電磁波攻撃から金網は身を守れるのか? ADS(95GHz)と2.4GHzの場合を検証しました。

質問がありましたので書いてみました。

この記事は金網で電波を遮断する機能と性能について考察しています。
電波を遮断するには金網でなくても鉄板とかアルミも使えます。

アルミ箔での電磁波の遮断について書いてみました。
https://note.com/sakecan/n/n6b8a1b16eaf0

私は指向性兵器の専門家ではありませんが、エレキの基礎的知識を元に、米軍の電磁波兵器 ADS (Active Denial System) から金網で身を守れるのか検証してみました。

ADS の周波数は 95 GHz とされており、その波長は約 3.16 mm です。電磁波の遮蔽効果は波長と開口部の大きさに関係し、一般的に開口部が波長の 1/10 以下であれば電磁波はほとんど通過しないとされています。

つまり、ADS (95 GHz) からの攻撃を金網で防御するには、網目の間隔は 0.316 mm よりも細かい金網が必要ということになります。

以前、私が金網である程度の遮蔽効果があると述べたのは、2.4 GHz 帯の電磁波を想定していたためです。2.4 GHz の波長は約 12.5 cm なので、1 cm 間隔の金網でも波長の 1/10 以下となり、一定の遮蔽効果が期待できる計算になります。

しかし、金網で ADS を完全に防げるかどうかは不明です。

理由は以下の通りです。

遮蔽効果は様々な要素が影響する: 電磁波の遮蔽は、網目の大きさだけでなく、材質の導電率、線の太さ、電磁波の入射角度、金網の接地状態など、多くの要素が複雑に絡み合っています。特に高周波のミリ波である 95 GHz 帯では、これらの影響が大きくなります。単純に網目が小さいだけで十分な遮蔽効果を得られるとは限りません。

ADS の高出力と金網の耐久性: ADS は兵器であり、高出力のミリ波を照射します。金網が電磁波を反射するとはいえ、高出力のミリ波にさらされ続けると、金網自体が加熱し、溶解や変形を起こす可能性があります。金網だけで ADS の攻撃から身を守るのは難しいでしょう。

2.4 GHz 帯でも遮蔽効果は限定的: 1 cm 間隔の金網が 2.4 GHz 帯の電磁波にある程度の遮蔽効果を持つとしても、その効果は限定的です。目的に応じて十分な遮蔽効果が得られない可能性があります。

ADS の指向性: ADS は指向性が高い兵器です。金網で一部を遮蔽できたとしても、他の経路から電磁波が到達する可能性を考慮する必要があります。

結論として、金網である程度の電磁波遮蔽効果は期待できますが、高出力のミリ波兵器である ADS から身を守るには不十分と考えられます。 電磁波の遮蔽は複雑な現象であり、専門的な知識に基づいた対策が必要です。

要は威力(電波の出力)に応じた防御能力が必要ということです。


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