所後に飛ばしていたお金を受け取ることができると考えているため、逮捕のリスクと天秤にかけて地面師詐欺を行っているのです。

 実際に積水ハウスの事件では、被害総額は約63億円くらいと言われておりますが、戻ってきたお金は約10億円くらいとなり、残りの50億円に関しては、海外のカジノや暗号通貨などで資金洗浄されており、日本の警察が追うことは不可能となっています。

 もし5年間刑務所へ入ったとしても、5年後に50億円を受け取ることができるのであれば、1年あたり10億円を稼いでいることと同じ状況になるため、地面師詐欺は割に合うと考えているのが地面師たちの特徴となります

海外にも地面師詐欺はある?

 海外では地面師詐欺というよりも、不動産トラブルで非常に多い事例として、土地を持っていると嘘をつかれて詐欺に巻き込まれる、また契約を行ったにも関わらずその物件の所有者が自分になっていない、などの話はよく聞く話です。

 特に海外の場合、その国の法整備や土地の登記簿の形式、そしてそれが本物か偽物かといったことは、初めて見る人にはわからないことばかりのため、その弱みに付け込まれて詐欺にあってしまう場合が多いのです。

海外不動産でもトラブルが…

 その方はドバイで不動産を購入し登記されました。登記自体は詐欺ではなく、物件自体も存在しており不動産登記は問題なく完了しました。

 この物件はプレビルドという完成前の物件だったため分割で支払いを行うのですが、その方は約80%くらいの代金を支払っていました。しかし資金的な事情により早めの売却を希望しており、友人の会社へ依頼し売却を行いました。

 売却後、お金が支払われるのを待つのみとなり、日本へ帰国するためにドバイ国際空港へ行き、イミグレーションを超えたところで、なぜかその人は身柄を拘束されました。

 なぜこのような事件になったかというと、物件を購入した際にしっかり登記はされていましたが、実は共同名義の物件だったのです。そのため、共同名義となっていた別の人物から通報され逮捕されたというわけです。 

 そしてドバイの刑務所で数ヶ月過ごしていたときに共同名義の人物が現れ、もし刑務所から出たければ、共同名義となっている権利を全て手放すよう話を持ちかけられました。手放さなければ裁判をすると脅されたこと、また早く刑務所から出たかったため、共同名義の権利を手放してしまったのです。
 
 しかし物件購入時に借金をして購入しており、売却益も当然入らないため、負債のみが残った上に泣き寝入りすることになりました。

なぜこのような被害にあったのか?

 今回の不動産トラブルにあった大きな原因として、被害者は英語をほとんど読むことができなかったことがあげられます。

 英語がわからず契約書内容を理解せずにそのままサインをしてしまったのです。

 英語を理解してしっかりと契約書を読んでいれば所有者の箇所が共同名義となっていることに気づいたかもしれませんが、内容を把握せずに自分だけの物件と勘違いして支払いを続けていったのです。

地面師詐欺から身を守る方法とは?

 海外不動産トラブルや地面師詐欺から身を守る方法はいくつかあります。

①取引相手の素性を確認する

 突然自分の前に現れた不動産や、また検索しても確認できない仲介業者などには要注意となります。

 特に仲介業者は物件購入後のアフターフォローなど、非常に重要な存在となるため、必ず信頼できる仲介業者から購入することが安全です。

 例え仲介業者が日本人であったとしても、海外では日本人を狙って詐欺を働く日本人がいるため、投資家仲間の間で評判が良く、経験がありリピートされているような仲介業者を探す必要があります

 これがもし国内不動産の場合であれば、宅建業の免許番号を見てみることも一つのポイントになります。業者のHPを見ると、括弧して1、2、3といった数字が書いてありますが、これは開業後に何度免許更新を行っているかを表しています。

 免許の更新は5年に一度あり、これにより何年間営業しているかがわかります。ただしこれにより全てがクリアになるわけではないので、しっかりと相手の素性を調べておきましょう。

②徹底した現地調査を行う

 物件購入時に物件を見ずに購入することはやはり危ないので、実際に現地へ行き、物件の確認できるところは全て確認し、更に周辺に住んでいる人たちに聞き取り調査を行うくらいの気持ちを持って購入する必要があります。

 例え現在賃貸中の物件を購入するオーナーチェンジであったとしても、共有部分や物件の外観だけでも見た上で、しっかりオーナーと話をすることを推奨しています。

 なぜ現地へ行き話をすることが大切かといえば、相手が詐欺師かどうかを見抜くために雑談を行い、雑談の中にあるかもしれない怪しい部分などを見抜く必要があるからです。

 雑談は契約に関係ないためしないのではなく、物件を購入するのであれば、購入相手がどのような人物かも確認しましょう。

③第三者の客観的意見をもらう

 普通に考えて、不動産取引には莫大なお金が動きます。だからこそ考える時間と第三者からの客観的意見がとても重要となります

 自分だけで判断したり、相手に主導権を渡してしまうことで、焦りが生まれ流されてよく調べずに契約してしまうことがあります。

 良い物件は足が速いことも確かですが、自分だけの判断に流されず、客観的な意見をもらいながら自分が主導権を持って取引を行うことで、地面師詐欺にあうリスクを低くすることが可能になります。

プロフィールさき@海外不動産
海外不動産投資家・海外移住コンサルタント
1997年宮崎県生まれ。UAEドバイ在住。お茶の水女子大学在学時に、暗号資産投資で利益を出し、分散投資の一つとして不動産投資をスタート。日本国内に複数の不動産を所有、国外はジョージア、トルコ、UAEに不動産を所有。富裕層向けの海外移住支援も行っています。現在は、個人投資家として資産運用をしながら、富裕層、経営者、投資家への資産コンサルティングのほか、海外移住のアドバイザーとしても活動。チャンネル登録者数6.87万人のYoutubeチャンネル「さきの海外不動産しか勝たん」、「さき@海外不動産オフィシャルサイト」、「さき@海外不動産 X」を運営。