『寄生獣 ザ・グレイ』と原作の比較
Netflixの『寄生獣 ザ・グレイ』第1話を観ました。
この作品を観ようか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
僕は原作が好きでアニメ版『寄生獣 セイの格率』や原作の裏側を描いた漫画『寄生獣リバーシ』、アンソロジー漫画『ネオ寄生獣』なども観ています。
それらを踏まえて韓国版『寄生獣 ザ・グレイ』1話について考えていきます。
1話目だけなので今後どう展開していくかはわかりませんが、現時点で気になったのは原作の設定を使ってるけど原作の奥深さはまだ活きてないな、という印象です。
◾️ あの飛来物はどこから来たの?
冒頭。これは原作の冒頭を意識したものですが、あの飛来物は一体どこからやってきたのでしょうか。宇宙から飛来した説、地球上の誰かが放った説、地球が生み出した説といろいろありますが、韓国版は宇宙から飛来したかのような描き方をしています。
2話以降で、飛来物が大気圏を突破できた理由が説明されるのを期待します。
◾️ 食事じゃなく殺戮したのはなぜ?
ライブ会場で寄生生物に乗っ取られた男が観客たちを次々と殺戮します。
(その後検体として登場するため原作の島田秀雄をモチーフとしているようです)
『寄生獣』と言えば最初のパラサイトによる食事シーンのインパクトが凄まじいと思いますが、韓国版はただの殺戮シーンとなってます。
◾️ 幼体なのに知能あり過ぎでは?
個人的に韓国版の設定に入り込めなかった点は、主人公スイン(チョン・ソニ)が大怪我をした後で寄生される所です。
寄生生物の幼体がスインに寄生。肉体の損傷を把握。修復のためにエネルギーを使ったため脳を全部乗っ取ることが出来なかった。このように説明されました。
原作『寄生獣』ではまず、ミギーとして生活し人類の知識や他のパラサイトととの違いを学んでいきます。その後本体から分離して活動できるかの実験を重ねます。その後に本体が重傷を負ってしまう。ミギーは自身の分離技術を活用してケガを修復しました。
つまり韓国版は、寄生生物の幼体の時点で本体の刺し傷を修復する技術を持っていたことになります。
この部分は原作の方が丁寧に伏線が張られているのが分かります。
◾️ 加奈らしさ
原作ではパラサイトに寄生されていないのにパラサイトと人間の違いを見分けることが可能な人物が登場します。
その一人が不良女子高生加奈です。
韓国版主人公スインもパラサイトに対して脳内にシグナルが届くようです。
◾️ バラさない方がよくないですか?
スインの脳を奪い切れなかったパラサイトは、出会ったチンピラを経由してスインに起こっていることを伝えようとしました。
でも迂闊ではないでしょうか。
原作では主人公とミギーは自分たちの正体がバレないように注意します。
国に捕縛されるかもしれないからです。
スインに寄生したパラサイトはその後ノートや動画を使ってスインにメッセージを残すのですが、初めからそうしてた方が良いと感じました。
まだ1話目なのでこれから解消されていくポイントなのかも知れませんが、現時点で気になった点を挙げてみました。
個人的には『寄生獣』を原案とした二次創作という印象です。
その意味では『ネオ寄生獣』の中のひとつのエピソードという位置かな、という捉え方をしました。
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