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善意の逆説 悪のしわ寄せ

 浅はかな善意は別の悪を発生させるよ、というお話。

 良いことをすれば社会が良くなると純粋に考えるのは、取り返しがつかないほどの悪い結果を呼び込むかも知れません。

 よく言われる例を3つご紹介いたします。
 風営法、暴対法、児童人身売買の3つです。

■風営法 街から風俗店を締め出した結果何が起きたか

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)

 景観を損ねる、子どもの教育に悪い、として街から風俗店を無くすとどうなるか。
 無店舗型風俗。つまり性的サービスを提供する人材をラブホテルなどに派遣するタイプの風俗店が増えました。
 その結果、受付で危ない客をチェックしたり、マナーが悪い客が店の裏で怖いお兄さんにお仕置きされる、ということが出来なくなりました。

 またソープランドなどの建物を新たに建設できなくなったため、既存の店舗で営業をし続けることになります。
 そのため地震や火災に弱い建物のまま、という事態になっています。

 街をきれいにした結果、風俗嬢は身の危険に怯えることになりました。

■暴対法 暴力団の生存戦略に巻き込まれる若者たち

暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)

 暴対法により携帯電話を持てなくなった暴力団員は、携帯電話を使用する闇ビジネスをするためにどうしたでしょう。
 それはみなさんご存知の通りです。購入できる一般人やすでに所持している若者たちに目をつけました。俗に言う闇バイトです。
 若者にスマホを代理で購入させたり、振り込め詐欺に加担させたりしたわけです。
 暴力団を街から締め出した結果、暴力団員が闇ビジネスを出来ないため、これまでは関りが無かった一般人が目をつけられてしまったということです。

 また、暴力団が街にいなくなったため、海外のマフィアや反社会勢力が縄張り争いをするようになりました。
 暴力団がいたことで保たれていた均衡が崩れ、歯止めが効かなくなったという見方ができるでしょう。

 どちらも、結局は若者が食い物にされてしまった例です。
 仁義も何も無い海外マフィアや反社会勢力が荒稼ぎするために弱者が利用されています。

■児童人身売買 誘拐犯を動機づける保護団体

 児童の誘拐は大変な問題ですが、保護団体が誘拐をますます動機づけているという例を挙げます。

 児童の人身売買から子どもを救うために児童を買い上げ続けた結果、誘拐犯は固定客が出来たと判断しますます誘拐するようになりました。
 子どもを救った結果、人身売買ビジネスが安定してしまうという皮肉です。
 悪質な人物に買われなかったので良いことに思えますが、新たに誘拐される子が増えてしまったわけです。

■善意の逆説

 以上のように、良いことをすれば社会が良くなる、という思い込みは危険です。
 街をきれいにした結果、暗部はより深くよく濃くなったり、救い出せない人を生み出してしまいます。
 そして悪行をより明確化、固着化、常態化させてしまう。
 善意が本当に良き社会へとつながっているのか、熟議し続けることが必要です。


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