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Netflix『極悪女王』紹介・感想

こちら、Netflixで話題になっているオリジナルドラマを鑑賞しました。元々存在を知った時は特に期待もしていなかったのですが、先に鑑賞したNetflixのオリジナルドラマ(『地面師たち』、『サンクチュアリー聖域ー』)がやたらと面白かったため、最終的には配信日を指折り数えるくらい楽しみにして、配信日に全話一気見しました!スゲー面白かったです!!

実は元女子プロ好きという属性があるため、出演陣の熱演もあまり知らなかった80年代のダンプ全盛期も存分に楽しめました。テーマや内容としては一般的には地面師たちの方がオススメしやすいとは思いましたが、多少なりとも予告で興味を持てるようなら確実に楽しめると思われます!

↓なんか予告編を見るだけで面白そうじゃないですか!(面白いです!)


鑑賞のきっかけ

一番初めのきっかけとしてはNetflixのCMです。サンクチュアリの時と似てますが(小学校の頃は幕内の取組全部見てた)、実は実家にはCATVが導入されており、テレビっ子だった私は小中高の頃にグリーンチャンネル(競馬)、スペースシャワーTV(J-POP)、GAORA(阪神戦および女子プロ)ばかり見ていました。自分が見ていたのは90年代なので既にダンプ松本は引退していましたが、長与千種はすっかり身体もデカくなってラスボス的に活躍していました。というか後年調べて知りましたが、GAORAが契約していたGAEA JAPANを旗揚げしたのが全女を去った後の長与千種でした。かなり好きで何度も見ていたチーム・エキセントリックの活動期間(2002年)を見ると、21世紀になってもしばらく熱心に観てたようなので大学生になった頃にも見てた模様。

次のきっかけはその前に見た『地面師たち』と『サンクチュアリ -聖域-』がやたら面白かったことです。もうNetflixがガチでPRしている+自分の興味のあるテーマ=オモロー確定といった感じです。

最後のきっかけが極悪女王の配信開始日が妻のNetflixトライアル契約期間にギリギリ間に合ったことです。一気見すれば間に合う&全5話と短めだったので余裕で一気見しました。


ネタバレなし感想

冒頭の繰り返しになりますが本作もメチャクチャ面白かったですね。
過去の感想と同様に短くまとめます。ちなみに本作は実話のドラマ化なのでネタバレという感じでもない気がします。

出演したレスラー役の熱・本気度
これがやはり素晴らしかったです。モデルとなるレジェンドレスラーが軒並み絶賛しているように、メインキャストは1年ほどのトレーニングを積んだようで相当形になっていると感じました。特に憑依感がヤバかった主演のゆりやんと、実際に丸刈りも受け入れたサブの唐田えりかが非常に良かったです。サンクチュアリの時も同じようにガチンコ感を強く感じたのですが、由緒正しい相撲界と黎明期の女子プロという違いと、こちらにはモデルがあるという点が大きな違いだと思いました。当時の全女は中卒高卒の若者をオーディションなどで集め、ある程度形になったら即デビューさせ、25歳を定年とするスタイルを貫いていました。フジテレビの芸能部とコラボしていてこともあり、歌や踊りを入れるなどショー的な要素も強く、相撲のように基本的にはガチ稽古⇒ガチ実力勝負(昔はお注射も良くありましたが)ではないので、その意味でも「リアル」感はサンクチュアリを上回っていたような気がします。あと、メインキャストがサンクチュアリよりもそもそも有名というのも大きな違いです。本作に臨む意気込みが可視化されていたのも日本人からすればプラス要因だと思いました。

ダンプ松本の覚醒っぷり
キャストは皆良かったのですが、やはりメインを張るゆりやんが素晴らしい存在感でした。序盤は優しく大人しい松本香。丹念に前置きをしておいてから中盤の覚醒からの快進撃は見ていて気持ち良かったです。事前に十分にヒールとしての覚悟を決めるシーンを描いているので、フォークで長与千種の頭をエグっても当時のファンみたく「帰れ!〇ね!」とならないで観られるんですねぇ。そう考えると悪役はヒールに徹しないとファンは分かりやすい構図で楽しめないので、その点でもダンプは最高のヒールだったんでしょう。

当時の雰囲気の再現度
と言いつつ当時を知らないので「っぽさ」ということになってしまうのですが、昭和全開で再現度が高く、今の地上波ではできなそうなことも多かったのでその点も見応えがありました。一番印象的なのは小人プロレスのレスラーと思える従業員の姿でしょうか。他にもファッションや小物類、クラッシュギャルズが出演するTV番組、どこでも喫煙する文化、などなど80年代らしさをサボらずきちんと再現したのが素晴らしいですね。制作陣の当時へのリスペクトを強く感じられたのが当時を知る者にも知らない者にも受け入れられる理由ではないかと思います。後で全女の寮の紹介映像を見たところ、こちらの再現度も素晴らしかったです。


気になった点(若干ネタバレあり)

本作スンゲー面白かったのですが気になる点もいくつか書いておきます。
いずれもドラマの面白さという点で実際は大して気になってませんw

99.99%スタントなし!
どこかでこんなキャッチフレーズを聞いたのですが、じゃあ残りの0.01%も頑張って完全ノースタント!演者の体当たり演技!と胸を張って言えるようにしたら良いのにもったいない!という印象。ちなみにwikiを見ると剛力ライオネスのボディダブルを門倉凛がやってるということで、北斗晶の息子と結婚するより前だったのかな?というどうでも良い疑問が湧きました。

ラブリー米山って誰やねん
レベルと立ち位置的に自分が知っているのがナンシー久美くらいだったのですが、どうやらモデルじゃないかと言われているようです。ご本人NGだったのかこっそりダンプ側NGだったのかは分かりませんが、だったら削るなり他の先輩レスラーを出せば良かったような気がします。配信イベントでのキャストさんもなんだかモデルレジェンドがいなくて可哀想でした。

松永は4兄弟でっせ!!
業界では超有名な4兄弟(出てこない長男もいることを含め)なので、冒頭でちょっと違和感がありました。まぁ創作としては役割はある程度集約して人数を絞るのがセオリーではありますが。

住んでるアパート安普請すぎる!
ダンプ覚醒直前のシーンでの壁崩壊がドリフのコントみたいで、突き抜けて吹っ飛んだ瞬間に「おいおい」と笑ってしまった。そのせいでその後の覚醒シーンをどんな感情で観れば良いのかちょっと分からなかったっす。(観ながら脳内で「笑えばいいと思うよ」と緒方恵美さんが呟いてました)

ちなみにダンプ引退後の女子プロレスラーはヒールタレント揃いなので「続編見たい!」という声もちょくちょく目にしましたが、話題性を含めると続編が更に成功する可能性・蓋然性は極めて低いのでまずないでしょう。サンクチュアリと違ってこちらはダンプの天下から引退まで描いているので、全5話で綺麗に完結したなぁという印象です。


登場レスラーの思い出(チラ裏)

この項はドラマ鑑賞前の私自身の登場レスラーの思い出や印象+キャストへの印象などになりますので、人の思い出話に興味ない方は躊躇なく飛ばしてください。完全にチラ裏的内容です。

〇ダンプ松本
物心付いた頃には知名度はまだ抜群ながら完全に引退状態でした。平成初期は過去を懐かしむテレビ番組が多く、たこやきラーメンのCMは「当時〇〇歳」みたいなテロップと共に何度も見た記憶が。どう見ても優しい顔立ちなのでガチのヒールレスラーだったのは後で知って驚いた。世代のヒール、アジャはオフで割と人柄を見せてたから同じ感じだと思ってた。
ー演:ゆりやんレトリィバァ
いやぁ良かった。非常に良かった。制作決定の頃は鈴木おさむとゆりやんって話題先行型のイロモノ作品になるのでは?という気がしていましたが、Netflixではそんなことにはならないというのも良く分かったし、ゆりやんがこんなに適役だとは思わなんだ。思えばいつも芸人として自身のキャラを憑依させているので芝居も向いているんでしょう。ダンプさん本人も絶賛してたのでかなり再現度は高かったんだと思います。

👇たこ焼きラーメンのCMはこちら。正直なところ美味しそうではない。


〇長与千種
GAEA JAPANを熱心に見ていた自分にとっては女子プロと言えば長与千種。見ていた頃は既に大型化していてラスボス的レスラーになっていたので、歌って踊ってアイドル的人気というのは当初謎でしかなかった。クラッシュ・ギャルズ時代の映像を見るとあどけない感じで人気があったのも納得。ちなみにダンプと因縁があったというのは結構大きくなるまで全く知らなかった。自分が観てた頃はGAEA JAPANの経営者兼トップレスラーでした。
ー演:唐田えりか
生粋のジゴロ東出と不倫した人というイメージしかそもそもなく、演技どころか顔さえ良く分からない状況。絶対男の方から誘ったんだろうと当時から思っていたので、正妻ができた人過ぎて必要以上に叩かれて可哀想という印象だった。ワイドショー以外では今作で初めて見たが素晴らしかった。長与千種は後年のイメージが強いけど当時はまだまだ細かったようで、見た目も似てたしノースタントで頑張った。

👇なお、私が観てた頃は「長与のペアと言えば広田さくら」という感じ。


〇ライオネス飛鳥
現役時代のファイトは全く見たことがなかったものの、テレ東の「ゲーム王国」のレギュラーだったためサカナ少年にとっては馴染みの存在。子どもから見るとすればカッコ良すぎる名前と風貌で女子プロレスラーカッコ良いの代表格。名前も見た目も考えて人気は当然ライオネス飛鳥と思っていたので、長与の方が人気が上だったという情報を見た時はびっくりした。割とファンなので会ってみたいけど銀座の会員制スナックはハードルが高い。
ー演:剛力彩芽
たまたま『IS〜男でも女でもない性〜』というドラマを見て(その時からヒルクライム割と好き)を見て変わった苗字とボーイッシュキャラで印象に残っていた。その後はヤマザキダンスやどう見ても配役ミスのビブリオ古書堂など徐々に印象はわるくなってたけど、前澤社長と付き合い始めて以降は世間の風当たりが強すぎてむしろ自分としては応援してました。本作については特徴的な髪質と髪型が再現されていた印象で、再現度が高いと感じた。運動神経良さそうだし適役かと!

👇自分は和歌子姉さんOUT、一平INのⅡを超見てた。下のは稀少回でした!


〇ブル中野
痩せてメイクを落としたらかなりの美女だったで有名な女帝ブル中野。顔はともかく体はまさに猛牛体型で足も大木のようだったので超ビビった。ブル様の印象と言えば語り草となっているアジャとの金網デスマッチのギロチン・ドロップ。これは男子じゃありえない高さでホント凄いと思った。試合映像はたまに地上波で見た気がするので、なんとなく格が高いレスラーという印象。日本人女性唯一のWWE殿堂入りは伊達じゃない!中野駅前で「中野のぶるちゃん」という飲食店をやっている時にとても気になっていたので行けば良かったと後悔。後悔先に立たず。
ー演:堀桃子
おどおどめのキャラからのブル化。初期のブル様の印象が全く分からないのでなんとも言えませんが、プロモーションで出てきた際の言動からかなりの女優魂とお見受けしました。ドラマ内でも極悪同盟のクレーン・ユウと入れ替わりナンバー2になるのを好演していたかと。

👇ブル様といえば個人的にはもうコレ以外考えられないっす。


〇デビル雅美
デビル雅美と言えば北九州の漬物屋さんにスカウトされて活躍しているとして(自分の中で)有名ですが、恐らくGAEA JAPANにも良くラスボス的に出ていて、正統派レスラーの印象が強いです。凶器で無茶をやりまくるダンプに対して、あくまでプロレスの範囲内でヒールに徹したデビル軍団の総帥、という構図だったのだと思います。が、過去動画見たらゴング鳴って早々パイプ椅子持って暴れててなんかウケました。
ー演:根矢涼香
自分の中のデビル雅美はかなり太めの体型だったので、練習シーンなどでまさかデビル雅美がその場にいるとは思わずこんなんデビル雅美じゃねぇ!と思ったのですが、試合のシーンの目線だけを見てまさにデビルだ!と痺れました。目だけで演技できる女優さんということでお名前覚えました。

👇スカウトされた漬物屋はコロナ禍で倒産したようで今大丈夫かとても心配


〇ジャガー横田
有名な強いレスラーという感じで昔から認知していた割には他のレスラーと比べて印象が弱いです。現役時代と見ていた時期が重なっていなかったのか、ショー要素の強い興行からは離れた正統派なところで活躍していたのか、といった感じだと思われます。ドラマ内で言及されていたように主催側に冷遇されていたのもありそう。色々と調べる中ではやはり極悪女王の中で表現されていたように実力でいえば前後の世代で最強だったようです。
ー演:鴨志田媛夢
他のレスラー陣の印象が強くてそれほど印象は強くないですが、短いシーンの中でショー的要素でムーブメントが生まれる中で正統派で戦おうという姿勢・存在が見えたのが良かったです。明らかに強いけどなんとなく地味扱い、を体現したという部分では素晴らしいようにも思いました。

👇ジャガーさんの旦那、リスペクト不足に見えるので昔からかなり苦手


鑑賞後のおたのしみ(視聴後推奨)

本作の極めて嬉しいところは、作品の舞台となる当時の女子プロの実際の試合映像がたくさん残っているところです。クラッシュVS極悪同盟の試合もたくさん見られます。更に勢いでそのまま一気に女子プロの世界にハマれればメチャクチャ堪能できるかと思います。今だと有名どころはスターダムとかディアナとかOZアカデミー(尾崎真弓は中学の頃凄く見てたなぁ)とかそんなところでしょうか。自分が女子プロを熱心に見ていたのは90年代中盤~200年代序盤までくらいですが、レスラー同士の関係性やバックボーンなんかを理解しながら観るとかなり楽しめるはずです。

関連動画

👇当時の試合映像は押さえたい。ドラマを遥かに超える流血量!!

👇NETFLIXは裏話の宝庫なので嬉しいです。他にもいっぱいありますよ!

👇こちらもNETFLIX公式動画。配信を祝うイベントにレジェンド大集結!

👇レジェンドレスラーの視聴感想動画もたくさんあって良いです

👇自分はマッハ文朱くらいから名前は分かりますが映像で見られるとは!


関連ブログ・記事

確か数年前に当時の出来事を(確か)ダンプ松本が連載コラムで記していて、メチャクチャ読み応えがあって楽しかったのに全く見つからない!松永兄弟の実態なんかも色々とそこで知れたのに残念です。どなたか見覚えある、ここで見られる、という方がいたら教えて下さい。

本作については関係者や著名人の感想動画・考察動画などを巡回している状況です。これは!というものが見つかったらリンクを貼るようにします!


関連書籍

少し古めの本が多めです。試しに図書館で調べてみたらどれも予約待ちが激しいので『極悪女王』人気を確認できて嬉しかったのでした。
どの本も興味深いので機会があったら読んでいきたいと思ってます。

ダンプ松本『ザ・ヒール』: 極悪と呼ばれて 平塚 雅人

1985年のクラッシュ・ギャルズ 柳澤 健

吉田豪の"最狂"全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集 吉田 豪

証言 全女「極悪ヒール女王」最狂伝説


以上、富井サカナでした。

趣味のメインはゲーム制作です。是非公開作を遊んで下さい!(宣伝)


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