#42 杜氏について
今回の問題
杜氏について述べよ。
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200字回答
杜氏は日本酒の醸造責任者であり、酒造りのトップ技術者である。杜氏は、副リーダーの「頭」をはじめ、麹造りの「麹屋」や酒母造りの「酛屋」など、それぞれの担当や責任をもつ蔵人を束ねる。杜氏は全国に様々な流派があり、特に兵庫県の丹波杜氏、岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏を総称して三大杜氏という。近年、下野杜氏や常陸杜氏が誕生している。従来型の冬季の通い杜氏は減少しており、蔵元杜氏や社員杜氏が増えている。(200字)
回答の要素
杜氏とは
日本酒の醸造責任者、酒造りのトップ技術者。
副リーダー「頭」、麹造り「麹屋」、酒母造り「酛屋」、蒸米造り「釜屋」、醪の搾り「船頭」などの蔵人を束ねる。
古代には女性が酒造りをしており「刀自」と呼ばれた。
その後、男性中心の酒造りとなり「杜氏」と呼ばれるようになったという。
現代の杜氏制度は、江戸時代初期から続いている。
杜氏の流派について
全国に様々な流派がある。
兵庫県の丹波杜氏、岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏が三大杜氏。
近年新しく下野杜氏(2006年)や富山杜氏(2013年)も誕生している。
冬季の通い杜氏は減少しており、蔵元杜氏や社員杜氏が増えた。
回答の構成
・醸造責任者、トップ技術者
・副リーダー「頭」、麹造り「麹屋」、酒母造り「酛屋」
・全国に流派あり
・三大杜氏(丹波杜氏・南部杜氏・越後杜氏)
・近年誕生の下野杜氏・富山杜氏・常陸杜氏
・冬季の通い杜氏は減少、蔵元杜氏や社員杜氏が増加
回答の補足
日本最古の杜氏は高橋活日命(たかはしいくひのみこと)とされる。『日本書紀』に、高橋邑出身の活日が、大神神社に供献する神酒を管掌する役目に任命されたという一文がある。
2013年に誕生したという富山杜氏だが、webで検索してもほとんど情報が出てこない。唯一、国税庁(2021) に記述を見つけたが、その出典は「日本ソムリエ協会」と書かれているので、おそらくDiploma教本である。髙澤(2015) には「富山のお酒を醸す杜氏は,越後杜氏・ 能登杜氏・蔵元杜氏・社員杜氏と様々であり」と書かれており、執筆の2年前に旗揚げされたであろう富山杜氏には一切触れられていない。うーむ、実態がわからない。
日本酒造杜氏組合連合会(日杜連) の 所属組合一覧 には「富山県杜氏会」を見つけた。しかし検索しても何も出てこず、詳細は謎のまま。
むしろ近年旗揚げされた杜氏制度として、常陸杜氏(2019年)を取り上げるべきだろう。常陸杜氏は茨城県酒造組合が設けた杜氏の認証制度で、後継人材の育成や、情報発信・ブランド力向上に力を入れているという。SAKE Street も SAKETIMES も特集記事を書いている。
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参考文献
J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 107,108
加藤 百一, 酒神と神社 (15), 日本釀造協會雜誌, 1983, 78 巻, 2 号, p. 128-131
SAKE Street, 日本酒造りの責任者「杜氏」とは? - 杜氏の仕事から杜氏の流派、蔵人たちの役職まで, 2021年12月11日, 閲覧2023年10月6日
髙澤 龍一, 富山県酒造組合の取り組み ~これからの富山のお酒~, 日本醸造協会誌, 2015, 110 巻, 11 号, p. 767-769
国税庁, 「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り」調査報告, 2021
茨城県酒造組合, 常陸杜氏認証制度, 2020年2月14日, 閲覧2023年10月6日
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