聖人のふりをした小人
まるで聖人のような顔をして、誰がきいても美しいと感じそうなことをぺらぺらと喋っていた私を思い出して大爆笑した。
そのときの話し相手も、同じように、聖人のようなことを喋っていた。
でもお互い、本当は腹の中で、「そんな話聞きたくねー」「嫌だーー!!」
が渦巻いていたのだ。
しかし、当人たちには、自分に嘘をついている自覚はない。
それどころか、「自分に素直に生きる」ことを最優先にして生きている。
しかし実際、彼らは自分の腹の声を聞けていない。
その腹の中の声に気づくのは、後になってのことになる。
その腹の中の声は、目の前にいる相手に対するディスが含まれるものだ。
私はこの経験から、「目の前の相手を否定する感情は、その場では出てきづらいのかもしれないな」ということを知る。
なぜなら、その場を離れた後になって、「あの時、嫌だったな」という感情が、私はやっと自覚できたからである。
今思えば、綺麗に外面だけを装って、内側はぐっちゃぐちゃな二人。
それを思って、大爆笑した。
「気持ち悪っっっ笑笑笑」
という言葉に尽きる。
なんか、気持ち悪かった。
なんであんなにいい人のふりしちゃったのかしら。
むしろ、自分をズタボロにしたくて、気持ち悪いことを相手に言わせていた気すらする。
ズタボロを経験したかったのかな。
ドMかな。
その相手にまた会うかはわからないけど、もしまた会うなら、
お互いもうちょっと人間臭く、聖人のふりはせずに、
「あれは気持ち悪かったわ」とか、
「そんな話聞きたくねーよ」とか、
言える関係でありたい。
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