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08 My Foolish Heart(&Evans)


Verce(はじめに・・?)

年の瀬です。年末になってちゃっちゃか更新して継続してる風になってますが・・笑
ジャズスタンダードナンバー歌詞和訳、8曲目はMy Foolish Heart。
作曲はヴィクター・ヤング、作詞はネッド・ワシントン
この曲を選んだ理由はただ一つで、次何にしようと腕を組んだ時に、ふと
「一番聴いてるスタンダードナンバーを取り上げるべきだろう」
と、思ったからです。この時点でジャズが好きな方なら、世界で最も聴かれているジャズピアノ・アルバムである、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォア・デヴィ」の想像されるかもしれません。まさしくその通りで、アルバムに収録された、エヴァンスが演奏するMy Foolish Heart が私が最も聴いている曲であります。私みたいな方も決して少なくはないのかなとも思ったりします。
因みに私はこの曲が好きすぎて、全く出来ないピアノをこのエヴァンスの譜面通りに練習したくらいです。なので、アルバムから曲が独立した存在になっています(TSUTAYAでCDを借りて自分の好きなプレイリストを作ってひたすらお気に入りの曲を聴くという、アルバムをアルバムのままに享受していない邪道な人間だからでもあるのですが・・・)。
だから、
「へぇ〜、Waltz for Debby好きなんですねぇ〜」と言われると
「まぁ〜どうなんでしょう・・・・」
と、首を傾げながら歯切れの悪い返事をしてしまうかもしれません笑
その時期ならExplorationsの方が好きです。寧ろ天邪鬼な私はスコットのいた黄金トリオの時代より、スコットがいなくなって喪失を抱え再起したエヴァンスの方が好みなので「How My Heart Sings!」と「Moonbeams」が好きなアルバムかな。いやでも後期が好みだな、いやソロが、いやジムホールとのデュオこそが秀逸・・・・・・・と、このようにエヴァンスについて語り始めるとキリがなくなってしまうので、頑張って最低限に止めるつもりですが・・・・汗
ちょっと前置きがかなり長くなってるので問題の曲を挟みます!笑

大学生の頃、あるきっかけでこの曲を知って、猿みたいにエヴァンスばかり聴くようになりました。どうしてこんなに素晴らしいのだろうか、胸を打つのだろうか。当時のジャズのJの字も知らないケツの青かった私は、他のアーティストが演奏するMy Foolish Heartも聴いてみたのですが、ピンと来ませんでした。
今となって振り返るとその理由は明白で、
エヴァンスがこのスタンダードナンバーを完全に自分の曲として塗り替え確立していたからだと思います。基本的にスタンダードナンバーはベースとなるテーマになぞってジャズマンが自分なりにアレンジを加えながら演奏する「○○○が演奏するMy Foolish Heart」という形が基本になるのですが、エヴァンスの場合はアレンジを超えて「エヴァンスのMy Foolish Heart」と、誰もが共通認識が持てるほど、ほぼエバンスのオリジナル曲と同質で、ジャズの広大な夜空に燦然と輝く存在であると思えます。
言うなれば、エヴァンスのMy Foolish Heartか、それ以外か。
と、ローランドさんみたいになってますけど、あくまで個人的な見解です。
なので、そのために本来のスタンダードナンバーとのイメージが乖離してしまっている現象が起きているのかなと思っていて、My Foolish Heartの他のテイクを幾つか聴いてみて、あぁ、こんな感じのニュアンスだったのか、と思われる方もいるかもしれないです。
はじめにが長すぎて、構成が破綻しました笑
そろそろ本題に移りましょう。。。

My Foolish Heart 歌詞和訳

(Sakana-Jazz拙訳ですご容赦ください)
******************
My Foolish heart
 
The night is like a lovely tune
Be ware my foolish heart
How white the ever constant moon
Take care my foolish heat

There's a line between love and fascination
That's hard to see on a evening such as this
For they both give the same sensation
When you're lost in the magic of a kiss

Her lips are much to close to mine
Be ware my foolish heart
But should our eager lips combine
Then let the fire start

For this time it isn't fascination
Or a dream that will fade and fall apart
It's love, This time it's love
My foolish heart
 
夜はまるで愛しい調べのよう
気をつけろよ 僕の馬鹿な心
ずっと変わらない月はなんて白いんだ
気をつけろよ 僕の馬鹿な心 

愛と魅惑の狭間には境界線があるけれど
こんな晩には見分けようがない
どちらも素敵な心地にさせてくれるから
君の魔法のキスで我を失っている時には

彼女の唇と僕の唇とが近づき過ぎて
気をつけろよ 僕の馬鹿な心
だけど僕たちの熱い唇が重なった時
炎は燃え始めるんだ

今度こそ、ひとときの誘惑じゃない
さもなくば消えて崩れさる夢だろう
恋してるんだ これは本気の恋なんだ
僕の馬鹿な心よ

******************
この曲の邦題は一般的に「愚かなり我が心」なんですけど、私はこのフレーズから、タキシード着てポマードつけた紳士が背筋を伸ばし手をテノールで歌い上げる姿を想像してしまうので、シンプルに「僕の馬鹿な心」にしちゃいました笑(とやかく言われるかもしれませんが、こっちの方が等身大な感じで好みです)
男性の訳にしてしまったのですが、本来のイメージとしては、
おそらくは何度も恋に破れた女性が警戒モードマックスにして、気持ちを強く持て!と自ら鼓舞しつつ、でも危機感以上に抗えない感情に翻弄されながら、それでも女性が今度こそ生涯最後の恋、運命の相手なんだと強く願う気持ちがこもった曲だと思われます。
そんな彼女の眼差しの先にはチェット・ベイカーが待ち受けたりしてるかもしれませんが・・・笑

My Foolish Heart 個人的オススメ曲

冒頭でEvansがどうのこうのと書き散らしてしまったので、個人的な感想とエヴァンスは一旦置いて、個人的なオススメ曲を紹介していきたいと思います。今回もシナトラなどの王道的なテイクは紹介しません。
先ほど、エヴァンスかそれ以外かくらいの話をしてしまいましたが、ピアノだったらビージーアデールさんのテイクが好きです。というか、彼女のテイクは何をもってしても大抵外れないです。日本人好みというか(勿論いい意味で)ジャズをあまり聴かないけど、部屋にピアノを流して落ち着きたい方にはオススメのアーティストです。

歌詞和訳ならボーカルのテイクを、ということで、個人的にオススメしたいのは森川七月さんのテイクです。アルバムで私は知って、アコースティックギターをバックに丁寧に歌いあげるテイクには思わずうっとりします。YouTubeでライブ音源があったのですが、こちらもめちゃくちゃ素晴らしかったので是非聴いてみてください。


次に紹介したい、というか、寧ろ良すぎて紹介したくないのがマーキス・ヒルのテイクです。
このアルバムを聴いた時、My Foolish heart = evans の図式は崩れさるくらい衝撃的でした。
このアルバム自体が名盤で、全体に漂う上質なムードと世界観は自分が現代に最も求めていた理想のジャズの一つと言っても過言ではないくらいドンピシャです。
マーキス・ヒルのトランペットも素晴らしいのですが、当時はまだリーダーデビューしてなかった若きジョエル・ロスのビブラフォンもめちゃくちゃ活かしてます。最高に素晴らしいテイクです。


でもやっぱり最後はやはりエヴァンスで締めましょう。ピアノに屈み込むエヴァンスの演奏する姿、荒い白黒の映像も音源も、観客たちも何もかもが胸に沁みますよね。


今年なんとなく始めてみて、途切れ途切れの更新でしたが、Noteやインスタグラムでもたくさんのいいねやコメント頂いて、非常に励みなりました。やりながら、これ需要あるのかなとか思ってましたが、救われております。
本当にありがとうございます。
来年もおそらくはポツポツと更新するつもりですので何卒宜しくお願い致します。
それではまた
皆様良いお年を。


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