【高校古典】古典文法と入試①-1(2022年度広島大学第2問を使って)

2022年度広大(文学部)第2問より、古典文法に関わる問題を抽出しました。広大合格のためには、これらの問題は大外れが許されません!

大問1

①すべて歌姿は心得にくきことこそ。
 「に」が体言「こと」に接続していることから、可能性は次の2つ。
  ⒜ 断定の助動詞「なり」連用形
  ⒝ 格助詞
 ただし、今回は「~にこそ。」の形で終わっている。
 このように、「~(係助詞)。」で終わっている形を「結びの流れ」と呼 んでいる。

上記の場合、「(体言)+に+(係助詞)+あり」の形が成り立っており、このときの「に」は断定の助動詞であることが多い。
(答)断定の助動詞「なり」連用形

②まづ名を聞くより惑ひべし。
③みづからもいと心得ことなれば、
「ぬ」の識別問題である。「ぬ」の可能性は、
⒜ 打消の助動詞「ず」連体形
⒝ 完了の助動詞「ぬ」終止形
の2つ。識別は、接続か活用形で考える。

②は、「ぬ」が連用形「惑ひ」に接続していること、「ぬ」の後に終止形に接続する「べし」があることから完了
③は、「ぬ」の直前「心得」が未然形か連用形か分からないが、「ぬ」の後に体言「こと」があることから、「ぬ」は連体形であると分かる。したがって打消

(答)②完了の助動詞「ぬ」終止形 ③打消の助動詞「ず」連体形

④定かいかに申すべしとも覚え侍らねど、
識別の場合は直前を見るが、
⒜完了の「ぬ」・・・連用形に接続
⒝断定の助動詞・⒞格助詞・・・体言に接続
⒝断定の助動詞・⒞格助詞・⒟接続助詞・・・連体形に接続
⒠副詞の一部・・・「さらに」「げに」「いかに」など。
このいずれにも該当しない。その場合は、形容動詞の可能性を考える。
(答)ナリ活用形容動詞「定かなり」連用形の活用語尾
※活用表の「○○形」に書かれている部分にのみ傍線があるときは、「活用語尾」と答える。

⑤いづくにいかなるゆゑあるべしとも覚えど、
「ね」も先ほどの「ぬ」とほぼ同じ考え方をする。
「ね」の場合は
⒜ 打消の助動詞「ず」已然形
⒝ 完了の助動詞「ぬ」命令形
の可能性を考える。「ね」が接続している「覚え」は、未然形か連用形か分からない。しかし、「ね」の後に「ど」があることから、「ね」が已然形であることが分かる。よって、打消の助動詞と判断できる。
※「ど」は接続助詞で、已然形に接続する。逆接「~けれども」の意味を持つ。
(答)打消の助動詞「ず」已然形


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?