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ジェスカイ眼魔徹底解説(サイドガイド付き)


▼はじめに


こんにちは森山です!
今回は先日のプロツアーシカゴで使用したジェスカイ眼魔(スタンダード)の解説記事をお届けします。

メインで調整した私自身は最終成績8-8と上位争いには絡めなかったものの中村ジャパンのチームメイトである原根健太さんがTop8、行弘賢さんが10位と好成績を残すことができ、調整段階から非常に手ごたえを感じるデッキでした。
特にサイドボードプランについては原根さん、行弘さんのお二人を中心にチーム内から多くのフィードバックをもらい洗練されたものになったのでチーム調整の成果を感じる大会でした。

ジェスカイ眼魔は非常にパワフルかつプレイしていて面白いデッキなのでぜひ手に取ってみてください。

また、普段は週5ペースでYouTubeにてMTGアリーナやマジックオンラインの配信を行っていますのでぜひそちらにも遊びに来てください


▼デッキリスト・概要

今回の記事ではチームでの調整過程、カード個別の評価、コンバットテクニック、サイドボードガイドの順で解説していきますが前段としてデッキの大まかな動きについて紹介します。

ジェスカイ眼魔は定番のアゾリウス眼魔に赤の優秀なディスカード要素と火力呪文を搭載したようなデッキですが、1-2マナ域のクリーチャーでのアグロプランが取れる点、軽量火力によるアグロデッキへの耐性の差という点からアゾリウス眼魔とは近しいが別物のデッキだと考えています。
もちろん、アゾリウス眼魔の知見が活きる部分は多いのでアゾリウス型をプレイしている方には特におすすめのデッキです。

以下インポート用

Deck
4 Abhorrent Oculus (DSK) 42
4 Inspiring Vantage (KLR) 283
2 Battlefield Forge (BRO) 257
4 Fear of Missing Out (DSK) 136
4 Helping Hand (LCI) 17
4 Seachrome Coast (ONE) 258
2 Recommission (BRO) 22
4 Shivan Reef (DMU) 255
4 Spirebluff Canal (KLR) 286
4 Steamcore Scholar (MKM) 71
2 Thundering Falls (MKM) 269
4 Torch the Tower (WOE) 153
3 Inti, Seneschal of the Sun (LCI) 156
2 Bitter Reunion (BRO) 127
2 Adarkar Wastes (DMU) 243
2 Into the Flood Maw (BLB) 52
3 Proft's Eidetic Memory (MKM) 67
4 Spyglass Siren (LCI) 78
2 Spell Pierce (NEO) 80Sideboard
2 Ghost Vacuum (DSK) 248
2 Negate (MOM) 68
2 The Filigree Sylex (ONE) 227
1 Get Lost (LCI) 14
2 Pyroclasm (DSK) 149
2 Brotherhood's End (BRO) 128
2 Destroy Evil (DMU) 17
2 Chandra, Spark Hunter (DFT) 116


▼調整の流れ

霊気走破リリースおよびチームとして本格始動前の2/4に前日のMOスタンダードチャレンジにてTop8に入っていたジェスカイ眼魔が気になり中村ジャパンのディスコードに共有。

1月下旬ににMOで結果を残していた別のバージョンをテストしていた原根さん、ユンさん※からも意見をもらいつつラダーでテストしてみると今回の入賞リストは確かな手ごたえがあるリストでした。

※ユン スハンさん。2024年5月の地域CSにてアゾリウスメンターでTop8に入賞したアゾリウスリアニ(テンポ)の名手。中村ジャパンには初参加でしたが調整の過程で多大な貢献をいただきました

このリストが今回中村ジャパンが持ち込んだジェスカイ眼魔の原型となっています。

2/6に開催されたストリーマーイベント(アーリーアクセス)では霊気走破のカードを入れてテスト。
マッチ数は少ないながらこの時点で既に新戦力である《略奪するアオザメ》の感触は悪かったです。

その後2/12のアリーナ実装後には増門さん、行弘さんが消尽パッケージを加えたティムールや《忍耐の記念碑》(通称タマネギ)を使った形などをテストするなどカラーリングに縛られずいろいろな形が試されました。

自分自身もMOスタンダードチャレンジで上位に入賞していたエスパー眼魔を少し触りつつジェスカイが一番強いと感じて調整を重ねました。

エスパー眼魔のケトラモーズはなかなか優秀

私はチーム内のダイレクトマッチにて各マッチとの相性確認を行い、出発5日前の2/14にはジェスカイ眼魔でデッキを確定。
デッキ単体の強さもあるという前提の上で、グルール、エスパーセルフバウンスという上位2つのアーキタイプに有利、自分が好きな「カウンターを使えるクリーチャーデッキ」であるといった要素を兼ね備えていたことから迷わず決まりました。

その後、もう一つの候補だったチームデッキの調整が難航し出発直前で多くのメンバーがジェスカイ眼魔を選択することに(もう一つのデッキは版図ランプに強くPT後のメタゲームにフィットしていますがメタ的にまだ早いものでした。他メンバーの配信や記事で触れられると思うのでご期待ください)

水曜日の出発を間近に控える月曜日、火曜日には原根さん、行弘さん、なかしゅーさん、井川さんも交えてサイドプランを固めるべくダイレクトマッチで練習。
苦手な版図ランプへの対抗策として《邪悪を打ち砕く》、《灯を追う者、チャンドラ》が採用されるなどしてプロツアーに持ち込んだ形になりました。

最終的にはチーム内でバウンスの種類、チャンドラの枚数など若干の差異はありますが私は以下のリストでサブミット。

現地についてからも他メンバーからサイドプランの提案があるなどチーム全体でデッキを仕上げることができました。
ジェスカイ眼魔の調整に費やした時間は私が一番長かったものの、特にサイドボードは他メンバーによって劇的にブラッシュアップされました。
これまでのプロツアーよりも短い発売後1週間でドラフトも含め準備する必要がある中で精一杯の調整ができたのではないかと思います。

結果的にはチーム内でジェスカイ眼魔を使用したプレイヤーのスタンダード勝率は59.5%、前述の通り原根さんがTop8、行弘さんが10位でワールド権利確定など成功を納めることができました。
私も目標としていた9月に開催される次々回PT#3の参加確定まで1勝足らず8-8という成績(PTFFを頑張ります!)でしたが、チームメイトの活躍、とりわけ原根さんのプロツアーサンデー初進出に少しは貢献できたのではないかと思い満足しています。

▼カード解説(メインボード)


《忌まわしき眼魔》

このデッキでは1マナ5/5飛行(+戦慄予示)


アーキタイプ名にもなっているデッキの核。
モダンなど下フォーマットでも活躍中でありそのカードパワーはもはや説明不要かもしれません。
パワー5の飛行という本体性能はもちろん、場を横に展開することができるのでブロッカー性能、単体除去耐性が高いカードです。

2ターン目までにクリーチャーを展開しながら眼魔を3ターン目にリアニメイトする動きがこのデッキの理想なのでそれを達成しやすくするための構築となっています。

《逸失への恐怖》

クリーチャータイプ「ナイトメア」…カッコ良すぎる


2ターン目の眼魔ディスカード要員その1。
眼魔を捨てる役割だけでなく昂揚達成での追加コンバットは《蒸気核の学者》や《プロフトの映像記憶》などと相性が良く眼魔を引けない展開で攻め切ることに大きく貢献します。

眼魔を出す前には除去を吸いやすく、墓地に送られればエンチャントとクリーチャーの昂揚2カウントで2枚目以降の《逸失への恐怖》を強くプレイできます。

《苦々しい再会》

チーム調整に感謝の一枚


2ターン目の眼魔ディスカード要員その2。
元々は《航路の作成》が採用されていた枠でしたがユンさんが青赤ディスカードでこのカードをプレイする場面を見て原根さんがジェスカイ眼魔に流用。

捨ててから引く分、航路の作成よりも眼魔を墓地に送るという役割では劣りますが速攻を付与する起動型能力のバリューが高いです。
《再稼働》で釣り上げた眼魔がパワー6で殴ったり《プロフトの映像記憶》で強化された《蒸気核の学者》が速攻飛行警戒でアタックしたり《逸失への恐怖》が絡んでワンショットしたりと意表を突いたコンバットが可能になります。
また、苦手な版図ランプ相手にも全体除去の返しにクリーチャーを走らせることができる点も評価できます。

《蒸気核の学者》

2ドロー1ディスになりやすい良クリーチャー


ディスカード要員兼眼魔に次ぐサブアタッカー。
ディスカード要員ではありながら中盤以降価値の下がったセイレーンやだぶついたリアニスペルを捨てることで2ドロー1ディスとリソース源にもなります。

また、飛行、警戒という能力が優秀で《プロフトの映像記憶》や《太陽の執事長、インティ》で成長させがいのあるカード
墓地対策がなされるサイド後は眼魔よりも頼りになる1枚です。

《太陽の執事長、インティ》

原根さんのプレビューカード


ディスカード要員兼アグロプランの柱
インティはこれまで挙げてきたディスカード要員と比べると不安定なクリーチャーです。

コンバット前に除去を当てられるとディスカードはできませんし2マナのカードとはいえ1ターン目セイレーン、2ターン目インティと動いてセイレーンのアタックにトリガーしてディスカードすることを選ぶ場合は追放したカードをプレイすることができないのでカードカウントとしては損になります。

それでもこのカードを採用しているのは中盤以降のトランプル付与による押し込みや場に残った際に他のディスカードを誘発させるカードとのシナジーに価値があるためです。

赤アグロ相手の後手、単体除去が多い相手など弱い場面が多いのは事実ですが苦手な版図ランプに対して速度で対抗する役割もあるので3枚としています。

《救いの手》《再稼働》

4:2、3:3、2:4、4:1、3:2…あらゆる配分を検討した2枚

リアニメイトスペル。眼魔以外にも学者や恐怖を釣り上げることもあり序盤に複数枚引いても腐りにくい、いざとなったら他のカードでディスカードもできるということで合計6枚という枚数には満足しています。

6枚というスロットの中での配分は議論が重ねられましたが最終的には手数で攻めたり余ったマナでカウンターを構えたりすることの価値を重視して4:2となりました。
以下がそれぞれの利点となっているので今後の環境次第では配分に変化が起こる可能性はゼロではありません。

救いの手
1マナと軽い(とても重要)
・眼魔をリアニする場合戦慄予示のクリーチャーとタップアンタップが散るので《別行動》で流されにくい

再稼働
アンタップ状態で戻るのでブロッカー性能が高い
・《苦々しい再会》で即アタック可能
・《全損事故》の的になりにくい
・+1/+1カウンターにより眼魔が《石術の連射》など5点火力の圏外になる
・アーティファクトを対象にとれるのでサイド後は《金線の酒杯》を再利用可能

《プロフトの映像記憶》

イゼフェニ好きとしてお世話になっているカード


眼魔に頼らず打点を作ることができるエンチャント。
パイオニアのイゼットフェニックスでもお馴染みの1枚ですがこのデッキでは学者や恐怖との相性が非常に良いカードです。
メインでも強力ながらサイド後は墓地対策を無視して盤面を形成することができます。

伝説のパーマネントではあるものの重なってもキャントリップとして使えるので複数枚引いても気にならないため3枚採用しています(4枚目も検討しましたがテンポ損に繋がるリスクを考慮して採用せず)

《轟音の滝》

万が一、次弾タルキールでフェッチが収録されるとすごいことに…


このデッキで一番問題となる土地スロット。
コンボパーツを探しつつ墓地を肥やせる諜報はデッキに噛み合うもののファストランド12枚のこのデッキにおいて4ターン目以降のタップイン率をさらに上げてしまいます。
当然初手にある場合にもセイレーンとも相性は悪いです。

にもかかわらずなぜ採用されているかと言われれば純粋に色カウントの問題。
現状、各土地から出る色カウントは白12青16赤16。
能動的なアクションに絡む青赤を多めにするためにやむを得ず入っています。
本来であれば高性能青白ミシュランこと《不穏な投錨地》を採用したいものの青と赤の縦置きができる2色ランド(ファストランド、ダメージランド)は既にフルで投入しているため採用してしまうと青と赤のカウントを諦めることになってしまいます。

青赤のミシュラランドが強ければこの問題が解決できたのですがそうは上手くいかず…
色カウントは減ってしまうものの島1:山1にしてアンタップを増やす、冗談に思われるかもしれませんがダスクモーンの13点ランドを入れる手もなしではない気がしているくらいに諜報ランドの感触は良くありませんが贅沢を言っていられないので渋々採用。

せめて飛んでくれていれば…

▼カード解説(サイドボード)

《灯を追う者、チャンドラ》

このバージョンを使いたかったもののFoil版でしか刷られていないとのことで断念

主には苦手な全体除去を使う版図ランプ、コントロール用ながらエスパーセルフバウンスにもサイドインするなど用途が多いPWです。
出したターンに機体を生成→走らせて3点、次のターンに前のターンに出した機体にクリーチャーで搭乗、再び機体生成から走らせて6点の2ターンで合計9点と速攻性が魅力
+2のルーティング能力もデッキにフィットしています。

《金線の酒杯》

テキストを確認されやすいので英語版にして正解だった


あまり見かけないサイドカードですがグルール果敢、エスパーセルフバウンスといった上位デッキに1or2でパーマネントをまとめて流せる優れたアーティファクトです。

また定番の墓地対策である《除霊用掃除機》《安らかなる眠り》にも強く、酒杯起動でマナをかけずに割ってそのターンに墓地肥やし→眼魔リアニメイトまで繋げやすい点も気に入っています。

《失せろ》

グルール相手には地図を強く使われるのが悩ましい


中村ジャパンでは自分のみ採用。
他メンバーは邪悪の3枚目にしています。
邪悪と比較すると地図生成のデメリットの代わりにエスパーやディミーアのカイト、陰湿な根デッキのタイヴァーなどに触られるというメリットがあります。
環境初期でどんなデッキが出てくるか分からないため確定除去枠として採用しましたが今後メタゲームが定まってきたらそれに合わせて流動する枠となりそうです。

▼不採用カード解説


《略奪するアオザメ》

期待のドラ1だったが…


アオザメはセイレーンに代わる1マナ域として期待してかなりのマッチ数テストをしましたが諦めることに。

速度が求められる版図ランプとのマッチではセイレーンよりも重宝するものの、地上でしか殴れず場が固まるとインティのトランプル付与なしでは突破しにくい。セルフバウンス系に後手で出されたカワウソに対してディスカードやプロフトが絡まないと攻めにいけないなど使用感は悪かったです。

また、セイレーンは飛行という利点のみならず生み出す地図トークンを起動してリアニのコンボパーツを探したり塔の点火の協約コストに充てたりと役割が多いこともあり今回はアオザメの採用は見送りました。

とはいえセイレーンにも満足しているわけではないので今後強力な1マナ域が登場することに期待しています。

《幽霊による庇護》

アンコモンとは思えないカードパワー


当初は赤アグロへのプランとしていましたが《紅蓮地獄》《兄弟仲の終焉》といったカードで対抗するプランとの合わないことにより見送り。
(自軍のクリーチャーも被害が出る→セイレーンなどクリーチャーをサイドアウト→付け先が不足する)

《上げ潮、キオーラ》

飛行持ちかか3/3に書き換えたい。惜しい


チーム内ではあまり評価は高くないが自分は1枚入れるか最後まで悩んだ枠。
メインはサブの釣り先として、サイド後はプロフトプランに貢献しつつ墓地対策の状況によって不要牌を整理できる5枚目の学者枠
どこまで行っても地上戦力ということがネックで不採用。

《ウラブラスクの溶鉱炉》

この街が活躍するようになってから影が薄くなってしまった


恐怖の追加コンバットの度にトークン生成とシナジーを発揮する場面はあるものの中盤以降に引いた場合の速度不足、《この街は狭すぎる》に弱いが主な理由。
チャンドラに枠を譲りました。

▼コンバットテクニック

このデッキで一番難解に思われる《逸失への恐怖》の追加コンバット周りについても解説します。
慣れてしまえば難しくはないものの、初見だとリーサルを逃すなど見落としが発生しがちなので記事だけでなく紙での一人回しやMTGアリーナなどで実際に練習してみることをオススメします

基本的には昂揚している状態で《逸失への恐怖》で攻撃するとクリーチャーを一体アンタップして追加の戦闘フェイズを得ることができ、戦闘開始時や攻撃時に誘発する能力をもう一度使えるということを忘れないようにすれば問題はありません。

初歩的な内容も含まれますが見落としがちな項目を次のとおりまとめてみました。

・昂揚達成状態で《逸失への恐怖》2体以上と別のクリーチャー(警戒やパワー3以上)がいる場合は恐怖ABの攻撃タイミングを分けることでクリーチャーのアンタップ回数を増やして打点を伸ばすことができます
(初歩的ですが重要)
例:恐怖A、恐怖B、眼魔が居る状況
◎ 1度目のコンバットで眼魔と恐怖Aのみで攻撃して眼魔をアンタップ、2度目のコンバットで眼魔と恐怖Bで攻撃して眼魔をアンタップする場合
→1回目のコンバットで7点(眼魔、恐怖A)、2回目のコンバットで7点(眼魔、恐怖B)、3回目のコンバットで5点(眼魔) 
=合計19点

× 1度目のコンバットで眼魔と恐怖ABで同時に攻撃して眼魔、恐怖Bをアンタップする場合
→1回目のコンバットで9点(眼魔、恐怖AB)、2回目のコンバットで7点(眼魔、恐怖B)、3回目のコンバットは訪れるがアンタップ状態のクリーチャーが居ないので0点 
=合計16点

《蒸気核の学者》は警戒を持っているため追加コンバットでもそのまま攻撃可能です。そのため恐怖でアンタップの対象に取る必要はありません

・《プロフトの映像記憶》は戦闘開始の度に能力が誘発するので追加のコンバットフェイズの開始時に再びクリーチャーを強化できます

・《太陽の執事長、インティ》は自軍の攻撃に誘発してディスカードが可能なので追加の戦闘フェイズでもう一度能力を使ってクリーチャーを強化したり疑似ルーティングを行うことができます。
当然ながら1度目の戦闘フェイズ中に場から居なくなると2回目の戦闘フェイズには能力が誘発しないので1度目のコンバットでインティが攻撃に参加するかは慎重に判断してください

・《灯を追う者、チャンドラ》は戦闘開始時に機体を一体クリーチャー化する能力を持っているので機体が複数体並んでいれば追加のコンバットでは別の機体をクリーチャー化することができます。
レアケースではありますが、防御側としてい次の点も意識しておきたいです。1回目のコンバットで攻撃してタップした機体Aをダメージ解決後に協約して塔の点火を撃ってタフネス3のブロッカーをどかして2回目の機体Bの攻撃が通ることもあるので1回目のコンバットでブロックに入っておいた方がライフ損失を抑えられることがあります


▼サイドボードガイド


VSグルール果敢

 

in 金線の酒杯2、失せろ1、紅蓮地獄2、兄弟仲2、邪悪を打ち砕く2
out セイレーン4、救いの手1、インティ2、呪文貫き2


メイン、サイドともに有利なマッチアップ。
サイドからは《金線の酒杯》、《紅蓮地獄》で横並びに対処して眼魔やプロフトによる強化で盤面を固める。
全体火力で巻き込みにくい《名もなき都市の歩哨》や《亭主の才能》で強化されたクリーチャーへの対策として《邪悪を打ち砕く》もサイドインする。
プロツアーのようなリスト公開制では相手の墓地対策の枚数が分かった状態でサイドボーディングができるため相手のサイドに《除霊用掃除機》がなければリアニメイトスペルを全て残す。

VSエスパーセルフバウンス

(先手時)
in 金線の酒杯2、失せろ1、紅蓮地獄2、チャンドラ2、邪悪を打ち砕く1
out セイレーン1、呪文貫き2、洪水の大口へ2、救いの手1、インティ1、苦々しい再会1

(後手時)
in 金線の酒杯2、失せろ1、紅蓮地獄2、兄弟仲2、チャンドラ2、邪悪を打ち砕く1
out セイレーン3、呪文貫き2、洪水の大口へ2、救いの手1、インティ1、苦々しい再会1


メイン、サイドともに有利ながら除去ハンドでキープするとカイトに、プロフトに頼ったビートプランは相手の除去ハンドにやられることがあり噛み合いによってブレやすいマッチ。
そのどちらにも対応できるチャンドラは有効。

先手時は全体除去を少なめにしてクリーチャーで殴っていきつつチャンドラで押し込む展開を狙う。
逆に後手時は全体除去をしっかり入れて一緒に流されてしまうセイレーンを減らすのがプラン。

インアウトはエスパー側の一般的なサイドボードである《安らかなる眠り》を想定してのものですがプロツアーでは《除霊用掃除機》を採用したタイプも存在。
その場合にはアーティファクト破壊モードを選択できる兄弟仲を先手時には紅蓮地獄とスイッチしてサイドインしたい。

VS版図ランプ


in 否認2、失せろ1、邪悪を打ち砕く2、チャンドラ2
out 塔の点火4、洪水の大口へ2、救いの手1


メインは不利、サイド後は五分と上位3デッキの中で一番当たりたくないマッチアップ。
とにかく速度を意識して眼魔早期着地or1→2→3で綺麗に動き打点を生成して全体除去をカウンターする展開を狙いたい。

チャンドラは全体除去を撃たれた後の再展開に貢献するのでカウンターに近い役割を期待できる。
墓地対策の《安らかなる眠り》を割るだけでなく、チャンドラに対してズアー起動からのエンチャントクリーチャーで殴られるのを防いだり《力戦の束縛》から眼魔などを取り返したりできる《失せろ》、《邪悪を打ち砕く》もぜひ引きたい重要なサイドカード

VSゴルガリミッドレンジ


(先手時)
in 失せろ1、邪悪を打ち砕く2、否認2
out 呪文貫き2、塔の点火3
(後手時)
in 失せろ1、邪悪を打ち砕く2、否認2
out 呪文貫き2、セイレーン3


メイン、サイドともに不利。
眼魔リアニというインチキを内蔵している分黒系ミッドレンジに対しては強いと思われがちだがゴルガリは当たりたくないマッチアップ。
《黙示録、シェオルドレッド》の存在が特に厄介で、アゾリウス眼魔と異なり純粋なドロースペルが多くメインはバウンスで誤魔化すことしかできないこのリストでは対処が困難。
サイド後も《ひだ背》でエンチャント(プロフト、恐怖)と墓地に同時に対応されたり《ギックスの命令》で眼魔とそのお供を綺麗に対処されたりとクリティカルなカードが多い。
プロツアーを制した版図ランプに対して不利なデッキなのでしばらくの間はゴルガリの減少が見込まれるのは救い。

こちら先手時はラノエル、苔森には当たるが3マナ以降の無視できないクリーチャーラインに当たらない塔の点火を失せろ、邪悪に変更。
逆に後手時は苔森で押し込まれやすいので塔の点火を残してセイレーンをアウト。
否認は劇的なカードではないが強迫でハンドを覗かれた後に対処されにくい分、ピアスよりは有効と考えて入れ替え。

VS召集系(ボロス、ジェスカイ)



in 金線の酒杯2、紅蓮地獄2、兄弟仲2、失せろ1
out 洪水の大口へ2、プロフト1、セイレーン4

メイン不利、サイド後五分
《上機嫌の解体》にピアスや大口がヒットしてラッキーで拾うこともあるが基本的には速度負けするマッチなのでメインは3ターン目に眼魔が出る展開を狙って厳しくマリガンが必要
サイド後は厚めに全体除去を採用しているが、相手もケアして動いてくるので熟練した召集プレイヤーとの対戦ではまだ有利とはいえないと感じる。
《内なる空の管理人》をタフネス4以上に上げて全体火力をずらしてくるので《イーオスの遍歴の騎士》やパンプ系エンチャントにも当たる《邪悪を打ち砕く》は有効なサイドカード。

Hareruya Pros所属・松浦 拓海選手。マジック公式HPより引用


ちなみに中村ジャパンの調整においてはラダーで好調なデッキをチーム内のダイレクトマッチ(対ティアー上位デッキ)に回して強度を確認するという流れが多いが、その際に赤アグロ、召集系の担当として立ちはだかるのが松浦くん。
(リスト公開の影響もありはするが)ラダーではアグロや召集に全勝するもダイレクトマッチでは松浦くんの前に全敗ということも珍しくなく、世界でも有数のアグロの名手である彼のおかげでプロツアー上位ラインを想定した正確な相性を測れています。感謝!

VSジェスカイ眼魔ミラー



(先手時)
in 除霊用掃除機2、失せろ1、邪悪を打ち砕く2
out 苦々しい再会1、再稼働1、塔の点火3
(後手時)
in 除霊用掃除機2、失せろ1、邪悪を打ち砕く2
out 苦々しい再会1、再稼働1、セイレーン2、インティ1

除霊用掃除機でリアニメイトを牽制しつつアグロプランにはまらないよう後手では塔の点火を多めに残して応戦する。
墓地は利用するが墓地依存度が高いデッキではないのでマリガン判断時は掃除機を過信しないことが重要。
あまり想定していないマッチだったので定まっていない部分が多い。

▼おわりに

最後までご覧いただきありがとうございました。
カード評価やサイドボードのプランについてはチーム内でも異なるものはありますし今後の環境の変遷次第で変化が加えられるものだと思っています。

多くのプレイヤーがジェスカイ眼魔をプレイしてより強固なリストになることを願っていますので質問や感想があればぜひ配信SNSにてコメントをいただければ幸いです

また、今後の競技マジックへの取り組みや記事執筆の励みになりますので記事がいいなと思った方はSNSでの拡散やチップでの応援もぜひよろしくお願いします!

それでは素敵なマジックライフを!


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