自由と共に生きてゆく。

昔から普通が嫌いだった。

漫画が好きだった。
音楽が好きだった。

漫画の中のキャラクターは特別な能力や魅力があり、
歌の中では想いを代弁してくれる惹き込まれる言葉が並んでいて、

いつも希望の道しるべだった。

まだ現実との境目で生きていた、幼い頃。

いつかきっとわたしにもそんな日々が来るのだろうと過ごした時間は
両親が用意してくれた平和の上に成り立っていた。

要するに、食う寝るところが何も考えずに用意されていなければ、夢は見ることが出来ないと実感したのは少し先の話だが。


時は経ち、
社会の一員になったとき。


漫画の主人公や歌詞の代弁者のように何者かになりたかったわたし。

彼のような特殊能力はないけれど
彼女のように人の心を癒す音楽は作れないけれど

同じように
特別な魔法をかけられることができるのは
美容師という仕事なんじゃないかと
美容師になった。

髪やファッションが自由なことは
自分は普通じゃないという錯覚に酔った。


でもそれはただの虚像でしかなくて
結局は食う寝るところを作るため
普通に当てはまらなければいけない現実を知った。

組織の中で求められる自分
お客様に求められる自分
世間一般にいう27歳女性とは。


美容師はこうであるべき
女はこうであるべき
そしてそれに従った結果、
母はこうであるべきの呪縛

生きるために得た技術は
自分を殺していき

いつのまにか
何者かになりたかったくせに
用意されていた「ナニモノ」と言う型に当てはまるだけ。

場所を変えても型が用意されていて
求められるカタチに変化させ

おこられないよーに
きらわれないよーに

スライムのように
どんな型にもきっちりと仕舞われていく

はみ出てしまえば潰される、
けれどもドロドロになった私の中身。
痛覚はなく、また元に戻るように順応していく。

その変幻自在さが自由だと履き違え、
与えられた仕事をこなして得たお金を
実力と勘違いし、
そんな自分が「大人」に分類されたと思った。

それでもスライムは

どんな型に
仕舞われていてもしっくりこなくて

ドロドロと新しい型を求めて這い続けた。

何者かになりたくて。

求めても
求めても
求めても

しっくりくる型が見つかることはなかった。

なぜならば
これまでの型こそが
嫌っていた誰かが作った普通の型であり

おこられないよーな
きらわれないよーな

可もなく不可もない

そんな型ばかりだったから。

憧れだった主人公も
寄り添ってくれた言葉たちも

型なんかにハマりに行ってはいなかった。

自分自身がカタチとなって
周りがそれにハマっていく。

それこそ
キャラクターであり
タイトルである。

自由だと思っていた変幻自在さは
他人に委ねた他由であり

量産型のコピペ。

普通でしかない
わたしの心は
どんどん解けるに決まっていた。

だって
自らが由とすることができないのだから。

そうなってしまったのは
自ずからの責任で。
これを受け入れ、
ドロドロになった身体の芯を作る理由ができた。


そして制限が初めからない状態ではなく
制限の意味を知った上での本質的な
解放こそが自由であると知った。

私が嫌っていた普通とは
その誰かに作られた制限という型であり
身を固めるというのは制限ではなく
むしろそれこそ自らが由とする姿。

オリジナルであり
唯一無二であり
最も重要な本質。

この気づきこそ
人生の始まり。


いつでも人生今が盛り。

最高な自由と共に生きてゆく。

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