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漢の花道オンステージ
漢と生まれたからには、誰でも一生の内一度は夢見る「美少女化」─
遥かな未来、一度文明は滅びた。しかし人は文明の残り火と己の肉体で生きていた。
世は熱く、雄々しく、逞しい、漢たちの時代である!
漢達の総本山『獄門堂』その門を3人の漢が通る。
門の先、金字塔型の玉座に座るは、10歳程の妖艶な銀髪の美少女。彼女こそが『獄門堂総番』獄門堂 麗音である。
「よう来たの勇士達よ。知ってはおるだろうが、復元した前文明の記録では、世に名を馳せた偉人は美少女と成り後の世にも崇拝された。
そこで今世も偉大な功を成した者には、遺跡より復旧した『ばいおぽっど』を用いて『美少女受肉の儀』を行ってもらう」
「爆轟院 錠」
「光栄にごわす」
呼ばれた声に応えたのは、重心が低く肉達磨の様な男。いかなる城の門や壁も張り手一発で突き崩す、合鍵要らずと言われた漢だ!
「岩窟閣 金剛」
「あり難き幸せ」
身長2m、巌の様な筋肉の男。10万の兵を相手に門を守り通し首都の街を救った。全身に無数の傷有れどその背中に逃げ傷無し!
「必殺庵 直行」
「応!」
見た目は普通の男。しかして野獣の様な眼光が、異様な雰囲気を醸し出している。敵陣に単独で突撃し、必ず総大将の首を切る漢である!
「お主らにはこれより試練の道を進み、儀式場へと行ってもらう」
金字塔下部の扉が開き、地下への通路が現れた。
「のうお主ら、どんな女子になりたい?儂は金髪碧眼の高身長が良いな。乳も尻も1m以上は欲しい」
通路を進みながら最初に口を開いたのは錠だった。
「我は青空と向日葵が似合う少女になりたい。夏休みに少年と冒険に出かける様な」
天井を気にしながら金剛が答えた。
「俺はこの女だ」
直行は懐から写真を出して二人に見せた、可憐な美少女が写っていた。
「14で死んだ俺の妹だ。女々しいか?」
直行は二人を見た。
「誰が嗤うものか」
「おうよ、誰に嗤わせるものか」
会ったばかりの漢達に、確かな絆があった。
【第一の試練《カワイイは作れる!!!》に続く】