[ライブメモ] モグラ!モグラ!モグラ!
「SUNNY CAR WASH presents モグラ!モグラ!モグラ!(w/ハンブレッダーズ)」@20211125 恵比寿LIQUIDROOM の記録です。最高すぎてすぐに寝ついてしまい、そこから公開しそびれていました。レポートとかではなく、本当にちょっとした、メモです。
◆
恵比寿。
いつもあまり降りない駅の改札や出口に向かうのはいつもドキドキする、というか普通に経路を間違えて会場に着くのがギリギリになった。
着いてすぐ、つま先を立ててミーアキャットのように会場全体を眺める。既にフロアには整理番号順で入場したであろう人たちが詰まっていて、他の人を掻き分けてフロアの真ん中に行くことは困難そうだ。となると両端にある、丁度よく段差がある場所にスタンバイするのがベストそうである。
上手側もしくは下手側、つまり、でらしさん/アダムさん側か、それとも うきくん(サポート)/羽根田さん側か、どっちが見やすい(見たい)かを悩みながら、結局上手に立つことを決断する。
特定の推しメンバーの存在が明確に頭にあるとかではないので、ここら辺は本当に気分だった。両バンドで、ベースとギターの立ち位置が逆だったこともあって結果的によかったな。
スタンディングだし、冬なのでコートもあるからとロッカーに荷物を入れたり、開演したら邪魔だろうとドリンクを飲み干してゴミ箱に入れる。携帯の画面を見るともう開演一分前だった。
◆
はじめに登場したのはハンブレ。
「スクールカーストの底辺から青春を歌いにやってきましたハンブレッダーズです」のひとことからライブは始まった。
ニューアルバム『ギター』がリリースされたばかりでのライブだったので、「再生」「BGMになるなよ」「ギター」といった新曲たちが曲目に並ぶ。
「自分たちと同じくらいグイグイくる歌詞の曲を歌うなと思ったのはSUNNY CAR WASHだけ。正直バンドを続けてほしかった。アダムはまだ音楽を続けてくれるようなので、これからも楽しみ。」
「今日は2人がまたバンドやろうかなって思わせるくらいのライブにしてやる」
ムツムロさんの力強い口上がライブハウスの体感温度をまた一度あげているような気がする。
サニカーを全力でリスペクトしながら演奏したハンブレの勢いには、着いていかざるをえないと感じさせるような疾走感があった。
◆
どの曲も音源だけでは何回も何回もリピートして聴いてきたけど、サニカーの演奏を生で見るのは今日が初めて。
というか、「解散予定のあるアーティストのライブ」という状況も初めてだったので、どういう心持ちでライブを見届ければいいのか、心のやり場に迷う。
楽しみがもちろん9割以上なのだけど、このライブはバンドにとって、また自分にとってどういう思い出になるんだろう...なんてことを残りの1割で 考えてしまい、何とも言い難い不思議な気持ちを味わいながらライブが始まるのを待った。
サニカーの音楽は、やわらかい。なにか強いメッセージを訴えるかのような歌詞とメロディーだと感じることもあるけど、その一方で、包み込むような優しさがアダムさんの歌声や演奏から感じられる。このちょうどいい塩梅がとても好きだ。
ライブ中もこの優しさというかやわらかさを感じる瞬間があって、素敵なバンドだなとつくづく感じる。
曲間にアダムさんが話していたのが、ライブのタイトル「モグラ!モグラ!モグラ!」について。
土の中に潜って動き回るモグラ同士が「チョン!」と(ここで人差し指の先を自分の顔の前でくっつけるアダムさん....。尊)ぶつかって出会うように、
今日のこの恵比寿のライブハウスも、来た人と音楽、バンドが出会う掛け替えのない空間にしたい、といった意味があるのだとか。
アンコールを終えて退場するとき、ひらひらと手を振りながら「また会いましょう〜 」と言った時のアダムさんのはにかんだ笑顔、そして羽根田さんの静かに、でも深々としたお辞儀が忘れられない。
この言葉と行動、私は次のライブがラストライブということも踏まえて噛みしめながら受け止めたのだけど、アダムさんや羽根田さんから楽しさの気持ちが目いっぱいあふれ出ているように感じられて、本当にこの来月でバンド解散するの?とまで思ってしまった。
結論として、行って本当によかったライブだった。
サニカーの解散をハンブレと一緒に惜しめたこと、そして両バンドに心おきなく没入できた空間を過ごすことができたこの日の帰り道は、冷たい夜風も感じさせないポカポカした心が自分のなかに充満していた。