ターボ癌について冷静さを失わないために
有名人の死因が癌であると発表された際にSNSで「ターボ癌」という言葉がトレンドになる事があります。
ターボ癌肯定派も否定派も、双方が罵り合っているような状況であり、ただいたずらに不安をあおるような事態に陥っているように感じます。
本稿では「ターボ癌」という言葉を取り巻く状況について「感情面」「がん研究所の回答」「厚生労働省発表の人口動態」の3点で見つめ直してみたいと思います。
■「ターボ癌」という言葉が何を指しているか
「ターボ癌」という言葉の定義を「新型コロナワクチン接種後に癌の進行が加速するという科学的根拠のない症状」とします。
いろんな方が指摘しているように、新型コロナワクチンに関係無く昔から癌の進行が早い症状は存在していました。
つまり「進行が早い癌」を「新型コロナワクチン性のターボ癌」か「従来の癌」か区別することなど出来るはずがありません。
大規模な調査をしなければならず、現在そのような調査をしているとは思えないため、今後もターボ癌を特定することは無いのではないでしょうか。
(調査中であるという情報をご存知の方はご教授いただけますと幸いです)
ただ、調査していないためターボ癌が有るとも無いとも言えません。
(「ターボ癌wあるわけないだろw」という方々はどのような根拠をもとに発言されているのでしょうか)
「ターボ癌」は医療用語ではなくネットスラングであるため「ターボ癌は医療用語ではありません」という批判は「それはそうだろう」という以外に無く、この事からも肯定派と否定派の議論がかみ合ってないことがわかります。
例えば「ぎっくり腰」は病名ではありませんが存在する症状です。
つまり「ターボ癌」が医療用語かどうかが問題なのではなく、「新型コロナワクチン接種後に癌の進行が加速する」ということが有るか無いかが問題なわけです。
そして前述の通り、「進行の早い癌は昔から存在した」が「それが新型コロナワクチン接種の影響かどうか」は知りようがありません。誰も調査していないでしょうから。
知人を癌で喪った人の中には、癌発覚から死亡までの期間があまりに短いと感じられたり、癌検診で癌の進行がすごく早いと感じる人もいらっしゃる事でしょう。
「ターボ癌」が有るか無いかではなく、進行が早い癌で亡くなった方がいる現実を今一度冷静に考えた方が建設的でしょう。
見識者のみなさまには、癌検診の回数を増やせば良いのか。従来の癌検診のままでも十分なのか。癌の進行を遅くするために何が出来るのかなど、今すぐ活用できる情報をたくさん広めていただきたいと感じます。
■米国立がん研究所の回答
ターボ癌否定派の意見のひとつに米国立がん研究所の回答があります。
以下に引用します。
【リンク】米国立がん研究所(2023年10月時点)
「そのような証拠は無い」ということですが、証拠が無いことをどのように証明できたのでしょうか。
SFの話になりますが、例えば癌患者をクローン培養して、片方のグループに新型コロナワクチンを接種し、もう片方のグループには何もしないでおき、その後何年も検診すれば違いの有無がわかります。
ですがそのようなことは出来ません。
それとも癌というのは、進行速度が必ず一定であり、癌の種類によって進行速度に決まりがあるためすべての癌患者は進行度が予測可能であるということなのでしょうか。
ですが癌を克服する方もいらっしゃるので進行速度が一定ということは無く、これもあり得ないですよね。
つまりターボ癌の存在を信じる人たちにとって米国立がん研究所の断言する回答が疑心暗鬼を強める結果となってしまいます。
証拠が無いことを証明できないのに無いと断言するのはおかしい、というように。
癌研究をしている方々にとっては証拠が無いことが自明なのかも知れませんが、そうではない我々のような一般人にも分かるように説明することがそもそも可能なのでしょうか。
ですが「科学や医学は説明されれば分かる」と思い込んでしまうのも危険であるように感じます。
■10年分の死亡数と死因をまとめてみました
では実際に死亡者数は増えているのでしょうか。
厚生労働省のサイトに人口動態統計が載っているので平成25年から令和4年までの10年分の死亡数と死因順位をまとめてみました。
平成28年まで死因3位だった肺炎(約11.9万人)が平成29年から分類の変更により無くなり、代わりに老衰が令和4年で約17.9万人と死因3位となっております。
腫瘍による死亡数は平成25年の約36.4万人から見ると令和4年の約38.5万人は約2.1万人増加となりますが、新型コロナワクチン接種開始の令和3年からの増加数は約0.4万人と、例年の増加傾向とあまり変化が無いように感じます。
令和5年以降の増加数と比較していく必要がありそうです。
■結局ターボ癌って何?
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