奈良の酒店『なら泉勇斎』で好みの日本酒を見つける旅
皆さまこんにちは。
ご当地の名物やお酒を楽しむための旅行が好きなおひぐです。
このコラムでは毎月15日におひぐが出会った美味しいお酒と食べものを、旅を絡めてお届けします。
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今月の舞台は奈良県。
古都として歴史のある奈良県は水も綺麗なので、古来より伝わる珍しい作り方で作られる日本酒がたくさんありました。
奈良の旧市街ならまちを歩いていて見つけた酒店『なら泉勇斎(いずみ ゆうさい)』。
奈良県にある29の酒蔵の120種類ほどの日本酒を取り扱っているだけでなく試飲もできるので、気に入った日本酒をそのまま買って帰ることもできるのです。
有料試飲はグラス1杯50mlほどで200円から。
日本酒だけではなく、奈良漬けやクリームチーズなどのおつまみもあります。
今回は私が試飲したお酒の中で特に印象深かったものをご紹介します。
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芳村酒造『千代の松 純米無濾過原酒八段仕込み』
紹興酒のような、カラメルのような独特な香ばしさの旨味がありました。
精米歩合(お酒作りで玄米を精米する際に残す白米の割合)が95%だったので、雑味があって荒々しい味なのかと思いきや意外とマイルドな味わいでした。けれども後味はしっかり残るので、好みは分かれるかもしれません。
(ちなみに普段食べている白米の精米歩合は92%ほどだそう。)
あまりお米を精米してないにも関わらずマイルドな味わいを感じられる理由は、古代の文献でも確認できるほどの歴史がある『八段仕込み』という工程を踏んでいるからです。
一般的な日本酒は『三段仕込み(あらかじめ仕込んでおいた酒母に水、麹、蒸米を3回に分けて加える工程)』で作られます。
『八段仕込み』は三段仕込みが終わった後、さらに五回お米を加えます。お米を加える工程を繰り返すたびに酵母は死滅し分解され、糖分としてお酒に残るのです。
奈良県特産の酒米『露葉風(つゆはかぜ)』と日本酒を作る際の酒母も奈良県桜井市にある大神(おおみわ)神社のササユリから採取した『山乃かみ酵母』を使用している、なんとも奈良づくしの日本酒でした。
菩提もと作りの飲み比べセット
試飲は単品だけでなく、2種の飲み比べセットもありました。
今回は初めて耳にした『菩提(ぼだい)もと作り』の日本酒飲み比べセットを試飲してみることに。
『菩提もと作り』とは、室町時代(1400年初め)から行われているお寺での醸造のことです。
菩提もと作りでは蒸米と生米を水に浸けて乳酸菌を繁殖させた水『そやし水』を使って日本酒を作るのが特徴です。
菊司醸造『菊司 菩提もと純米酒』
口に含んだ瞬間、ギュッと濃縮されたお米の味がしました。しかし飲み込んだ後には口の中の不思議な味わいがスッキリ消えている、なんとも不思議な日本酒でした。
乳酸菌のおかげか、くどさを感じずサッパリとした味わいでした。
倉本酒造『菩提酛 つげのひむろ』
日本酒特有のアルコール感が少なく、クセのないスッキリした味をしていました。
旨味が強いので、塩味の強いものと合いそうだと感じました。
油長酒造『風の森 露葉風 507』
奈良県の西部中央にある御所市の風の森峠のふもとで作っている日本酒です。
日本酒を絞った後に加熱処理をしない『生酒』なので微発酵していて、しゅわしゅわとした口当たりでした。
洋梨のようにまろやかな甘みがありました。
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今回はならまちの酒店『なら泉勇斎』で試飲した、少し風変わりな奈良県の日本酒をご紹介しました。
他にも飲みきれないほど多くの奈良県特有の日本酒があったので、奈良に行った際はぜひ立ち寄って自分好みの奈良の地酒に出会ってくださいね。
【店舗名】
『なら泉勇斎』
住所:奈良県奈良市西寺林町22
公式HPはこちら