兄と妹 少しいい話
久しぶりに帰省した
久しぶりと言って数か月振り
まあ隣の市に住んでるので車で40分程度
だけどなかなか帰省しなくなった
あんなに生まれ育った街が好きで離れたくなかったのに
就職して結婚
家族が増えて子供中心の生活でなかなか親や地元の友人と頻繁に会いにいくことが減った
それでも若くない親が心配になり久しぶりに帰省
実家の近くにあるスーパーでちょっとしたお土産でもと立ち寄った
すると後ろからわたくしの名前を呼ぶ女性の声が
振り向くと品のいい老婦人が
実家の近くに住む人だった
もう何十年振りだろうかと懐かしく思う暇もなく質問攻め
少々めんどくさいと感じながらも話をしていると話は妹の話へ
そうわたくしの妹
東京に嫁いでいる4歳年下の妹
昔から仲が良くいつも一諸にいた記憶がある
そんな妹とわたくしのエピソードをその婦人は話し出した
「あなた達二人は本当に仲が良かったね・・覚えてる?水たまりの時!」
う~ん?色々思い出そうとしたが思い出せない・・まず水たまりって言葉を聞くのも何年振りだろう・・
キョトンとするわたくしに少し呆れた婦人はドヤ顔で話しだした。
「あなたが小学校6年くらいで妹さんは小学校2~3年生くらいのとき。大雨が降って道路に水たまりが所々に・・そんな中うちの家の前をあなたと妹さんが歩いていきたの・・
わたしが家の中からあなた達を見ていたらあなた達の前に大きな水たまりが・・
あなたは大きくジャンプして飛び越えたの・・
妹さんはジャンプできないから少し泣きそうな顔で水たまりの先にいるあなたを見てた
わたしはどうするのかな・・と思いながら見てると、おもむろにあなたは自分の着ているジャンバーを脱ぎだした
そしてそのジャンバーを水たまりの中へ
そして妹さんに「ジャンバーの上を通れば濡れないから大丈夫」と言ってジャンバーを踏んで妹を迎えにいき手を引いて渡り切ったの
びしょびしょに汚れたジャンバーを畳むあなたと「ありがとう」と泣く妹さん
その時とても微笑ましくて感動した」と話してくれた・・
まるで記憶にないわたくしだが、その婦人が嘘などつく訳がなく、少しだけいい気分で実家に
そしてその話を母親にすると少し微笑んで「本当よ!」
やっぱり本当だったのか・・
でもなぜ母親が知ってるんだ・・
そんな顔をしているわたくしに母は
その見てた婦人が電話をくれたの・・
「お兄ちゃんが自分のジャンバーを汚して持って帰ると思いますが・・怒らないで下さい!これこれこうで・・」と
そうだったのか・・納得する自分に
母は一言
「昔はお兄ちゃんらしかったのよ・・今と違って・・」