酒粕と甘酒について
ゆるゆる日本酒教室、第89回目の今回は【酒粕と甘酒について】のお話です。
みなさんのご近所には、酒粕が手に入る場所はありますか?
スーパーだったり、酒屋さんにもある酒粕。
酒粕は、日本酒といわば表と裏のような関係です。
日本酒はその製造過程で、もろみ(醪)から搾って液体と固体に分けることになります。
いわゆる「しぼり」という工程です。
もろみとは米・麹・水が混ざった発酵させている途中のものです。
見た目は「おかゆ」みたいな感じです。写真をご参照ください!
もろみを搾って分けたうち、液体が日本酒、固体が酒粕になります。
また、もろみをそのまま飲用とすれば、「どぶろく」と呼ばれます。
「じゃあ酒粕は日本酒を作った後のただの残り物、文字通りの搾りかすなの?」
と、思ったそこのあなた!
いやいや、侮るなかれ。
酒粕は発酵の過程で生まれた栄養素が凝縮されているものであり、さまざまな活用ができます。
そのまま食べてみたり、カリカリに焼いてみるのもOK。ヨーグルトにディップして食べると、結構美味しいですよ。(乳酸と乳酸の相乗効果!)
また、粕漬けにした魚や野菜は酒の肴に抜群。
鍋にいれた酒粕鍋、汁物に入れた粕汁は、寒い時期には身も心も温まりますね。また、酒粕をさらに別の日本酒を作る時に使ったり、残ったアルコール分を抽出して焼酎を作ることもあります。(いわゆる粕取り焼酎)
そんな、リサイクル・リユースの精神にあふれる酒粕。
代表的な利用法が、みなさんもご存知の甘酒です!
甘酒の作り方は2つ
・酒粕を溶かして作る
一つ目は酒粕を水で溶かし、砂糖を加えて作る方法です。
酒粕を使用するので、わずかながらにアルコールが含まれたり、作った後にお酒の香りがすることがあります。
そのため、お子さんや妊婦の方、お酒が飲めない方が飲む時には注意が必要です。
・米麹を使用して作る
そして二つ目は、米と米麹を混ぜて発酵させて作る方法です。
米麹の発酵により、お米のデンプンがブドウ糖・オリゴ糖に変わるため、砂糖を加える作り方よりも自然な甘さを感じることができます。酒粕で作る場合と異なり、**こちらはノンアルコールなので、子どもや妊婦の方、お酒が飲めない方でも大丈夫です。**また、甘酒は飲む点滴とも言われます。
その由来は、含まれる豊富な栄養素。代表的なところを挙げますと、
ブドウ糖:脳や体へのエネルギー源
必須アミノ酸:疲労回復・安眠効果
ビタミンB群:代謝促進
食物繊維:たまった老廃物の排出
コウジ酸:美肌効果
などなど!どこか、みなさんにも響くところがあるのではないでしょうか。
甘酒=実は夏の季語!?
今では冬に飲むというイメージが強い甘酒。
実は夏の季語で、江戸時代の時点で、今で言う5月-8月にあたる旧暦の夏に、甘酒がすでに栄養ドリンクとして飲む習慣があったと言われています。
もちろん当時は、詳細な成分研究ができたわけではありません。
それでも、「甘酒を飲むと、なんだか調子がいい」というのを実体験していたのでしょうね。
さらに、甘酒にまつわるエピソードをもう一つ。
「木花咲耶姫」(このはなのさくやひめ)という神様をご存知でしょうか?
神の中でも最も美しい女神とされ、富士山に住む山の神とされています。
この神様、実は子育ての際にお乳の代わりに甘酒を飲ませたという神話があり、そこから、安産・子育て・酒造繁栄の神様とされています。
甘酒はそのまま飲むだけではありません。
・牛乳や豆乳を入れるようなシチュエーションの時に、甘酒で代用
・果物とヨーグルトを入れてスムージーのようにする
そんな飲み方もありですよ!
1日が始まる朝食時に。
運動やお風呂・サウナ上りなどの汗をかいた後に。
休肝日に。
そんな時に、甘酒はいかがですか?
自分で作るのが大変、という方は、いろいろなメーカーから市販されていますので、手に取ってみてくださいね。
▼個人的なおすすめはこちらの甘酒です▼
それでは今回はここまで!
日本酒コラム『ゆるゆる日本酒教室』
日本酒コミュニティ「酒小町」
20代から30代の「お酒の場と、交流が好き」な人たちが集まる日本酒コミュニティ『酒小町』。「日本酒好きのあそび場」をコンセプトに、年齢も職業もバラバラの個性豊かなメンバーが乾杯するだけでなく、自分たちであそびを企画したり、日本酒について学んだり......誰もがホッと一息ついて自分らしくたのしめるようなサードプレイスをつくっています。
『酒小町』は、毎月1日〜10日の期間にメンバー募集をしています。
募集開始時にはLINEアカウントでお知らせをしているので、ぜひ登録して続報をお待ちください!
コミュニティ内にはこのnoteのように、講義の形でない日本酒の知識を唎酒師さんがゆるゆる共有してくれるコラムがあります。美味しく、楽しくをメインにしていますが、こんな風に日本酒の知識を身につけながら飲むお酒もまた格別ですよね。
今回コラムを書いてくれた社会福祉士×日本酒学講師のダイゴさんのnoteはここから読めます。日本酒以外の話題も含め、優しくてわかりやすい文章が特徴です。
酒小町制作メンバー
執筆:ダイゴ|社会福祉士×唎酒師・日本酒学講師=Sake Social Worker(note)
ディレクション:関谷サイコ(X/note)
企画:卯月りん(X/Instagram/note)
編集:makio(X/note)