宝鐘マリンを見て“若くて可愛い女で居ないと価値がない”という「呪い」から解放された話
ホロライブ所属・宝鐘マリン
“Ahoy❤️”
ホロライブ所属のVtuber「宝鐘マリン」をご存知だろうか。ぶっちゃけた話、私も最近切り抜きや歌をたまに見る程度のにわかなのだが、彼女は現在チャンネル登録者200万越えを誇る人気Vtuberの1人だ。
マリン船長の切り抜き動画や配信を見て感じる彼女の魅力は、「セクシーでセンシティブな外見と発言」、そして「親しみやすさ」だ。前者のイメージは見てすぐにわかる表面的な特徴だが(Vtuberの良くない所は人柄や性格が見た目で判断できない所だ)、後者の「親しみやすさ」、ひいては彼女の人柄の良さは、雑談などを聞くと分かってくる要素で、その“核”の部分が、男女問わず多くの人を惹きつける魅力なのだと感じる。
マリン船長は若くない?
やはり「若さ」は強い。敵わない。街を行き交う人々を見ていて、ふと「この世で一番無敵なのは女子高生だなー」なんて思って、反対に若さが次第に薄れゆく自分自身を見出して悲しくなったりする。私にももちろん女子高生時代はあったし(中退してるから制服JK期間は一年もなかったか)、ただ私にも至極自然に順番が回ってきているだけ…なのだけど。やはり、中高校生時代楽しく過ごすことができなかった人間なため、今になっても拗らせまくっている。年長の人に「もてはやされていたい」という思いが、まだどっかにあるのかも知れない。良い歳して情けない。
現在の私は、一昔前だったらもうとっくに結婚もしていて子供もいるぐらいの年齢に差し掛かってる。「いよいよだな、若くいられるのも今のうち」とここ1、2年とても意識して過ごしていた。今までは大目に見てもらえていたことがもう通じなくなるんだろうな、とか、「年齢が若いから存在していた女としての価値」が無くなってくんだろうな、とか諦めと共に暗く考えてしまう。ここでいう「価値」とは世間一般的にそうだとされているものとして言ってるわけではなく、あくまで自分が経験してきた/感じてきたものとして。「若い女」という一目で分かるラベルを付けていて得をしていたこともあるにはあったから。
まぁ要は、社会的にある程度「責任」がある大人に、まだなりたくない/なれないモラトリアムな人間であることに他ならないのだけど…。
そんな「もう、若くはないのだ」というモヤモヤを抱えながら過ごしていた時に出会ったのが船長だった。
マリン船長は他のライバーと比べると少しお姉さんの年齢だ。「17才」だと言っているが、年齢を誤魔化している(??)ことも自分でネタにしているので、触れてもいいのだろうと認識してはいるのだが…。(恐る恐る)
正社員として働いていた頃の話
マリン船長の会社員時代の話が面白くて好きで、ある程度人生経験を積んで、今ライバーとして活動しているんだなと分かる。世渡り上手なのか、上司からの理不尽な要求にも大人の対応をして切り抜けたエピソードなどを話している。職場での思い出や憧れの先輩の話など聞いていると会社員時代のマリン船長は、自立した大人な女性だったんだなという印象を受ける。
自己実現のために努力を惜しまない
マリン船長のVtuberとしての活動を見てまず驚いたのは「“宝鐘マリン”に掛けているものがえげつない」ことだ。3Dライブや配信活動に力を注いでいるのはもちろんのこと、それら全てを含めた活動を通して“宝鐘マリン”というキャラクターをいかに最高に創り上げるか、に全てを注いでいるのだろうと思う。
まず自分のオリジナル曲に対する熱量が凄い。こういうのって、大体のことは会社が決めてライバーは要望を出すくらいなのかなーと勝手に想像していたが、船長の場合はそうではないらしく、MVのアニメーションを依頼するアニメーターさんに自分で連絡を取って依頼をしており、さらにMV制作にかかる費用も自分の活動で得たものを使っていると雑談で話していた。要は自分の活動で得たお金を還元し、さらに良い作品を作り続けているのである。それは普段の配信“外”で行われている船長の見えない努力の結晶だ。
なぜそこまでするのかという問いに、船長は配信で応えていた。
▲超高クオリティのアニメーションMV『マリン出航!!』
成熟した、大人の魅力
「若さなんて大したアドじゃないね。歳を重ねて成熟してる方がいいと思う。」
自虐的にこんなことを言っているマリン船長は可愛い。なかなか辛辣(?)なコメントにも笑いで返す大人の余裕が感じられる。変に若さを繕おうとせず、自然体でいるのが魅力的だと思う。
話す話題や曲のチョイスが多少古くても、動きが多少オバさんぽくても、「むしろそれが良い」と思える程、マリン船長は魅力に溢れている。同じホロライブの百鬼あやめさんの3Dライブにて、TikTokで流行している「わたしの一番かわいいところ」を他のホロメンと一緒にお揃いのアイドル衣装で踊っている船長を見て、とても嬉しい気持ちがした。アイドルとして舞台に立つということは、「若さ」だけが必要条件ではないのだなーと、そのステージを見て勇気をもらえた。
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ここまで書いて、しばらく筆が進まなかったので放置してたら、マリン船長の3周年記念ライブ「昭和老人会♪宝鐘マリン3周年記念歌謡祭」が先日配信されており、それをなんとなく見てみたらまぁクオリティは高いわ私の好きな昭和歌謡だわで、驚きと感動が一度に押し寄せてきて「な、なんじゃこれーーーッッッッッッ!!????」と大興奮しながら見た。
本当に素敵なライブだった。色褪せない名曲と、それを可愛い衣装で歌って踊るホロライブのメンバー達。あえて画質が低く褪せた感じのフィルターと、昭和の歌番組をパロディしたセットや曲紹介。まだまだこんな新しい表現ができるのかと感動しっぱなしだった。
特に良かったのは森高千里の「私がオバさんになっても」。
きっと、船長のことだから自虐的な意味も込めてこの選曲なのだろうけど、「若い子には負けるわ」ととってもキュートに歌っている船長は本当に可愛かった。マリン船長が言うように、「歳を重ねて、成熟した大人」の魅力を感じたと同時に、「“若さ”を武器にしなくてもこんなに魅力的な女性になれる」ことをステージ上で証明していた。
別にアイドルのように可愛くいる必要もない。マリン船長のように、自分が実現したい夢に向かってひたすら努力して、見ている人にも元気を与えられる存在になるのはそれは素晴らしいことだし、そんな夢なんかなくても、若さも成熟も諦めてしまって、ただ歳を重ねるよりは、何か“これだけは”というような信念を持って真面目に生きていったら、ゆっくりでも時間をかけて成熟して、いつか素敵な大人になっているかもしれない。そんな、暗く思われた未来に差した一筋の光を、“希望”を、私に与えてくれたマリン船長に感謝。
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