「美しい恋の思い出」
ちょっと前に衝動で書いた日記を再編して公開。
今の旦那と結婚したらあげようと思っていてそのまま忘れていたのと、ヤチナツさんの20時過ぎの報告会④で、「思い出して美しい恋の話」があったので、思い出して投稿。4巻も面白かったです。夜中目が覚めた時にすぐ買って明け方に一気読みしました。
人間、干渉に浸ってるときこそ女優だ。わたしの創作物はなんらかのクソでか感情があったときに生まれているから、自分でも読み返すと当てられるので、あらゆるものが作って終わりなんだけど、これもまあ書いたしな、無かったことにするのもな、という感じです。
でもなんというか、すごく、酔ってる感があるので、読まなくてもいいかもしれない……
わたしがパートナーに求めるものを明確にしたいなと思い、今の人と真逆の、好きだった彼に会って考えたいと思った。
服装とかは昔と変わらずで、なんか、普通で良かったような気がした。わたしはたまたまだけど、おろしたての服を着て行った。でも、そんなんじゃなくてもよかったなと思い、これは見栄を張っていますと言った。
わたしが現恋人の話をする。相手は苦笑し、わたしが現恋人をうっかり詰めたエピソードとして話すと「そんなこと言ってるの」と引かれて面白かった。
逃げ恥のこととかを話した。社会の不平等や弱者の方に立つということを、なぜ君はできるのだろうというと、「音楽をやっていると、そっちのことを考えないとかっこ悪いから。音楽をやっていなかったら、自分もホモソーシャル概念の自覚なしに生きていたかも」と言っていて、その謙虚さすらかっこつけなのかもしれないけど、素敵な話だと思ったので、わたしは「それを聞けただけで今日会えてよかった」と言った。感度が高い人がかっこいい音楽や芸術の世界では息がしやすい2人だった。
わたしが異性愛者で、仕事ができる男のことがうっすら全員好きだという話をした。彼は好きになる人の特徴を「面白くて、エピソードトークがあるような人」と言ったが、その後の撤回も面白かった。彼も、第一印象はあるにせよ、大体の女の子がうっすら好きらしい。人を信用できている点が美点だと言うと、そういう考えもあるのか、と笑っていた(どういうくだりかは覚えていない)。3時間くらい、いろんなところで話をした。「多分、誰と結婚してもそれなりに幸せになれるんだよ」と言っていた。その静かさが頼りなく、諦観の癖のある彼らしくていいと思った。茶色の目の虹彩が、長い睫毛が、懐かしくて一番好きな部分だと思った。マッチングアプリの導入で「この社会についてどう思うか…」「帰ります」ってコントしたのとかが面白かった。
今、昔やってた習い事とかの話をしたのが新鮮だった。恋することに恋していたような未熟な時代には、知れなかったことがたくさんある。
ダイアログインザダークはちょっと恥ずかしかった。接触せざるを得ない時には、うわ、と思ったし、ほぼ呼んだことのない名前をニックネームで呼ぶのが小っ恥ずかしくて居心地が悪かった。こういうのは、異性の友達と来るものではない。初めて絵を見たりして、楽しかったけど。彼の、上っ面のような他者への声のトーン、あれはなんだろう。本心じゃなく聞こえると言ったら、本心だけど?って言われそうだ。
彼からの好意や彼への好意とかがあるとかではなく、わたしがキャッチしやすい、好意として解釈しやすい方法で行為を示してくれることが心地よくて、わたしが欲しいのは彼との中ではなくてそういうコミュニケーションなのかもしれない、と「好意を寄せること」と「好みの好意の受け取り方」は、分けられる可能性が出てきた。
わたしの意向を無視した苗字の問題で喧嘩をしたけれど、彼は「君の苗字が綺麗だと思った」と言うし、「そういう繊細さがある人がその仕事についていてよかった」と伝えてくれる。足りないところを埋めてくれるようだった。
現恋人は、ラーメン屋に向かう途中でもぼそぼそとわたしへの関心ではないことを話すし、わたしの方なんて見ずに雀魂してるけど、現地集合か聞いた時に一台で一緒に行こう、と言うところに愛を感じたりしている。わたしの方で後天的に好意受信アンテナを伸ばしたので、そういうことにもじんと来られるようになった。大人になった。
好きだった人は多分わたしよりロマンチストで、友達の言っていた花火をしたがる彼氏とそれを仏の顔で見守る彼女みたいな差があると思った。それが、帰りの電車の中でわかって、ちょっと面白かった。電車でどこまで一緒に帰るか、そういうところに充足感が出ると思った。
「また何かあれば」と彼は言った。そうやって一歩引いて自分では運命を変えようとしない臆病さがずるくて彼らしい。わたしは運命を変えないことにした。
現実に戻ると、恥や緊張のない、現恋人との続く生活が待っている。会った彼とそこに至るまで試行錯誤しようという気概はない。多分、生活としては、今のままが十分幸せだ。
多分わたしは、一生鮮やかな恋を引きずっていく。あったかもしれない恋を、運命と呼んでいくことにすればいいのだろうか。わたしは彼のために、一生おもしれー女でいたい。わたしの鮮烈さを彼の中で一生持続させたい。それでも、恋を生活にするまでの過程にあまり惹かれない、惹かれてはならないと思うのは、お互い、加齢による億劫さだけが理由じゃないといいのだけれど。
現恋人のためにどういたいとかは、何も思わない。ただ、楽しそうで、幸せそうで、できないことのたくさんあるわたしでいいと思う。できれば、疼く胸を引きずって、中二病的にドラマチックに、ずっと。
最悪なことに、翌晩やっぱり彼の夢を見た。内容のない、ただ奴の存在が大きいだけの夢。これは多分、定期的に見続ける悪夢。
…という、日記を、1年前に殴り書いていたらしい。
時が進み、そんなにドラマチックに捉えなくても人生は幸せだし、後生大事に抱えるものではないでしょうと思うんだけど、書きたくなるほど感性が動いたんでしょう。失恋にどっぷり浸かるように、悲劇のヒロインのように。
なお、当時付き合っていた彼とは無事入籍し、元好きだった人とは浮ついた関係ではない。