グループLINEのこのやつ

LINEの通知が17件あった。


何事かと思いLINEを開くと、グループLINEのこのやつだった。


イメージ図


「グループLINEのこのやつかい!」と思った。


しかし困った。立場上僕も「おめでとうございます!」を送らなければいけない感じの相手であるにも関わらず、既にやり取りが完結してしまっている。



『(今から送るか?いや、そうなると相手はさっきやり取りを終わらせたつもりなのに、わざわざまた僕だけのために返信をすることになって逆に手間をかける。しかしこのままスルーすると、「あいつだけおめでとうを言わなかった。」ってなるか?個人LINEで送るか…?いや、どのみち返信の手間はかけるうえに、結局そのグループLINEにいる人たちには祝った事実が伝わらず、「あいつだけおめでとうを言わなかったな。」となる最悪のパターンになるか?「おめでとうございます!(返信不要です)」か?いや、なんか言い逃げみたいで逆に失礼か?キャッチボールが成り立って初めて会話だからな。そもそも個人LINEでメッセージを送るほどの関係性か?グループLINEの流れの中で「おめでとうございます!」を言うのがやっとの関係じゃないか?距離感を間違えてはいけない。ではどうするか…)』



長考して無駄に時間を空けて送った僕のおめでとうございますLINEはスルーされていた。






逆の立場編もある。


イメージ図(奢った後)



『(こちらこそありがとうと返信してしまいたいところだが、まだありがとうございましたを送ってきてない後輩もいる。どうする?ここで完結させてしまっては、その後輩が気まずい思いをすることになってしまうか?しばらく待ったほうがいいか?いや待ち過ぎると、コイツありがとう待ちしてると思われるか?あくまでこちらサイドは、わざわざありがとうなんて言わなくていいよスタンスでいなければいけないのに、ありがとう待ちをしてこちらから感謝を強要しているみたいになるか…?)』


結局、ありがとう待ちしていると思われかねない不自然な未読無視の時間に耐えかねて、既に送ってくれていた後輩に対してとりあえずのこちらこそ返信をした後、遅れて送ってきてくれた後輩に対してはリプライのやつで返信した。


便利。重宝。




僕はこれまでの人生で、"グループLINEのこのやつ"にどれだけ時間を費やしただろうか?



みんな、"グループLINEのこのやつ"にどう対処しているのだろうか?



ネタを書かなければいけない、バイトをしなければならない、買い物に行って、ご飯を作って、掃除をして、適度な運動をしなければならない。限りあるこの人生の中で、"グループLINEのこのやつ"に時間をかけている暇などないのだ。



ある日、またグループLINEで、"誕生日おめでとうのやつ"になっていた。



『(しまった。また誕生日おめでとうのやつに乗り遅れてしまった。)』



万事休すかと思われた。



しかし、



後輩からのおめでとうLINEに対して変に謙るわけでもなく、スマートに乗り遅れた僕に助け舟を出しつつ、ポップにお祝いメッセージを要求しておどけて一旦この場を締めるテクニック。これはいい。僕も使おう。




こういう返信の仕方は長年の経験から導き出された答えなのだろうか?そもそも生きていたら自然と身につけるコミュニケーションなのか?こういう人はきっと誰からも好かれてどんな世界でも上手くやっていける人なんだろうな。




他人が出してくれた"解答"をこうしてコツコツ集めて自分に取り入れ、人生の生きづらさを無くしていくのが僕の夢。



28歳。まだ夢の途中。

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