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#048.42歳のクリームソーダ。

自分を甘やかしてみた話。

家で仕事をするようになり、妻や娘の行動を目にする機会が増えた。

意識して観察しているわけでもないが、あれね。うまーく差し込んでるのね、生活の中に【おやつタイム】を。

家事や用事が一段落したらスイーツ。宿題やピアノが終わったらグミやポテチ…。「彼女らは、生きるのが上手いんだな」と感じる。自分の機嫌を自分でとって、気分の上下を減らしているのだろう。

ある日、運転中にその事を思い出し、おやつを食べることにした。しかし、普段おやつを食べる習慣は私にはない。何、食べたらいいんだろう…?

しばらく逡巡したのち、幼い日の記憶が蘇る。

映画館の帰り。じいちゃんばあちゃんに連れられて、洋食レストランで食べたクリームソーダ。魅惑的なライトグリーンに、輝くホワイトが鎮座まします、アレだ。

クリームソーダ、食べたい…。

しかし、クリームソーダなど何年ぶりだろう。どこで食べられるの?ファミレス?コンビニ?どうせならちゃんとしたのを食べたいぞ。さっそく検索だ。

なかなかいい感じの店に出会えない。セブンイレブンの駐車場を借り、Google先生と格闘することしばし。一件ファミレスを発見。さっそくメニューのページを開く。あった!よし、ここだ。現在地から約10分。グル(GoogleMap師)の導きに従い、アクセルを踏む。

到着、入店。窓際の席に案内される。テーブル担当は妙齢の女性だ。渡されたメニューを開く。

「…あれ?」

ない。ない、クリームソーダがない!
すわ見間違いか。他のページをめくる。やっぱりない、ない、ない!!!!

初対面コミュ障気味の私だが、これはピンポンを鳴らさざるを得ない。妙齢さんが笑顔でやってくる。ご注文はお決まりですか?

「あの~クリームソーダって、、、ないんですかね…?」

「クリームソーダ…でございますか?」

奇妙な沈黙。

彼女の中に、クリームソーダを注文するおっさんのイメージはなかったのだろう。顔に「戸惑い」という文字が浮かぶ。その文字を読んで急に恥ずかしくなる私。

「やっぱり、ない。。。んですかね…(汗)?」

「そうですね…クリームソーダは当店では‥‥。」

google先生、あんたウソつきだ!!と糾弾したくなったが、やめておいた。ここで感情を高ぶらせたところでクリームソーダは出てこない。まして「なんでや!ホームページには載ってるやんか!!ほら、ホラ!!」とクレームを入れる42歳おっさんは客観的に見てキモイ。

キモくなりたくない私は、接客のプロである彼女にたずねた。

「じゃあ…何か代わりのもの、ありますかね…?」

彼女がオススメしてくれたメニューは「いちごパフェ」だった。


…違う、そうじゃない。

違うのよ、それとは!!!

あの、メロン味といいながらメロンとは程遠い甘酸っぱさと、若干安っぽいラクトアイス感満点のクリームが溶けあう、あのクリーミーで優しい甘さを欲してるのよ、ワシは!!!という熱い思いを胸に秘め、発した言葉は

「う~ん、いちごパフェかぁあ…う~ん…」

ふと、いちごパフェの横にあるメニューに目がとまった。「ダブルチョイスアイス」。なんかクッキーもついているぞ。そして、頭にあるアイデアがよぎる。

庶民の味方「ドリンクバー」だ。

ドリンクバーには「メロンソーダ」が大概あるだろう。これと、これを合わせれば!?自分でクリームソーダが作れるんじゃね~!?


これだ。


妙齢さんと目を合わせる。

「…ドリンクバーにメロンソーダありますよね?」

どうやら意図を察してくれた彼女。「ドリンクバーと‥ダブルチョイスアイスで、よろしいですね?」‥‥答えはもちろんYESだ。

しめて税込924円。予算の約3倍だ。しかも、自らメロンソーダを注入し、アイスをのっけるという作業も含まれる。割に合わない気がするが、いたしかたあるまい。

となりの家族連れからそっと隠すようにして食べた自家製クリームソーダは、なんとも甘く切ない味がした。しかし、人生で一番うまいクリームソーダだった…かもしれない。

翌日。マクドナルドで「マックフロートメロン」(税込320円)を発見し、いいようのない脱力感を味わったことも付け加えておこう。

…思いのほか長くなってしまった(笑)

ま、たまにはこんな風に自分を甘やかしてみると、面白い経験ができていんじゃないでしょうか。


ほな、また。

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ミョウガヤノブヒサ
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