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楳図かずお先生のすごさ

 楳図かずお作品が好き。
 全作品を読んでいないので浅いファンだけど、『漂流教室』や『14歳』、『わたしは真悟』が大好き。『洗礼』も好き。

 2022年の「楳図かずお大美術展」を観に行って『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』の図盤を購入したり。

美術展会場より
東京タワー(333)が見える

 僕が20代後半くらいの頃かな。吉祥寺に行ったらマジで普通に歩いてるのをお見掛けして、タイミングを見てお声を掛けました。『わたしは真悟』が大好きだということをお伝えしたらニヤリと笑ってくださいました。握手もしていただきました。

■『洗礼』のエンタメ性

 『洗礼』は楳図作品の中でも特に映像作品や小説などのエンタメに多大なる影響を与えた作品だと感じます。
 物語のオチをご存知の方はご理解いただけるでしょう。

 そして一番最後に描かれる、読者への語り掛けのコマはとても哲学性に満ちていて大好きです。

いびつな者は自分でそれを感じることはできない そしてそれを感じた者がいびつにされる!
狂った世界の中にただ一人狂わない者がいたとしたらはたしてどちらが狂っていると思うだろう?

『洗礼』楳図かずおより

■『14歳』と『漂流教室』の先見性

 『14歳』も『漂流教室』も、どちらも地球環境の終焉を描いています。
 『14歳』ではこの世界があと14年で終了してしまうという状況に陥った各国の人々の向き合い方を描いており、『漂流教室』では小学生たちが教室ごとはるか未来に時間移動をしてしまいサバイバル生活を余儀なくされます。また、『漂流教室』では現代に残された母親が息子(高松翔。中川翔子さんの芸名の由来としても有名)を救うために狂気じみた言動をする、ということで愛を描いた作品でもあります。

 『漂流教室』は1972年連載開始とのことなので、この時点で環境破壊について想像されていたというのはまさに天才の所業です。

■『わたしは真悟』が描いた人工知能

 2024年現在、生成AIなどのいわゆる「弱い人工知能」が興隆をきわめています。
 『わたしは真悟』に描かれる人工知能は「強い人工知能」。すなわち、ドラえもんや鉄腕アトムと言った、人間と変わり無い感情を持ったロボットです。

 このロボットがとあるきっかけでこの世界に誕生し感情が芽生えます。
 そしてネットワークがつながり世界を掌握するまでに至ります。
 人工知能が世界を掌握する恐怖を描いた想像力がほんとすごいと思いました。

 そして最後に描かれる主要人物とロボットの関係性。
 ぜひこちらもお読みいただきたい作品です。

■最後に

 いつまでも古くならない。むしろ未来を予見していたかのような物語の数々に驚嘆する。
 楳図かずお先生は紛れもなく天才です。

 数々の作品を読めたことを大変誇りに思います。
 楳図先生。本当にありがとうございました。

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