ポテトチップスくん
ポテトチップスくん
わたしが命名したこの青年は時々電車の中で遭遇する
推定年齢25歳
九州の田舎駅にまるでジャガイモの使者のような高貴な雰囲気で現れ電車に乗り込む
右手には某メーカーのポテトチップスの袋(未開封)
左手にはポテトチップス(1枚)
ドア付近にもたれ掛かり電車内の人たちにポテトチップスをこれでもかとアピール
左手のポテトチップスを食することなく、ただひたすら左手に持ち胸の前に掲げている
ポテトチップスの油で手は、ベトベトなはずだが、そんなことなど気にせず
アカデミー賞の受賞者の発表のように、カードを観客に見せるような優しくも自信に満ち溢れた表情が余計見る者を恐怖に誘う
わたくしは二駅で下車するためこのじゃがいもの伝道者が、どこまでこの行為を続けているか不明である
某メーカーのポテチップスが好きすぎて、朝の電車に油の匂いを充満させてまで、様々な人に知ってほしいための行為なのか
好きなアイドルや趣味を相手のことを考えず、ごり押ししてくるある意味純粋な輩と同類なのか
それとも、ある大がかりな賭け事に敗北し罰ゲームとしての行為なのか
それともポテトチップスを何駅食べることが我慢できるかという自らの限界に挑戦しているチャレンジ系か
それともまさか
あの大手食品メーカーの宣伝戦略!・・なわけないと思うが
考えれば考えるほど謎が謎を生む
ポテトチップスくん
わたくしが命名したポテトチップスくん
なるべく考えないようにしているが、いつも会社の有休休暇を取る時、彼がどこまで電車に乗り、何者なのか調べたいという欲求に負けそうになる
もうポテトチップスくんに心を奪われているのかも
あなたも・・
電車に乗ってあの独特な油の匂いがしたら・・
逃げられないかも・・
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