たまにはファッションでも2
前回の記事からの続きもの。
自分ひとりでは行くことが叶わない、TVの中の世界でしかない東京。憧れは続いた。
悶々とした時間を過ごす事が多く、週末でも私服でどこかに出掛けることも少なかった(というよりも友人と週末に何処かへ出掛けること自体がなかった)し、大概宿題と読書で週末は終わった。
ある日、授業がつまらなく机に自分が着たい服をノートを取るフリをして落書きしていた。
そしてその頃に仲良くなった友人(今でも交流がある)が、たまたまそのイラストを見つけてしまった。冷や汗モノだった。ただその友人は拙いイラストを見てもオタクって引くわー的な態度を取るのではなく、むしろ面白く見てくれた。
そしてそこからVivienne WestwoodやDr, マーチンを始めとしていくつかのブランドや音楽雑誌を教えてくれた。
ただロリータファッションについては私と同じくらいの知識で漠然と東京に行けば買えるだろう、という認識だった。
中学生で、しかもロリータファッションを頭の先から足先まで揃えるだけの資金はどこにも無い。ただただ憧れだけが募っていく。
田舎の中学生で、しかもその名の通りに田舎っぺ丸出しの私は、とにかくかわいいロリータファッションが何処で手に入るのか、それだけの目的で本屋に駆け込んだ。雑誌を眺めるのに周りの目気にしながら小さくなってコソコソと動いていた。
目につくファッション雑誌は片っ端から開いてみて、結果的に求めるものではないことがわかると落胆した。そもそも欲しい情報載っているような雑誌田舎の書店であるのか?最後の望みでFRUiTSを開いてみて、感動した。自由に着飾って、しかもロリータファッションの子も載っている…!
ただ雑誌を買うと親にバレるから、とその時はパラパラと読むふりをして、ネットで調べればどこで買えるかわかるかも、と聞き慣れないブランド名を必死に頭に叩き込んだ。
そこからはもうたまに貰えるお小遣いをため、通販で買い揃える生活。ダイエットをしながらメイクも覚えた。
やはりロリータファッションは高い。全部揃えるのには少なくとも10万は必要。田舎の中学生がそんあ大金を持っているはずもなく、ちまちまと小物を集め、手頃な価格帯のスカートやソックス、小物やバックを揃えていった。
時代的にか個人でブランド名を考えて、インディーズブランドのように手作りでロリータファッション展開している人もいた。
片田舎でもちょっとしたイベント?に出かければたまに見かけるし、古着屋でもロリータ服が格安で売っているところも教えてもらった。
学年が上がる頃には完璧にロリータ好きが学年内で広がり、興味半信で近づいてくる人もいたが、大概は普段の生活と変わりなかった。
ロリータ好きはなかなかいない存在なのだと思い知しったし(インタビュー記事か何かで読んだ)、あまり気にしないでいた。
私も自分の趣味に理解がある人と付き合うようになっていたし、元来の頑固さも手伝って、どんどんロリータの世界にのめり込んでいた。
もうその頃にはセパレートでロリータファッションを揃えることが出来ていたし、何よりもその服を着ている自分好きだった。ただJSKやOPを一気に買うだけの資金はなかったため、着回しがしやすいものばかりを集めていた。
たまたまインディーズで服を作っていた人と親しくなり、誕生日プレゼントに全身を仕立ててくれた。
その気遣い嬉しかったし、何よりもその服を着て出かけることも楽しみになった。
その頃には自分が好きなテイストもわかってきたし、お気に入りブランドも田舎でも最新情報を知れる雑誌が売っている書店も見つけた。
嶽本のばらの本に傾倒し、三原ミツカヅ、澁澤龍彦や森茉莉、長野まゆみ、田口ランディー、鷲田清一等の作家の本にも出会った。本は親に言えば買ってもらえるし、図書館へ行けば大抵借りれるので大変重宝した。
友人とも本の話しで盛り上がる事も増え、それまでの読書嫌いが読書好きになった。
ロリータファッションに関するものや雑誌で特集が組まれる作家の本は大抵読んだ。
そうこうしながら、いつの間にか私は受験を目の前にしていて、志望校は高卒認定もある専門学校へ進もうと考えていた。