肥後女神転生 小説版 #3 人形から見せられた、ゆなの夢 おかしなベーカリーきつねの店員
夏休みが始まり出した7月の雷雨の日、熊本・肥後大津に住む小学一年生のゆなは、ゆめ、まなの友人の2人を家に招いて夢の話をしようとしていた。
『まなちゃん遅いなあ。』
『雨だし仕方がないよ』
『そういえば、この頃雷雨ばっかりだね。雨も土砂降り。』
ピンポーン
まなが、玄関を開けて入ってきた。
まなは、勝手知ったる我が家のように、ゆなたちがいる部屋へと入ってきた。
ゆなは仕事に忙しい父親と二人暮らし。
母親はゆなが生まれてすぐに亡くなってしまったと言う。
お手伝いさんが家のことをしに来てくれているが、とくにゆなの生活に口をだすこともない。淡々と家事をこなして帰っていく。
特にペットを飼っているわけでもないので、この家はゆながバイオリンのお稽古をする時以外はシンと静まり返っている。
幼稚園の時に知り合って、なんとなく仲間になったゆめとまなは、オヤツをもって夕飯までの間、ゆなの家に入り浸っていた。
『ごめんごめん、ベーカリーきつねで、オヤツを買ってて遅れたよ。いやー凄い雨だったよ』
『あ、まなちゃん、きつね行ってたんだ。』
『新しいイチゴカヌレ買ったよ。普通のカヌレと。さっそく食べ比べしよう!』
『私はプレーンなカヌレが好きかなあ。みんなは?』と、ゆな。
『私はイチゴも悪くないと思うよ』ゆめ。
まながカヌレをたべながら思い出したように『そういえば、きつね行った時さあ、店員さんが私をかわいいってほめてくれたんだけど、なんだか異様に顔が近くってびっくりしちゃったよ』と報告。
『あ、美形の店員さんね。おとなしそうな人だと思ったけど、今流行りのLGBTとか言うやつかもしれないね』と、ゆめは残りのカヌレをほおばった。
『そういえば、男なのに、女って言い張って女性や子供に近づいて来る人たちもいるみたいよ。あの店員さんがそうかどうかはわからないけど。まなちゃん、きつねに一人で行かない方がいいよ。今度行くときは、一人でいかないで。ちゃんと私たちも誘ってね。』と、ゆな。
まなは、まだ腑に落ちないようだが、『わかった。そうする』と言うのだった。
熊本では10年ちょっと前に、スーパーのトイレで幼い女の子が殺されるという事件が起きている。まだ私たちが生まれる前のことだけれど。
まなちゃんは、しっかりしているように見えてのんびり屋さんだから私たちがしっかりしないと。とゆなは思うのだった。
暗くなった話題を変えようと、ゆめが言い出した。
『ところでゆなちゃん、人形がいい夢みせてくれるって言ってたあれってどうなったの?見た?』『見たよ。』
『へぇ、どんな夢?聞かせて!』と、身を乗り出すまな。
『なんだか見たことのない鳥居の階段を上っていくと、黒いクマが現れて名前を告げると、今度は赤い鳥居が現れて、その扉が開くと、女の子が一人現れるの。私は、ルカ、ここから助けて欲しいって言ってた。』
『ルカって、リカちゃんってお姉さんのいなくなった妹よね。で、その夢のどこがいい夢なの?』といぶかしがる、まな。
『まなちゃんは、ゆなちゃんをわかってないな。ゆなちゃんは、そのルカって子を助けるって決意をしたってことなんだよ。』得意げに言うゆめ。
そう。人形の頼みを引き受けた時、この退屈な毎日から何か違うものが見える気がして、ゆなは少しワクワクしていたのだった。友人のゆめ、まなと出会う前の、一人ぼっちの頃だったらこんなことを考えもしなかったかもしれない。でも、今ならやれそうな気がする。
でも、どうやって?
・・・・動画はYouTubeこの辺・・
動画 肥後女神転生 「はじまり」前編 【人形オヤツ紹介】味覚糖 カヌレット ストロベリー🍓
https://www.youtube.com/watch?v=-v3rdwC_5Tw&list=PLHoJHvjxjNWe8pUl4GR3et7Zk4ZyjDxDs&index=2
肥後女神転生「はじまり」後編 ゆなの夢 https://www.youtube.com/watch?v=gto7Li42KgI&list=PLHoJHvjxjNWe8pUl4GR3et7Zk4ZyjDxDs&index=7
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