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第110回 看護師と助産師に投資を(WHO)


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新型コロナが世界に猛威を振るい始めた2年前、WHO(世界保健機関)からこんなポスターがネットに流れた。

「看護師と助産師に投資せよ、健康のため、男女平等のため、経済発展のため」
WHOは「看護師・助産師の国際年2020」を新設し、次のような提言を世界に向けて発表した。

「上司から敬意を払われていないと思う看護職36%、自分の意見に耳を傾けてほしいと思う看護職32%」
「看護職に影響を与えるジェンダー間の賃金格差を改善せよ」
「国の保健政策決定の場に、看護職の視点を取り入れよ」

ナイチンゲールが生まれて200年経ったイギリスでは、WHOの国際年に呼応してNHS(国営医療保健サービス)が様々な啓発、イベントを打ち出した。弱者に注がれる温かい眼差しにホロリとさせられる。

「助産師主導のCOVID-19緊急対応電話システムを新設する」
「(移民など)英語を使えない妊婦へ職員が出前する」
「ホームレスの患者を支援する」
「聾唖者を支える…」

当初欧米は、イタリアをピークに感染者も死亡者数も多かった。当時の麻生太郎財務相は「日本は民度が違う」などと欧米をあざ笑った。

しかし、時は流れ、日本は感染者数1879万7522人、死亡3万9604人と「世界最高水準」になった(いずれも8月31日NHK発表)。慢性的な人手不足で看護職の長時間労働が続くが、看護師の月収は、OECD平均よりも月8万円以上も低いと報道されている。

何より、政策決定の場にいる女性の少なさは、驚愕ものだ。コロナ関係だけを見ても、日本感染症学会理事18人の全員が男性。厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の12人のうち女性は2人。厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」18人のうち、女性は2人。内閣官房「新型インフルエンザ等対策有識者会議 新型コロナウイルス感染症対策分科会」の16人の中でも、女性はたったの2人なのである。

イギリスで助産師をする小澤淳子さんは言う。

「日本では、陽性の女性が、他に理由もなしに帝王切開されています(陽性女性の帝王切開率65%以上)。陽性になる前に出産をと陣痛誘発を受けさせられています。女性が陽性の時に生まれた赤ちゃんは母子分離をさせられます。WHOなどが、母子分離は母親や子どもへの弊害が大きいので反対声明を出しているというのに、です。女性のからだに関して、女性自身が決めるという国際基準が全く尊重されていないのです」

他国をあざ笑っている場合ではない!

(三井マリ子/「i女のしんぶん」2022年9月10日号)


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