令和4年度国有財産無償貸付状況総計算書の調査(NHK党浜田聡参議院議員のお手伝い)
はじめに
こんにちは、さかさきです。今回は「令和4年度国有財産無償貸付状況総計算書」を調査しました。
国有財産について
国有財産とは何か
国有財産とは、「国が所有するすべての財産」を言います。具体的にどのようなものを言うのでしょうか。財務省のHPから引用です。
「国有財産」には、「行政財産」と「普通財産」の二種類あります。「行政財産」とは、「国が行政上の目的のために所有しているもので、庁舎や国有林野のように国がその事務や事業に直接使用するものと、国道や国営公園のように国民が使用するものなど」を言います。「行政財産」は、「公用財産」、「公共用財産」、「皇室用財産」、「森林経営用財産」の4種類に区分されます。
「普通財産」とは、「行政財産以外の一切の国有財産」をいいます。「普通財産は特定の行政目的に直ちに用いられることのないもので、その多くは旧軍の財産であるとか、行政目的に使用しなくなった庁舎などの跡地や、金銭の代わりに相続税として物納された土地、建物など」です。
無償貸付とは
国有財産において、普通財産は、無償貸付することができます。国有財産法には、以下の記述があります。
ケースは限られますが、「地方公共団体等が国有財産を公共性の強い用途に供する場合に 当該地方公共団体等に無償で貸し付けることができる」としています。ケースとしては、「緑地、公園、ため池、用排水路、火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設、と畜場又は信号機、道路標識その他公共用若しくは公用に供する政令で定める小規模な施設」や大規模な災害や緊急事態の対応に迫られた場合などになります。
令和4年度国有財産無償貸付状況総計算書について
国有財産無償貸付状況総計算書とは
国有財産無償貸付状況総計算書(以下、「無償貸付総計算書」とする)とは、以下のことを言います。
各省庁が作成した状況報告書に基づいて、報告されているため、「無償貸付総計算書には、国有財産法以外の法律に基づいて 無償貸付をした国有財産は計上されていない」ことになっています。
無償貸付状況について
まずは、無償貸付をしている国有財産の総額ですが、令和 4 年度末現在で 「1 兆 2,437 億円」です。用途別でみていくと、「公園の用に供するものが 1 兆 2,083 億円で最も多く、次いで緑地 119 億円、ごみ処理施設 90 億円、墓地 31 億円の順」となっています。
無償貸付を区分別に見ていくと、「総額 1 兆 2,437 億円の 99.8% に当たる 1 兆 2,413 億円が土地であ り、次いで立木竹 9 億円、建物 7 億円、工作物 7 億円の順」になっています。
また、国有財産を所管している官庁ごとの割合を見ていくと、「総額 1 兆 2,437 億円の 93.4% に当たる 1 兆 1,621 億円が財務省所 管(主として一般会計の普通財産 1 兆 1,612 億円)であり、次いで防衛省所 管の 334 億円、文部科学省所管の 275 億円、環境省所管の 136 億円、国土 交通省所管の 50 億円の順」となっています。
無償貸付を会計ごとに見ていくと、「一般会計は 99.7%、 1 兆 2,398 億円であり、特別会計は 0.3%、 38 億円」になります。一般会計では、「93.7% に当たる 1 兆 1,621 億円が財務省所管であって、 その主なものは、公園 1 兆 1,360 億円、緑地 94 億円及びごみ処理施設 75 億円」です。 特別会計では、「97.9% に当たる 38 億円が自動車安全特別会計所属で あって、その主なものは、公園 34 億円及び緑地 2 億円」になります。
国有財産の無償貸付状況を見ていくと、区分だと「土地」が多いこと、所管別だと「財務省」が多いことが分かります。筆者自身、「各省庁の報告書に記載されていない国有財産」の存在が気になるところではあります。
報告書を読んでみて
①無償貸付計算書に計上されていない国有財産について
「令和 4 年度国有財産の無償貸付状況に関する説明書」では、国有財産無償貸付状況総計算書は、「 国有財産法の規定により無償貸付等をした国有財産について、各省各庁の 長が作成した国有財産無償貸付状況報告書に基づいて財務大臣が作成したもの」としており、「国有財産法以外の法律に基づいて 無償貸付をした国有財産は計上されていない」ことになっています。
こちらは、どのような理由で計上できないのか。また、国有財産である以上、どういった国有財産が無償貸付されているのかを、全て報告してほしいと思います。
➁貸付対象について
国有財産法では、「地方公共団体、水害予防 組合及び土地改良区(以下「公共団体」という。)が、普通財産を緑地、公 園、ため池、用排水路、火葬場、墓地、ごみ処理施設、屎尿処理施設、と 畜場、信号機等の小規模施設、生活困窮者の収容施設、災害の応急施設、 地震防災の応急施設、原子力災害の応急施設又は武力攻撃事態の緊急対処 保護施設の用に供する場合に、公共団体に無償で貸し付けることができる」としています。そこに、貸付対象に民間企業も追加すべきではないかと考えます。
官民連携と叫ぶならば、緑地や公園といった土地などを民間企業に広く売却し、幅広い形で国民に還元すべきだと思います。こういう事を言うと、「外国企業に買われ、日本が植民地化される」という的外れな指摘が起きます。それは、国内企業のみに限定すればいい話ですし、それこそ減税をして、国内企業が手を上げやすい仕組みにすればいいだけです。一昨年ごろに、防衛費の財源を巡って、国有財産の売却をするという報道がありました。安定的な財源を得るためには、日本に数多くある国有地を売却していく形も考えるべきではないでしょうか。
③一時的でも、減税できる
会計別の現在額は、以下のようになっています。
無償貸付財産を会計別でみると、一般会計で「 1 兆 2,398 億円」であり、特別会計でも「38 億円」です。この金額を全てを使う訳ではありませんが、十分に減税の財源として、活用できそうです。これは、国会で報告されるものなので、国会議員は「知らなかった」では済まされないでしょう。よく、「減税するお金はどこにあるのか?そんなものはない」という意見(言い訳?)が政治家から言われますが、ここにあります。なんなら、防衛費の財源で国有財産の売却を検討していたのは忘れたのでしょうか。国には、無償貸付できるほどの国有財産があり、それを活用すれば、減税することができる可能性があることを知ってほしいです。間違いなく、一時的な減税は可能でしょう。
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