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これは神の休息『パイの実』

私は数多のチョコレート菓子を吟味したうえで、神の休息とも言える嗜好品『パイの実』に辿りついた猛者である。

キットカット、チョコパイ、アポロ、ガルボ、クランキーなどなどを食べてきた中で、境地『パイの実』に目覚めた人だ。

なんでそんなこと言えるぐらいチョコ食ってんだよ、と思われるかもしれないが、私はコンビニで飯を買うと同時にストレス解消としてチョコを買っていたのだ。

勤務八時間、一日の三分の一を消費しているのに間に挟まれる一時間休憩というありがたい時間のはずが家でしか落ち着けないがゆえの性分による「この時間……無……」となってしまう私にとって、たとえ数百円貯金した方が今後いいとしても、その時に買うチョコレートは心の潤いだった。

私は抹茶のお菓子も大層好きで、ちょいちょい抹茶のお菓子も買っていた。なおミント系は苦手です。だって味がハミ……。好きな人もおるんや。

抹茶とチョコのお菓子を交互に買っていて、抹茶の新商品が出るといつも買っていた。抹茶のお菓子はチョコレートとの塩梅が難しいようで、抹茶チョコはいまだに奥が深いものがあるように思う。

私は勤務の休憩時間、実を言うと『パイの実』はほとんど食べなかった。

理由は当然、味ではない。味は最高。
問題なのは他のチョコレートと比べて箱がデカいことだ。

機能性(この機能性とは、この記事において鞄の中に入れてもかさばらない等の能力を言う)でいうダントツで悪い。スマートなトッポやダースの方が群を抜いて持ち運びがしやすい。

ちなみにメルティーキッスも機能性は低めの部類だが、その高級感で他を圧倒する力がある。

だからといってあの箱を小さくしてしまうとパイの実はパイの実と言う存在を維持できない。何を言っているんだと思うが、パイの実はあの厚みによってサクサク感を生み出しており、数のことも考えればあのサイズが妥当サイズになってしまう。

ガルボやクランキーのような袋に入れてしまうと機能性は皆無なので、下の方で押し潰されれば終わってしまう。だからといってルックやダースのように薄っぺらくすれば先ほどの厚みの話になる。

軽さで言うとどのお菓子よりも軽いのはずなのだが、サイズの主張が如何せん強すぎる。

パイの実の勤務時間中に食べるお菓子としての能力としてなかなか難しいことがお分かりいただけただろうか? 私はもう何言ってんだこいつって思っている。

これを踏まえると、『パイの実』の真価はやはり自宅でこそ発揮される。

切り取り線にそって封を開け、ぱかっと開く開放感(楽しい)、さらに中の封を切って、ひっそりと待っていた『パイの実』が顔を出すのだ。そのうちの一つを口に入れるとサク!

これほど楽しいお菓子はないだろう。

ほどよく中に挟まれたチョコレートと、パイのハーモニーは格別だ。他のお菓子ではそうそうこの喜びは味わえない。特に飲み物をセットにして味わう『パイの実』はカフェのスイーツ感も出てくる。

これはもうご褒美に近い。ご褒美の実だ。

私は邪道も外道も嫌いではないというか、むしろやってしまう性質らしく、パイの実を一口で食べずに、二つに割って食べる。

あれはチョコレートが入っているまでの層と全く入っていない層の二つで分けることができるので、私は先に入っていない層を食べて、そのあとにチョコレートたっぷりの層を食べる。サクサクとチョコたっぷりの部分を味わって食べるとなんだか量が二倍になった気もして嬉しい。

子どもの頃から一本のトッポを二本に割って食べていた勢である。中で二本に割って、ちょっとずつ食べるのが好きだった。パイの実でしないわけがない。

パイの実は期間限定で違う味も出るのだが、基本的にスーパーやドラッグストアに置いてあることが多いのは通常の緑色のパッケージのパイの実と、深みショコラという濃い茶色のパッケージのパイの実の二種だ。

スーパーは特にこの二種を置いていることが多く、期間限定と言ったパイの実はコンビニなどに配置されていることが多いように思う。これは私の地元のパイの実配置状況であり、他の地域ではどうなのかは不明であるが、やはり先に挙げた二種の方が比較的手に入りやすい。

私が一番おすすめなのは通常の緑のパッケージでフレッシュ感と素朴にあふれた、いわゆる普通の『パイの実』、王道『パイの実』である。

(まさかオンラインで一個から買えるってどうなってるの?)

200円価格のチョコレートが増えてきている中、未だにパイの実はあの大きさのまま100円台をキープしている。最高のお菓子なのにお財布にも優しい。

コーヒーやカフェオレとの親和性が非常に高く、紅茶に対してもその親和性がいかんなく発揮される。三ツ矢サイダーやコーラよりも、少しテクスチャが重いラテなどの方が飲み物も美味しくなる気がする。

私はよくコーヒーとパイの実をセットにしていて、ご褒美として食べることが多い。時折、作業のお供として活躍することもあるが、基本的には休んでいる時に、ゆっくりとさくりとしたパイを味わっている。

神は六日かけて世界を創造し、残り一日を休息に充てた――。

そんなことを味わえるかのように、極上のさくさくを味わい、カフェオレを飲み、一息つく。読書などを一緒にするのもおすすめだ。

『パイの実』はバラエティパックも売っているが、できれば箱をぱかっと開けてほしいので通常の箱のタイプの方が、個人的には好みだ。

友達と分けたり、大量に無心に食べたいのならバラエティパックの方が圧倒的お得感だし、一日二個だけ食べると制限もしやすい(バラエティパックの場合、小さな袋に二つ並んで入っています)。

私は一息をつきたい時、ほっとしたい時。

甘くて、優しくて。
元気が出るから。

明日も素敵に、過ごしていけますように。

小さな願いを載せながら、私はパイの実を頬張るのだ。

😊✨