滝澤酒造『菊泉 ひとすじロゼ』の酒造りにおける、スパークリング日本酒への熱い想い
お祝い事や記念日などのちょっとした贅沢にぴったりなお酒といえば、シャンパーニュやスパークリングのお酒ですよね。
最近では日本酒でもスパークリングの商品が増えてきています。
今回はほんのりピンク色で華やかなスパークリング日本酒、『菊泉 ひとすじロゼ』を醸す『滝澤酒造』を取材しました!
その取材の中で、蔵元・滝澤英之さんに『菊泉 ひとすじロゼ』の酒造りの工程や開発秘話についてもお話をうかがいました。
滝澤酒造について
滝澤酒造は1863年の創業で、江戸時代から明治期にかけてに栄えた宿場町であり、レンガの産地としても有名な埼玉県深谷市にてお酒を造っています。
お酒造りに使用している米の7割が埼玉県産です。
すっきりとした味わいの『五百万石』や口の中で米の旨味がふんわりと広がる『さけ武蔵』など、様々な味わいの酒米や一般米をブレンドして造っています。
そのため、まろやかでありながら程よくキレもある味わいが特徴的です。
一般的な日本酒だけでなくスパークリングの日本酒造りにも力を入れており、スパークリング日本酒の品質保持や認知拡大を目的とした社団法人『awa酒(あわさけ)協会』にも加入しています。
今回取材した『菊泉 ひとすじロゼ』は、2018年に開発された世界初の本格的なロゼのスパークリング日本酒です。
炭酸ガスを注入せずに瓶内で発酵(二次発酵)させ、不純物(おり)を凍らせて取り除くシャンパーニュと同じ製法で造られています。
『菊泉 ひとすじロゼ』造りの工程
『菊泉 ひとすじロゼ』の製造工程は以下の通りです。
1.精米:米の不要な部分を削る
2.洗米・浸漬:汚れを洗い流し、米に吸水させる
3.蒸米(むしまい):米を蒸気で蒸す
4.製麹(せいぎく):蒸した米に麹菌を繁殖させる
5.酒母造り:酵母を増やすための床を造る
6.もろみ造り(仕込み):酒母に蒸米・麹・水を加え発酵させる
7.絞り(上槽):発酵したもろみを圧搾し、酒粕と酒に分ける
8.瓶詰め:酒を瓶に詰める
9.おり抜き:不純物(おり)を凍らせて、圧力で押し出す
10.補充:おり抜きで減った分の酒を足す
11.打栓:コルクで栓をする
12.加熱:加熱殺菌によって発酵
製麹を行う麹室では、衛生面を考慮して2年前から手袋を着けて作業をおこなっているのだそう。
こちらはこの時期だけに見られる『菊泉 ひとすじロゼ』用のもろみ(日本酒の素)。
仕込んでから5日目の状態です。
色の素の赤色(せきしょく)酵母は他の清酒酵母に比べて弱い酵母なので、専用の道具を使ったり他のもろみと距離をあけて仕込んだりと、徹底した管理が必要です。
仕込んでから2週間ほどで発酵が終わります。
その後に酒粕と透明なお酒に分離する工程、上槽(じょうそう)をおこないます。
蔵元の『ひとすじ』にかける想い
滝澤酒造でスパークリング日本酒の開発が始まったのは2008年のこと。
お酒の成分の分析中に甘みと酸味のバランスが素晴らしい瞬間を見つけ、それを商品化したいと思ったのがきっかけだそうです。
そして完成したのが、滝澤酒造初となるスパークリング日本酒『彩のあわ雪』。
出典:商品情報(彩のあわ雪)
アルコール度数が8%と低く、日本酒を飲みはじめたばかりの方でも飲みやすい商品です。
しかし『彩のあわ雪』には少しだけ欠点がありました。
それはアルコール度数が低いため、瓶内での発酵が活性化してしまい吹きこぼれてしまうこと。
また、お酒が濁っていることもお祝いの席でのスパークリングとしての使いにくさに影響していました。
そのような経緯から『彩のあわ雪』で培った技術で透明なスパークリング日本酒を研究し、開発したのが『菊泉 ひとすじ』です。
瓶内発酵期間の炭酸ガス圧力を調整することで吹きこぼれを起こりにくくし、不純物(おり)を徹底的に取り除き、透明なスパークリング日本酒を実現しました。
『菊泉 ひとすじ』の完成後、さらに高級感や華やかさを追及して開発したのが『菊泉 ひとすじロゼ』です。
お酒をピンク色にするために使っている赤色酵母のおかげで、通常の『菊泉 ひとすじ』よりも甘味と酸味が非常に強く感じられます。
現在では海外にも全体量の5%を出荷をしていて、日本国内だけではなく世界でも飲まれているお酒です。
特別な日に『ひとすじ ロゼ』で華やかさをプラスしよう
しゅわしゅわとした舌触りが心地よく、いちごのように甘酸っぱいスパークリング日本酒『菊泉 ひとすじロゼ』。
フレンチやイタリアンなどの洋食やパーティー料理とも相性がいいので、お祝いの日や大切な食事のときに飲んでみるのはいかがでしょうか。
グラスに生じるひとすじのピンク色の泡が、ハレの日をいっそう引き立ててくれますよ。
(商品情報)
希望小売価格
720ml 9,000円(税込9,900円)