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文通ラジオ第11回目_3歩進んで10歩下がる【さき】

こんにちは。
文通ラジオ第11回目。今日はさきがお届けします。

皮膚をジリジリと照り付ける暑い夏がようやく終わり、冷たい空気が頬を撫でるようになりました。

極端な寒暖差に体が疲れる日もありますが、季節はすっかり秋。わたしは秋が大好きです。皆さんは秋らしいこと、何かしていますか?

「読書の秋」「食欲の秋」はよく言いますよね。私は栗とさつまいものケーキを食べました。友達におすすめしてもらった本も少しずつ読んでいます。

それ以外でいうと、「勉強の秋」も。自分が抗うつ薬を飲んでいるのもあって、改めて少し薬の勉強をしてみようと思い、本を買って勉強をしています。

皆さんの「〇〇の秋」も、ぜひ教えてください。

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今回の文通ラジオは、東京から金沢に帰る新幹線の中で書いています。距離にして約450km。新幹線かがやきに乗れば3時間も経たずに着いてしまいます。

旅の記憶が薄れないうちに、1年前との気持ちの変化を、新鮮なうちに書き残しておきたい気持ちもあってスマホに手を伸ばしました。

今回の旅のメインは、もうすぐ1歳半になるわたしの甥っ子。会いたい人に会う旅です。1日目は友達とお喋り。2日目からは甥っ子と過ごしました。一緒に電車に乗ったり、葛西臨海水族園でお魚を見たり、手を繋いで公園をお散歩したり、おもちゃで遊んだり、ご飯を食べたり。

正直にいうと、わたしは子どもってあまり得意ではなかったんです。可愛いなとは思いつつ、どう接したらよいのかわからなくて。あとなんとなく、こちらを見透かしているような一瞬の眼差しが怖く感じるのもあって、あまり子どもと遊ぶ機会を作ってきませんでした。

でも甥っ子が生まれて、子どもってこんなに可愛いんだなということを知って。甥っ子だからというのもあるかもしれませんが、もう、何をしても可愛いんですよね。歩いてもしゃがんでも、泣いても笑っても癇癪を起こしてもうんちしても、可愛い。

周りの大人がリラックスして笑っていると、子どもも自然と笑顔になってくれるんですね。逆に周りの大人が険しい顔をしていると笑顔にはならない。子どもって何も分からないようでいて、とっても繊細で敏感です。言語化できないだけで、日々色んなものから情報をキャッチして、毎日一歩、また一歩大人に近づいてる。

嫌なら嫌な顔をするし、嬉しければニコって笑ってくれる。成長が楽しみだけれど、ゆっくり大人になってほしいな。そんなことを思いながら3日間彼の背中を追いかけました。

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第10回目のあづ妙さんから、

「もしもあのとき、ああじゃなかったら」「もしもあのときああなっていたら」と思うことってありますか?

文通ラジオ第10回目より

と質問を受けた時、真っ先に浮かんだのは「もしもあの時金沢に戻っていなかったら」ということでした。

去年の5月に長年住んだ金沢を離れ、仕事は東京、住まいは神奈川の生活を始めました。あんなに住んでみたかった都会での生活が苦しくて、ちょうど1年前、東京から金沢に戻る決断をしました。

金沢での生活を再スタートさせてからおよそ1年。崩してしまった体調を立て直しながら、最近は少しずつ仕事の量を増やしています。

今回の旅が決まってから、久しぶりの東京、心から楽しめるだろうかと心配する自分もいました。でもそんな心配なんて必要なかった。会いたい人に会えて、甥っ子ともいっぱい遊べて、都会の空気を感じて。とても楽しかったんです。来てよかったなと思いました。

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もしも1年前金沢に戻っていなかったら、たぶんわたしの生活は破綻していたと思います。都心部で生活を始めてからは精神面がボロボロでした。仕事には行けなくなってしまうし、家賃も高くて毎月支払えるか不安で堪らなかったし、朝から眠りにつくまでずっと胸が苦しくて、心身共に健康ではなかった。

健康であることの大切さ、日々を笑って過ごせることの幸せを、30歳にして改めて痛感しました。

もしかしたら、住んだ場所が良くなかったのかもしれないし、仕事と生活、全てをいきなり変えたのが良くなかったのかもしれない。反省点は色々あります。

自分を過信せず、もう少し慎重に土台を固めながら物事を進めるべきだったのかもしれない。そうしたらもっと違う今を生きていたかもしれない。出会えなかった人と出会えたかもしれない。仲良くなれなかった人と、仲良くなれたかもしれない。

でも、それは全てたらればの話で、実際どうなっていたかなんて誰にも分かりません。わたしはその時その時、最善だと思う選択をして生きてきたと、それだけは自信を持って言えます。
だから過去の自分は責めない。今の自分が笑えて生活できているかどうか、それを大切にしたい。そんなことを思います。

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この先金沢で一生を終えるとか、そういうことまでは考えていません。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
先のことは誰にも分からないけれど、時々こうして都会に足を運んで、会いたい人に会って、都会だからこそ見られる景色を見る時間は作りたいなと思っています。それはきっと、わたしを笑顔にさせると思うから。

そして東京だけでなく、色んな場所へ行ってみたいとも思っています。ずっと行ってみたいと思っているのは、国内なら屋久島。海外ならインドとフィンランド。最近は台湾も気になっています。
その為には、仕事も無理のない範囲で頑張らないと。自分が心地よく生活できるよう、もっと自分で自分の機嫌を取れる人になりたいです。

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半年前、まだ歩けなかった甥っ子はいつの間にかひとりで歩けるようになっていました。3歩進んだら10歩戻る。こうして少しずつ大人になって時を重ねてゆくのだなあと、わたしは少し涙目になって、でも甥っ子が笑顔で振り返ってくれるから、わたしもまた笑顔になれる。

こんなことで涙が出そうになるなんて、わたしも歳をとったのでしょうか。もうすぐ32歳。変に力まず肩の力を抜いて、甥っ子みたいに一歩一歩ゆっくりでも着実に、毎日進んでいきたいなと思うのです。

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今回はここまで。
12回目のあづ妙さんがどんな言葉を紡いでくれるのか、また楽しみに待ちたいと思います。

▶次回更新:2024年11月中(担当_あづ妙)


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