選ばれし神童の音楽を聴いた、選ばれし上品で凛とした煌めく日本酒に出会った
こんにちは。
お酒と音楽(と、ミッシェル・ガン・エレファント)をこよなく愛するライターのあべと申します。
名曲酒場では、音楽大好きなライターあべが、音楽に関係する日本酒や日本酒の音楽的な見方、そしてオマケで偏愛を執筆していきます。
毎月10日「日本酒×音楽」コラム、名曲酒場あべ、8月も開店します。
一応、あべの専門はクラシックです
今回ご紹介する日本酒は、燦然 純米大吟醸原酒 40磨。
某私鉄民の東京への玄関口・秋葉原にある”日本百貨店しょくひんかん”を物色していた時に瓶の可愛さに目を奪われたのが、出会いのきっかけでした。
音楽に関係ある日本酒を選びに来たにも関わらず、ハーバリウムのような六角形の華奢な瓶に一目惚れ。
「え、可愛い。買って帰ろ。」
どんなお酒なのだろうと、ポップを見ると、”モーツァルトの流れる蔵で醸造された”と書いてあるではないか!
偶然にせよ、嬉しい。
突然ですが、私は小学生の頃からオーケストラや室内楽をやっている生粋のクラシックプレイヤーなのです、一応ね。
小学生の頃はクラリネットを、中学生からはヴィオラを担当しています。
Twitterのアイコンで、私が小脇にしっかり抱えている、あの楽器です。
アベさんアベさん言っておりますが、ギターは全く弾けません。
それゆえ、クラシックには少しは詳しいつもり、ミッシェルガンエレファントよりも少し詳しいのです、実は。
クラシックを語ったら割と止まらない。
そして肝心のモーツァルト作品、ディベルティメントの1楽章と3楽章、オーボエ協奏曲の1楽章なんかを弾いたことがあります、ちょいと少なめ。
誰からも親しまれ愛されている、華やかで明るいモーツァルトの曲。
そんなモーツァルト作品を聴いた日本酒は、どのような味がするのでしょうか。
人間ならば、ずっとモーツァルトを聴いていたら心が穏やかに豊かに育つはず。
日本酒データ~菊池酒造 燦然 純米大吟醸原酒 40磨
菊池酒造は、岡山県倉敷市にある創業明治11年の酒造です。
”数多くのお酒の中でも一段と輝く素晴らしい酒であるように”という願いを込めてつけられた酒銘である「燦然」。
蔵ではモーツァルトの音楽を流し、山田錦、雄町、朝日、アケボノなどの米と、高梁川流域の水と、杜氏さんの技で、”品質本位”をモットーに、伝統を遵守した酒造りをしています。
岡山県内だけでなく県外、そして海外にも積極的に出荷しています。2013年にはアメリカに進出し、その後はオーストラリア、中国、シンガポール、イギリスへ輸出しているとか。
蔵元自らが顧客先に向かい、お酒の特徴や楽しみ方、日本酒消費動向まで紹介しているそうです。
また、特定名称酒や(大)吟醸・純米(大)吟醸といった比較的高価な清酒の売上が多いことも、菊池酒造の特徴です。
近年は、品質をさらに向上させるべく、設備投資も積極的に行っているそうですよ。
そして菊池酒造さん、杜氏さんがとても個性的で知的なのです。
五代目の菊池東さんは、オーケストラの指揮者、そしてヴァイオリニストとしても活躍。酒蔵のイベントでは、音が反響しやすいという蔵の構造を活かして自ら指揮や演奏をすることもあるのだとか。
六代目の菊池大輔さんは、もとはロボットの研究をしていた理系男子!ロボットの知識を活かした酒造り、首都圏への販路開拓、輸出事業などの新規企画をこなしているのだそう。
今回用意した燦然 純米大吟醸原酒 40磨ですが、特筆すべきは、やはりモーツァルトの音楽を聴かせて醸造していることですよね。
モーツァルトの音楽から出る高周波が酵母に刺激と快感を与え、酵母がいきいきと育つことによって、五代目が理想とする”旨味があってキレの良い酒”を実現しています。
菊池酒造さんの公式HPは、こちらをチェックしてみて下さいね。
燦然を味わう
フタを開けた瞬間、日本酒かと疑うほどのフルーティーでスッキリとした良い香り。
本当に、何かのアロマのような良い香りがします。
個人の感想ですが、ナシがベースのフルーツの後に、ほんのりバニラ。ちょっと良いリゾートのアロマとも言えるし、決して甘ったるいわけでなく、あくまで最高に上品な、すれ違いざまに甘い香りをふっと残す貴婦人のようとも言える。
山田錦を使用した40磨の燦然、飲めばお米のうまみが口いっぱいに広がります。
それでいて口当たりは、絹のように滑らかで、スキっと計算しつくされた繊細な軽さ、ウットリ味わっているとほんのちょっとだけ鋭さが垣間見える。
味わって夢心地になっているところに、「ちょっと待てよ、もっと冷静に味わってくれ、美味しいのだから」と、主張せずにそっと軌道修正してくる、聡明さすら感じてしまう。
お米の味がダイレクトに襲ってくるのではなく、凛とした上品な旨味だけがしっかり。
選ばれし美しさといったところでしょうか、綺麗なところだけをしっかり押さえているのです、もはや感動的。
だから、くどさが全く無く、驚くほど後味がスッキリしています。
そして時間が経つと、ほんのりと心地良い旨味だけが残る。
まるで、楽しさを振り返りながら名残惜しそうに、でも清々しい気持ちで家路につく、コンサートの後を思い出しました。
うすい琥珀色は、まさにモーツァルトの音楽を彷彿とさせる煌めきと上品さ。
私は貴族の衣装に使われる金糸をイメージせずにはいられませんでした。
合わせるアテは、モーツァルト
これを書くために気分を上げようと、楽譜を引っ張り出してきてディベルティメントを弾きました、昨日。
自分が弾いていても素敵な音の並びから刺激を与えられ、ニッコリ笑顔で楽しくなってしまうモーツァルト作品。
そう考えると、酵母も生き物なのだな、と実感するのであります。
さて、アテはもちろんモーツァルト作品ですが、有名どころでは、きらきら星変奏曲や、トルコ行進曲、アイネクライネナハトムジークなんかが挙げられると思います。
のだめカンタービレを見ていた方なら、2台のピアノのためのソナタも外せませんね。
オペラ作品である「フィガロの結婚」や「魔笛」の序曲も、大変に華やかな管弦楽で演奏されますよ。
一度は耳にしたことのある曲から、少しコアな曲まで、一貫して華やかで軽くウキウキしてしまうようなモーツァルト作品。
是非、お気に入りの1曲を見つけてみて下さいね。
そんなあべ、お気に入り曲のひとつであるフィガロの結婚序曲を聴きながら意気揚々と執筆しています。
いや、待てよ、交響曲40番の少し緊張感のある弦楽器の響きも、合う…。
ヘッダー画像は、曲なりにもモーツァルトを奏でたことのある私の愛機と一緒に撮ったものです。(こんなのモーツァルトじゃない!と、お酒がお怒りかも知れないですが…)
まとめ
今回は、菊池酒造 燦然 純米大吟醸原酒 40磨を紹介しました。
来月10日も、美味しい日本酒と素敵な音楽で、あなたをおもてなししちゃいます。
次は何を聴こうかしら、クラシックの予感。
お楽しみに!