「どうして人を殺してはいけないんですか?」という問いに対する答え
誰もが「どうして人を殺してはいけないんですか?」という問いを抱いたことがあると思います。
そしてこの問いに対してどのように説明すればわかってもらえるか苦労した方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「どうして人を殺してはいけないんですか?」という問いに完全なる解答を出したいと思います。
■よくある間違い
正答を書く前に、よくある間違い方について説明しておきましょう。
よく「君も誰かに殺されるから君は誰も殺してはいけないのだ」と説明する人がいますが、これは危険です。
なぜなら反論可能であり、しかもテロを誘発するからです。
この答え方では「自分が殺されたとしても誰かを殺したい」という人を止められません。
「殺されても良い場合は殺して良いんですね?」という理由を与えてしまうことになり、自爆テロの発想につながります。
理由、言い訳を与えてしまう答え方はよくありません。
■理由が無い問い
では完全なる解答です。
それは「理由など無い」です。
ダメなものはダメです。理由の有無は関係ありません。
ダメなものはダメ。
では「ろうかを走ってはいけない」のはなぜか考えてみましょう。
ろうかを走ってはいけない理由は危ないからですね。
ぶつかってケガをするし、相手にもケガをさせてしまいます。
先ほど挙げた「よくある間違い」に照らし合わせると、「自分がケガをしてもいいし、相手をケガさせたい場合はろうかを走る」ということになります。
つまりこれまでのことを言い換えると、「社会を営む上で必要なルール」ということになります。
社会を営む気があるのであれば、人を殺してはいけないし、ろうかを走ってはいけない、ということです。
逆に、社会を営む気がなければ人を殺したりろうかを走る、となります。
なぜ「よくある間違い」が起きるのか、これでお分かりでしょう。
「社会を営む気が無い人」に「社会を営む上で必要なルール」を説いているのでかみ合わないのです。
ここまでをまとめます。
「どうして人を殺してはいけないんですか?」という問いに対する答えは「ダメなものはダメ」です。
細かく説明すると、「社会を営む上で必要なルール」なだけであり、社会を営む気が無い人には効果が無いルールです。
■戦争は人が人を殺す
以上は平時の話でした。
この項目では有事の話をします。
国が国民に「人を殺しなさい」と命令することがあります。
戦争です。
戦時中は敵国の兵士を殺さなければなりません。
つまり「人を殺してはいけないんですか?」という問いが生まれない状況です。
言わば「どうして人を殺さなければならないんですか?」という新たな問いが発生していると言えるでしょう。そして答えは明白。国からの命令だから、です。
国からの命令に歯向かうと処罰されます。
それは有事も平時も一緒。
つまり国からの命令によって、国民は「どうして人を殺してはいけないのか」と「どうして人を殺さなければならないのか」が変化するということです。
■正当防衛と緊急避難
正当防衛と緊急避難も人を殺して良い状況です。
(かなり乱暴に表現してます)
正当防衛は相手から攻撃された際に自分を守る行動です。
緊急避難は自分を守るために相手を守れない状況です。
これらは判例などにより許されるかどうかが変わるので、「社会を営む上で必要なルール」に含まれます。
■まとめ
以上のように、「どうして人を殺してはいけないんですか?」という問いは極めて限定的な状況においては解答が可能です。
社会を営むのであれば人を殺してはいけない。
そして国の命令であれば人を殺さなければならない。
社会も国もどうでも良い人に対しては、どのような理由も行動を制限するものにはなり得ません。
自爆テロも通り魔も無敵の人も、社会を営むつもりが無いし国に従うつもりが無いから起きます。
ではそのような人たちに社会を営むつもりになってもらうにはどうすればいいでしょう。
しっかり考え続けなければならない問題だと僕は思います。
「お前が殺されたくなければ誰も殺すなよ」というような無駄な脅しはまったく効かないということを理解してから議論を進めましょう。