たまにはファッションでも4
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大学生として華やかにデビューをするわけでもなく、学部内では流石に浮いていた(当たり前だけど)。
今まで制服文化で、高校時代はミッション系というので挨拶の文化も「ご機嫌よう」な世界にいたため、なかなか「おはようございます」がさっと口から出ない事が恥ずかしかった。
ロリータファッションで挨拶が「ご機嫌よう」だなんて…格好のままの挨拶が自己プロデュースすぎて入学時はとても恥ずかしかったし、それを説明すると面白がられた。笑われてるわけではないのに、気取ってると思われないか心配だった。
でも念願の一人暮らしを大学生で手に入れ、部屋づくりをロリータ使用にして(ベッドには勿論天蓋付けたし、クッションまみれにしていた)、生活もロリータ使用にしていたのにも関わらず、他の同期と格好から浮いて、言葉まで「ご機嫌よう」だなんて…というのが一種の気恥ずかしさを呼び、趣味の合う人がいるとは思えない中で大学では絶対に友人なんできないと思っていた。
大学で一番多かったCancam系や古着系の格好の子達。勿論始めから飛ばした格好でいる同期生はおらず、カジュアルな格好をするにもカジュアルがわからない私のワードローブはほぼロリータアイテムしかなく、でもロリータファッションをしている時は私が「私らしく」いれるためのアイテムだったため、友人はできない前提で兎に角勉強はしようと意気込んでいた。地方のFラン大学でしかも女子大。ここで高校生ではできなかった勉強を取り戻すことが先決だと信じていた。元々一人でも平気だし、と見栄をはっていた。
そんな中で、たまたま人づてに同じくロリータファッションが好きな子がいると聞いた。
のっけから飛ばした格好いたのが幸を制したのか同じ趣味の子と知り合うことができた。大学生活のなかで初めて同じ趣味の子と友達になれるかもしれない!とドキドキしたのを覚えている。
どうしてもその子と知り合いたい、と思っていた時に同じく、その子もそう思ってくれていて仲良くなった。たまたまファッション以外にも読書傾向や音楽傾向も似ていて、仲を深める事に時間は掛からなかった。
同じ趣味の子出会える確立というのは他県でこんなにも嬉しい事なんだ、と一人暮らしで友人もできない前提で勉強だけしていこう、とただでさえ目立つ格好をしているのに周りの世界から閉ざしていた私にはこの上ない幸せだった。
大学ってすげーな、と挨拶の時点で半ば諦めていた私にとってどれだけの支えになったか分かって頂けると思う。
勉強だけで自分の世界に浸るだけの生活が華やかになった。普段ロリータファッションでも地味な性格の私には理解してくれる友人で、ロリータファッションを同じくらいの熱量で愛している子を渇望していたのが分かった。
大学って勉強だけじゃねーな、と心から思った。
幸いにもその子と仲良くなってからどんどんと趣味が似通っている同期生とも喋るようになったし、ゼミを選ぶ時には既にロリータの子と認知されていたため、同じゼミ履修する子達からも声をかけてもらえるようになった。見た目で判断して、自分の好きなものを理解して貰えないだろう、大体が冷ややかな目線で親と一緒で否定的な子も多いだろう、それなら自分の世界を守るために友人なんていらないと思い違いをしていた自分恥じた。
ロリータファッションは当時世間からは特殊な世界で、勘違い女子で、不細工が着る服で、事件を起こしそうとか精神疾患を持っている人がするファッションだと認識されていた。
自分の親からもそんな服着ないで!頭が狂ったと思われる!学生なら学生なりの服装をしなさい!と頭ごなしに言われるぉとが多かった。つまりは親も世間の意見と同意だったのかもしれない。
それでもこれまで分からずに独りで悶々としたレートとフリルの世界から、一応生活圏の中にロリータファッションを落とし込んできたため、ワードローブはロリータだし、ロリータこそ正義!と思っていた私にはそんなことは寝耳に水で、着飾った私は豚に真珠でも着るのを辞めるまでは行かなかった。
幸いにも大学時代はまだ理解してくれる同期生がいたことや、若さというエネルギーに溢れていた事もあり、反対や反発を受ければ受けるほど燃え上がった。だってカワイイじゃん。
そしてロリータファッションを着始めた頃にはブログを設置し、アクセス数も一日4桁が当たり前のようになり、よくロリータファッションで出かける時には知らないロリータの子から声を掛けて貰えるようになり、またストリートスナップにもよく声を掛けて貰ったこともあり、そうそう辞めることは無かった。
何故かこれまでにもロリータファッション固執していたのか?
それは私自身が元々ファッション迷子だったからというのもあったと思う。
そもそも制服文化で育ち、土日に遊ぶなんて友人もおらず、私服なんて姉のお下がり。
オシャレ感覚なんてどう育成されるのかなんて未だにわからない。
ただでさえ目立つ格好は田舎では嫌煙されたし、世間の目は厳しい。
それなのに最も悪目立ちする格好で、しかも赤ら顔のブスが着ているのだから余計に悪目立ちをする。
それでもロリータファッションは私を虜にするには十分な魅力を放っていた。