アンバランスさを利用した自爆テロ SNSに現れる無敵の人
■2種類の「無敵の人」とは
「無敵の人」が、SNS利用の激化とともにさらに強大になっています。
「無敵の人」とはひろゆき氏が名付けたもので、「社会的に失うものが無いため犯罪を犯すハードルが極めて低い人のこと」です。
つまり刑期が犯罪抑止にならない状態の人です。
これは「社会の信頼度」や「社会に対する希望」なども影響する気がします。
つまり「失うものが無い人」だけでなく「社会に期待していない人」も無敵の人になりやすいのではないでしょうか。
本稿はそうした「社会に期待していない無敵の人」がSNSを通じて無差別に巻き込んで膨大な負担を強いるようになるのではないか、という推測です。
■もし嘘の情報が拡散されてしまったら
例えばあなたがおじさんで、見知らぬアカウントからSNS上で「こいつはレイプ犯だ!」と拡散されたとします。
レイプ犯である証拠としてLINEのやり取りや女性とホテルに入る時の写真、被害者の証言なども投稿されました。
ですがどれもまったくの嘘です。証拠として挙げたものもすべて生成AIにより作られたものであなたとはまったくの無関係です。
もしこうなってしまったら。
なぜか釈明をしなければならなくなったあなたは、拡散された情報が嘘であることを証明しなければなりません。
そして名誉棄損をしてきたアカウントに対して開示請求をしなければなりません。
弁護士に依頼しなければなりません。
そして当然裁判になっても勝てますが、それまでに掛かった時間や労力、心理的負担、金銭的負担。それらに対して、勝訴の価値は見合ってないと感じるでしょう。
しかも拡散されてしまった情報の方が多く、すべて嘘だった、濡れ衣は晴れたという情報が拡散されないため、あなたがレイプ犯であると勘違いしたままの人が圧倒的に多い状況なのです。
■ダメージが大き過ぎる
前項で、「あなた」と「無敵の人」との対決をご覧いただきました。
「無敵の人」はまったく苦労せずに「あなた」を悪者扱いした上に「あなた」に甚大なダメージを与えることが可能です。
それに対して「あなた」は濡れ衣を晴らすために膨大なさまざまなものを費やし、「無敵の人」に勝ったところで名誉棄損に対する慰謝料の金額は微々たるもの。まったく見合ってません。
「あなた」だけが傷つき、世間での評価も著しく下がります。
「無敵の人」は罪人になったり慰謝料を支払ったりするでしょうが、「あなた」と比べて傷は浅いと言えるでしょう。
こうなると、「無敵の人」はSNSで好き勝手暴れ放題となります。
情報開示請求が間に合わず、また「あなた」の労力やもろもろの負担を考え、請求せず見過ごすという選択を取ることも考えられます。
つまり「無敵の人」の増殖を止められないということです。
■ではどうするか
解決策はいろいろ思い浮かぶのですが、どれも現実的ではないというか、この社会がそれを率先してやるとは思えない、というものばかりです。
・例えば「社会が幸福に包まれる」
この社会を愛してくれて、この社会から逸脱したくない、という思える人が増えれば「無敵の人」は減ります。
・例えば「無敵の人対策法」を作る
「無敵の人」に特化した法律を作り、スピード感を持って逮捕や訴訟などが出来れば「無敵の人」の数は減っていくでしょう。
・例えば「重罰化」
「無敵の人」が名誉棄損などをすれば懲役15年とします。
そうすれば15年間はSNSに現れないのでSNS上は快適になります。
・例えば「隠遁生活」
「無敵の人」に見つからないようにスマホを捨てて山奥で暮らしましょう。
でも彼らは山奥にまで押しかけて「あなた」を撮影し拡散するかも知れません。
「無敵の人」という言葉が生まれたのは2008年らしいです。
16年以上放置されてきた問題とも言え、そもそも解決する気が無いんだろうなと感じさせる問題です。
今後、SNSを使って圧倒的なアンバランスな自爆テロが次々と起こることが予想されます。
有名人から次々に被害に遭われる可能性が高いでしょう。そして一般人にまで被害が及ぶようになるでしょう。
自衛は難しいですが、弁護士を付けておくというのが今できることかも知れません。