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たまにはファッションでも

あの頃はとても真摯に向き合ってた。というのも、私の青春時代の大半を一緒に過ごしてくれた狂しい程に恋焦がれていたのがファッションだった。

それもとても偏ったものだったけど。

ロリータファッションを初めて目にしたのは中学生の頃だった。小学生の頃の文集で将来の夢なんてかわいいお題で書いた作文には、童話作家かデザイナーになりたいと淡い夢を描いていた。小学生の頃から作文は得意だったし、何かにつけて夢想しては登下校で一緒になる同級生に話し続けていた。それに絵を描くのも好きで、何度か賞を貰ったことも相まって両方を兼ねて童話作家を目指していた。

デザイナー。当時の私の写真を振り返ればオシャレというものからは遠く離れた格好をしていたけど、幼心に自分イケてる!と勘違いをしていた。黒歴史すぎる思い違いだけど、当時は本気で思っていた。まぁ、服の構成や裁縫スキルはゼロに等しかったけど…でも自分が着たい服はここにはない!と心の底から思っていたし、自由帳に着たい服やアクセサリーを書き込むのは至福のときだった。

年齢を重ねるにつれて、徐々に自分がカワイイと思える服を着たい!と思うのは誰でも通る道かもしれない。私の場合、小学生の時に仲の良かった先輩のお母さんがいつも全身ピンクハウスで揃えていて、とても衝撃的だった。なんてカワイイ服がこの世に存在しているんだろう!そして閉鎖的な片田舎の小学校の参観日にピンクハウスで出席する勇気ある母親だと思った。原体験はそこから来ているのかもしれない。

私が本格的にロリータに目覚めたのは中学生の頃。当然同級生にロリータファッションをしている子はいなかったし、大体がギャル。如何に自分をセクシーに魅せるかを競うように髪型を工夫し、制服を着崩し、校則違反ギリギリのラインで大人びいた格好に仕上げるかが重要な問題だった。その中でロリータファッション好き、フリルのついた服が好きなんていうのであれば、少女漫画の見すぎか漫画オタクでキモいと言われる。幸か不幸か、私自身目立つ存在ではなく、スクールカーストで言えば最底辺。その上、カースト上位の女子たちからはことある度に体型(当時は今よりもふくよかだった)や持ち物について、当時流行っていた女子中学生に人気のブランドものでないことについてちょくちょくからかわれる事も多かった。隠し通すのは大変だった。

尚且ロリータファッションは好きだけど、そうした服がどこで手に入るのかもわからない。当時雑誌なんてお小遣いから買えても何を読めばいいのかなんて全く分からない。何をするにも情報が不足していた。ロリータファッションをしている女のコ達はネットか東京にしかいない存在なのだと思う位には狭い世界観だった。

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