無意味なISOの活用法 製造業
製造業では、無意味なISOが、ただただISO認証の継続の為だけに行われています。私は多くの工数を無駄にするISOをやめて、企業の収益に貢献する形で活用するべきではないかと考えています。
今回の次第
1.ISOとは
2.ISO活動の実態
3.収益化計画
1.ISOとは
ISOをご存じない方のために簡単に説明します。ISOとは、国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準の事を言います。
製造業において一般的なのが、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)です。
2.ISO活動の実態
私が勤める会社でもISO9001(品質)・ISO14001(環境)を取得しており、無駄な仕事がたくさんあります。その原因は、ひと昔前までISOは、様々なルールを文書化し、エビデンスとなる記録を小まめに残す事を推し進めていたためです。
正直ムダでしかありません。
急激に変化するマーケットに対応するために、様々なルールが、その時々でどんどん変化しているこの世の中、それをいちいち毎回毎回文書として発行し、維持管理するのは至難の技です(必要な文書もありますが)。
今はだいぶISOの考え方も進化してきましたが、それを活用するべき多くの方はまだまだ誤解しており、ISOイコール面倒くさい仕事という方程式が出来上がっています。
ISOでは外部の監査人がやってきて、監査が行われますが、正直、監査に対応する社内の人間の説明の仕方次第で指摘内容が全然変わったりもします。
だから、余計にISOに従って自分達が社内で掲げる目標設定は低レベルなものばかりになってしまいます。そうやって出来るだけ簡単に説明出来る目標ばかりになっていきます。
例えば、環境(ISO14001)のために、コピー枚数をかぞえ、それを削減するという目標設定です。現在のコピー機は誰が何枚印刷したかを簡単に集計出来るので、それを使って増えた減ったを記載している部署がありました。
実際のところ、従業員はそこまでコピー枚数を気にしておらず、中には気にしている従業員もいますが、そういう真面目な従業員は枚数削減のためにNアップ機能を使ってわざわざ資料を小さくして見難い資料で仕事をしています。一体これの何が、企業の収益に関係するのでしょうか?
3.収益化計画
そこで私が行ったのが、各部の指標をより経営指標に近いもの、或いは意味のあるものに置き換えました。
例えば先ほどの環境(ISO14001)では、仕事をしないこと(仕事の効率を上げる事)を目標に掲げさせました。
仕事をしなければ、電気もガスも節約できるという論拠から、如何に仕事を効率化するかという指標に置き換えたのです。
その他では、品質(ISO9001)に関して、これまでは不良帳票の発行枚数を数えていました。これ自体は意味がありますが、より具体的に経営指標に近づけて意味のある目標にするために、不良コスト(金額)を指標とする事で、従業員にコスト意識を持たせるようにしました。
また、ISOでは教育という観点を取り入れる必要があります。これまでは「勉強会の回数」としていた指標を、勉強会によって自部署の成果を上げるという論拠から、営業部門なら売上高(金額)を指標とさせ、調達部門なら原価低減(金額)といった指標を持たせるようにしました。
さらに言うと、金額という指標は、生産台数の変動の影響を受けるため、金額ではなく利益率等のようにパーセントに置き換える事でさらに永続的に収益を生むような指標を持たせる事も可能になります。
このように、目標を経営指標に近づけることでISOを無駄な活動にせず、より意味のあるものにしていく事が出来ます。