姪っ子がリベンジャーズだった話
私には4才になる姪っ子がいる。
弟の子どもで、私が実家に帰っている際、たまにタイミング良く遊びに来ていて会える時がある。
とにかく元気で天真爛漫、家の中をドドドドドドドド!!!と爆音で駆け巡る非常に元気な女の子だ。
シルバニアやリカちゃんといった遊びにはあまり興味がないらしく、突如エクソシストばりのブリッジを披露したり、激しめの謎ダンスを踊りこなすといったアクロバティックな遊びが好きらしい。
戦いごっこ的な遊びで細身の弟(パパ)に挑む姪っ子を見ていた私。
もしもいつか弟が姪っ子に何かくだらん事でも言おうもんなら、彼女が一発で弟をシバけるようになるまでにそう時間はかからなそうだと思った。
もちろん、強くとも心の優しい彼女は、いずれヨボヨボになった弟をどこへでも背負って歩いてくれるような、そんな子に育つであろう。
そもそもそんな心配は無用である。
バン!ドン!ドドドドドド!ガシャガシャ!
おもちゃや床や壁でひとりオーケストラを奏でながら元気に遊ぶ、可愛い姪っ子。
フルートやトライアングルではなく、間違いなく打楽器。
いつもそんな風にして、素敵な演奏と笑顔で私たち大人の汚れた心を清く楽しくしてくれる、天使のような存在なのだ。
そんな姪っ子が最近会う度、何かをよく口ずさむようになった。
私が言えたことではないが、まだ日本語のひよっこである姪っ子がなんと言っているのか、理解するのに少々時間がかかる時がある。
「を〜まれって〜♩」
だいぶ上機嫌で口ずさんでいる
。
よくよく聞いてみると、
「ぐら〜を〜まれってぇ〜♩」
「むなぐら〜をつか〜まれってぇ〜♩」
え?
「きょ〜れつ〜なパーンチを〜♩」
リベンジャーズ?!
♩胸ぐらを掴まれて
強烈なパンチを
食らってよろけて
肩を並べうずくまった
〜
イカツっっ!!!!
姪っ子は喧嘩上等、まさにリベンジャーズだった。
いや既に4才にして同級生向かうところなしレベルの力をもってのリベンジャーズはまずいのよ!
つたない日本語でバチクソ物騒なこと言ってんのよ!
絶対シバかれるじゃん、弟!!
こりゃまじ卍だよ…
姪っ子はYouTubeで繰り返し東京リベンジャーズの曲を流しながら、自分も合わせて歌うというスタイルで自主練に励んでいたらしい。
卍会のメンバー同様、根がマジメだ。
さっそく流れてきたYouTubeに目をやると、なんだかよく分からないが恐らくタイ人らしき人たちが、絶妙な抑揚とイントネーションの日本語でリベンジャーズソングを歌い踊っていた。
そのタイ人らしき人たちのリベンジャーズソングをお手本にして型がついたためか、姪っ子の歌い方もかなりオリエンタルで独特なものとなっていた。
しばらくリベンジャーズの歌にハマり続けた姪っ子は、徐々に歌える歌詞の部分が長くなっていった。
何度胸ぐらを掴まれ、パンチをくらい、肩を並べうずくまったことか。
しかし、子供の飽きというのは早い。
気が付けば、リベンジャーズの歌はめっきり歌わなくなった。
「はぁぁあ!うっせぇうっせぇうっせぇわ!!!!」
今度ははっきりと聞き取りやすい発声で、
Adoの「うっせぇわ」を習得していたのだった。
♩はぁ?
うっせぇうっせぇうっせぇわ
あなたが思うより健康です
〜
これ食べなさいあれ食べなさいと言わなくても、
彼女は思うより健康です。
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