サイボウズの技術広報のお仕事
サイボウズで技術広報っぽいことをしています。@sakay_yです。
2017年くらいからやってます。
突然ですが、技術広報やDevRelってなんなんでしょう。どういう人のことを指すんでしょうか。
世の中の技術広報やDevRelと呼ばれる皆様のアウトプットをたくさん拝見しました。アドベントカレンダー、大変興味深ったです。(今年は私も参加します!)
DevRel Guildにも参加させてもらいました。ありがたいです。
そうやって、あれこれインプットした話と私たちの活動を見つめ直して、私たちの活動について表現できればと思いました。
インプットしたこと
技術広報とはなんでしょうか。
偉大な方々が言語化してくださってますので、引用させていただきます。
技術発信による効果を説明するのに、個人的に最高だと思っているのがこちらの資料です。擦り切れるほど熟読させていただきました。
サイボウズの技術広報が狙う効果とその役割
大いに参考にさせていただいて、サイボウズの理想と一緒に図にしてみました。
ちょっとセンスが無いので見づらいです…。
上記の図を見ての通り、情報発信による効果のループができあがります。が、一朝一夕で効果が出るものではありません。
また、ターゲットや重視したい効果によって適切なチャネルが存在しますし、社内のチームや人によって得意な発信方法も異なるでしょう。
技術広報の役割は、チームが効果を得られるために、継続的かつ効果的な情報発信活動ができるように支援する、または自身が情報発信することだと考えています。
チームとは、製品チームであるかもしれないし、もう少し小さな単位のサブチームかも知れないし、逆に大きなサイボウズ開発組織としてかもしれません。
技術広報が所属するコネクト支援チーム
サイボウズの技術広報的なメンバーが所属するチームは、「コネクト支援」チームと名乗っています。(2023年10月現在)
ちなみに、このチームは People Experience チームというサイボウズに関わる人の体験向上を目的としたチームの、サブチームです。People Experience チームについては、以下のマガジンをご覧ください。
というわけで、コネクト支援チームは、サイボウズのエンジニア組織の認知を軸に、社内外の人々の体験を最高にしていこうとしています。
では、チーム名の話をします。
「支援」というのは、上記の役割が支援に寄っているところを表しています。では「コネクト」とは何なのか。その説明をします。
コネクト支援チームの理想は以下のとおりです。
このように、サイボウズのメンバーと外部のエンジニアの繋がりにも、私たちは重点を置いています。そうなると、技術広報だけが発信してつながりを増やしても、理想的とは言えません。
だからこそ、現場のエンジニアが、ブログを書いたり、技術イベントに登壇したり、自分たちのイベントを開催したり、そういった活動を支援することを大事にしています。
エンジニアチームや個人が
情報発信する文化づくりの支援
情報発信する活動の支援
情報発信するインフラの整備
これらが大事な役割だと思っていますし、今後もその方向でやっていく予定です。
みんな〜技術コミュニティに参加しよう〜!というところですね。
開発本部に所属している意味
技術広報として、私たちは開発本部に所属しています。
とすると、目標とするところは最終的には、ソフトウェアがユーザーに届ける価値を最大化していくことになります。そのために、良いソフトウェアを健全に開発できる組織を目指すのですが、情報発信するにはこの健全さや誇りのようなものが大事だと考えています。
小手先に情報発信をしようと技術広報だけが頑張ってみても、おそらく誰も乗ってくれないし、持続しないし、上手くいかないんじゃないかと思います。
幸い、サイボウズのエンジニア組織の皆さんの多くは誇りを持って開発していると思います。ので、そういう方々には、背中を押して、コミュニティを知ってもらい、さらに自分たちのチームや個人として学びを持ち帰ってもらい、発信によって自信を高めるといった、良い効果のループを回していきます。最終的に組織としての力を高める貢献を、技術広報として狙っていくのです。
一方、もしそういう状況にないチームや個人であるならば、まずは仕事に誇りを持って取り組めるようにすることが必要なのだと思います。
今できてなくて、今後やるべきとおもっていること
評価や目標
世の中の技術広報の皆様も同じような悩みを持っているのではないかと思うのですが、何を目標にすると良いのか、決めきれていません。
@windhole さんやその他マネージャーの方々に目標についてアドバイスをいただきました。前述の理想というものは、いわゆる無限遠にあり、到達することはないものです。そこで、その無限遠の理想を目指したときに途中でどういうことが起こって欲しいかを考えて、それを目標として活動すると良さそうです。
コネクト支援チームの理想を考えると、前述の通り、現場のエンジニアの皆さんが情報発信を積極的にやっていくことが理想です。となると、その量などを計測すると良さそうだなと考えています。
今は、今年の活動を数値化したところまでやってみました。この今年の活動量を元に、来年はどういう数字を追うべきか(もしくは認識した上で、追わないかも)考えていこうと思います。
社内向けの活動
コネクト支援チームは4名でやってますが、イベント主催や協賛のご相談を情報発信に前向きな各チームからいただいています。とてもありがたいことです。
一方で、イベント対応に追われ、社内向きの活動が不足しがちです。
文化醸成については現場のエンジニアの皆さん任せになってしまっています。また、各チームで何を求めているかなどのインプットを、私たちから収集することができていません。
来年あたりは、従来の活動を効率的にしたり、取捨選択することで、社内向けの活動を増やしていければ良いなと考えています。
優先度に関する問題
優先度に関する問題は2種類あります。
まずは、優先度がそもそも決めづらいという問題です。
私達の活動は目に見える効果がすぐに出ません。ということは、効果だけでフィードバックループを回すことができず、どの活動が優先すべきか、というところを決めるのは難しいです。
現場のエンジニアが情報発信するための支援も必要ですし、コミュニティがあるからこそ情報発信が成り立つので、自社への取り組みとコミュニティへの貢献をバランスよく活動していく必要があります。
もうひとつは、「理想的な優先度」と「現実的な優先度」の問題です。活動に「理想的な優先度」がついていたとしても、一度始めた仕事には「現実的な優先度」が付きます。
例を言うと、◯月◯日に活動Aをすることが決まりました。そこへ、同じ◯月◯日に後からもっと理想的な優先度の高い活動Bの相談が来たとします。ところが、活動Aで関係者が動きだしていますので、理想的な優先度とは別に、活動Aの現実的な優先度が高く、活動Aを優先することになります。
この「現実的な優先度」と「理想的な優先度」の乖離を少なくすることが大切だと考えています。活動のスパンが長めであること(数ヶ月先の予定で動く)と、一度決まると動かしづらい(開発なら前後させても良かったりする)ので、合せ技として難しい問題になっています。
まとめ
サイボウズの技術広報は、現場のエンジニアが情報発信することを重視して、その支援が中心の活動となっています
評価や目標、社内向けの活動、優先度、が今後の課題です
宣伝
最後にちょっと宣伝です。
Cybozu Techというエンジニアの情報発信をまとめるポータルサイトを作っています。過去のサイボウズのエンジニアが発表したスライドや動画を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。
さぼてんのマスコットは、「さぼてっく」といいます。(サイボウズ+Tech)が由来です。よろしくお願いします。
あと、PHPカンファレンス関西2024で登壇できることになりました。
Garoon開発チームの事例をもとに、技術広報としての本質について考えていること(この記事の内容に近い話)をお話します。
こちらもどうぞよろしくお願いします。
それでは、また。