ロードバイク考4 パーツの進化
自転車というのは工業製品です。
歯車があって、それをチェーンで繋いで、人間の力を動力へと変換します。
これって、とてもロマンの有る物だなあ。
なんて思う人も居るんじゃないでしょうか。
歯車と言えば時計。
かつてはスイスの時計工房が、お互いに技術を競い合い。正確さや複雑な機構を生み出してきました。
それが、日本の精工舎が発明したクォーツ機構により、一発で太刀打ちできなくなります。
当然です。ゼンマイでいかに精密に時を刻むように頑張っても、水晶振動子という科学の力を利用した物には勝てない。
そして、職人が一つ一つ手作りをする機械式腕時計より、安価に大量生産できるようになります。
それにより、世界の多くの人が時を身近にすることが出来るようになった反面。クォーツショックと言われる、機械式時計の会社の倒産などが相次ぐことになりました。
しかし現在は、再びスイスメイドの機械式時計が評価され高値で取引されるようになっています。
これは、男の子の「機械」に対する憧憬と崇拝によるものだと考えています。
さあ。最近では電動キックボードや、電動アシスト付きじ電車が一般化していますが。同じ様に、100%人力だけで自転車は永遠に不滅だと信じております。
とまあ。色々言っては見たものの。その機械のシステムも時を重ね次第に進化、発展してきております。
そんなシステムの変化のいくつかを、見てみたいと思います。
ディスクブレーキ
ディスクブレーキは元々車やバイクなどに利用される物ではありました。
自転車の場合、軽さを追求した車体に、一人乗りの車体。そんな状況からディスクブレーキまで必要とされることが無く、リムブレーキが採用されてきたと思います。
それに実際ディスクブレーキがレースで解禁されたのは2018年から。かなり歴史は短いとも言えます。
ディスクブレーキは、元々マウンテンバイクの方で使われることが多かったのではという認識。
これは、山を下り車体にかなりの負荷がかかり、より強い制動力を求められるシーンが多いからだと思います。
はっきり言っていい事だらけなのです。
最近では、カーボンホイールも当たり前になっています。リムブレーキとの相性がイマイチなカーボンホイールでは、当然ディスクブレーキの方が優位だと思います。
2018年以降、当然レースでも使うチームは増えています。
問題が有るとすれば、重さが増えること。
クライマーは軽いリムを選択する事も多いんじゃないでしょうか。
あとは、トラブル時のタイヤ交換に手間取る事がある。
そこら辺で、リムブレーキを採用するチームもあるようです。
これがロードバイク最先端のレースの場の話だと思います。
だけど、一般的な素人ライダーにそこまでのスペックは過剰だと僕は感じてしまいます。むしろ我々一般人には、重さが軽く、値段も安く、とリムブレーキの良い点の方が多いんじゃないでしょうか。
今のリムブレーキ超効きますからね。
と言っても、一般の人達でもディスクが良いっていう場合も多くあります。
例えばカーボンホイールをちょいするなら、高級なカーボンリムがすり減って寿命を短くしてしまうという面から、ディスクの方が良いのかなとは感じます。
あと非力な女性などは、リムブレーキを必死に握るより、より効きの良いディスクブレーキの方が安心だったりすると思います。
それから、ディスク化によって、リムブレーキとは違い、タイヤの太さをもっと太い物を選べるようになります。
昨今のグラベルブームにも相まって、太いタイヤを履きたいユーザーの希望を取り込み、ディスク化の優位性というのがここでも現れます。
そんなんで、ディスクを全否定するわけでも無いです。が、メーカーの自転車の製品サイトをみていると「手軽にディスクブレーキをデビューしませんか?」みたいなのも普通にあります。
で、ズラッと並んだ製品の中にリムブレーキは最安の一品にしか無いのです。
どうなんですかね?
トレックのエモンダとか、(今年のモデルで統合しちゃいましたが)クライミングモデルを作っているメーカーさんには、ハイグレードにもリムブレーキ仕様の入れてもらいたいかな? って少々。
あと、機械式の味わいが好きな僕としては「機械式ディスクでいいべ?」と言うのがあったりします。油圧にはロマンを感じられません(個人的な感想です)むしろトラブルの種類が増える油圧より、機械式でと。(個人的な意見です)
スルーアクスル
これは、もしかしたら、ディスクブレーキとつながるかもしれませんが。
ディスクブレーキの性能を活かすにはフラットマウントがオススメで、フラットマウントにはスルーアクスルだということ。
クイックリリースと比べて、スルーアクスルの方が、タイヤの剛性が出るんです。太い棒ですからね。しょうがないです。
穴に差し込めば場所も決まりやすいです。
ただ、これ、本当に必要かと言うと。
やはり競輪選手並の筋力が有るとか、レースでコンマ一秒を争うとか、そういう部分での差だと思うんですよね。
YouTubeみてて、「これクイックリリースだから選ばない」と言うセリフを見たことがありますが。クイックリリースこそ、カンパニョーロの発明した歴史ある遺産なのですよ。
もう悲しくなってしまいます。
厳密に言えばスルーアクスルも重いです。
ディスクに、スルーアクスルにと、重さが重なります。
軽さが命のロードバイクですから、良いことだけじゃないって思ってください。
ただ、規格というのは進化していけば古いものは消えていくのはしかたありませんが。自転車は機械式を楽しむ物と考えれば旧タイプの規格もきちんと残すべきだと考えてしまうのです。
子供の頃に買った自転車を四十年も乗ってる僕だからこそ。これのパーツが壊れても、代替品がある。
そんな世界がほしいのです。
チューブレスタイヤ
厳密にはチューブレスタイヤにもチューブラーとチューブレスレディの二種類がありますが。
これも考えてみれば車のタイヤとかから落ちてきた規格かもしれませんね。
チューブラーはレース時のここぞという場面でのタイヤということにするとして。チューブレスレディをメインに話しましょうか。
チューブレスレディの方が、クリンチャータイヤよりパンクがしにくいというのは本当だと思います。パンクしない。それだけでサイクリストのストレスの一つが解消されます。
ただ、チューブレスレディが一方的に良いかと言うと、まだまだホイールとの相性とか、ばらつく部分が有ると思います。
必死に頑張ってもビードが上がらない。シーラント液がこぼれる。結果チューブインしてしまう。なんて話もちらほら。
車のタイヤとかと違って、自転車のタイヤは細くて薄くて。機構的にまだまだ未熟なのかもしれません。
今後を見ていってもいいかもしれませんね。
今組んでるロードは、悩んだ末、クリンチャーで発注してます。なんとなく今後クリンチャータイヤが減って選択肢が減っていくのかな? って思うと。交換するまでは一度クリンチャーでと思ったり思わなかったり^^;
ホイールはチューブレスレディに対応していますしね。
チューブレスレディの良いところとして、もう一つ。空気圧を下げて乗り心地を上げることが出来ると言うことがあります。
最近はガチガチのロードバイクより、グラベルロードの方がブーム来ている気がしますが、もしかしたらそういう流れ的にも、乗り心地。というのは大事な要素なのかなって思います。
電動変速
これも最近、105以上だと普通にありますよね。
機械式を反故にしてしまう、電動変速システム。
スパッスパッと決まる感が、ヤバいらしい。
良いものなんでしょう。それはよくわかります。なんて言ってもプロが選んでいるのですから。
ケーブルがなければよりエアロに振れますし。
ディスクブレーキと同じで、女性が軽い力で変速できるという利点もあるようです。
ただ。
YouTube見てても、ツーリング中に「あ、電池切れた」ってインナー縛りで走り続ける姿とか、ありましたけど。
安心安全の機械式。ワイヤー式をどうか。ご支持を。
だって。ロマンg(略
で、結局。
新しいものはそれなりに良いことが多いです。
ただ。高級な自転車を買い替えるような物を強いるような程の強い流れにも感じてしまうのです。
某YouTubeで(そればっかりですいません)「リムブレーキの墓場」みたいなタイトルで中古自転車を売っているチェーン店を出していました。
あれもきっと。そのうちの何台かはディスクを買うために売ったとか。有るのかもしれないなあ。なんて思っちゃいます。
僕のように買ったら何年も乗り続けたい。だから、チタンフレームを選択した。とかいう人も少ないのかな。
毎年のようにデザインが変わったり、年々進化してくるエアロ理論など。カーボンフレームで先進を追っちゃう人は、五年もすれば百万オーバーのお金をかけた自転車が時代遅れになってしまうんです。
機械仕掛けを愛したい男の子は。ちょっとさみしいと感じませんか?
ロードバイクの良さに。プロが最前線で使っている技術を僕らも味わえるというものがあります。
F1にどんなに憧れても、レーシングカーには乗れないですよね。
一部の人は、スーパーカーに乗ることは出来ますが。
でも自転車は、最近は高すぎるものの二百万ちょい出せば最高級グレードを味わえちゃうんです。
憧れのサガンと同じバイクに乗れちまうんです。
そういう楽しみ方をしている人に「機械を……」なんて事を行ったらそれこそ無粋です。
だから、いろんな楽しみ方を出来るのが工業製品を楽しむサイクリストたちを広く集めることが出来るんじゃないかって。思うんですが。
ただ、ディスク化も電子化も、搭載する自転車の値段は高くなります。
チューブレス化もある意味、カーボンホイールの硬い乗り心地もチューブレス化で良くなりますよ。なんて流れを考えれば間接的に値段の高騰に寄与しちゃっているんですよね。
値段が上がることで、新規参入者が入りづらく。
互換性が無くて、フレームごと交換しなくちゃ時の流れについていけないような後ろを見ない技術革新が多く。継続性にも難があり。
現在のユーザーから如何に金を取るか? という流れがまずい。それは業界、元気がなくなるよと。
各メーカー、最先端。高品質。高級品化も良いんですが。安く良いものを、って開発できれば嬉しいですよね。
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