乃木坂46「君の名は希望」の魅力(#005)
この曲は我々に「人生の輝き」を感じさせてくれる素晴らしい曲なのである。
この曲で「君」と表現されているものは、すなわち「希望」のことである。
タイトルの「君の名は希望」の通り、
「君」=「希望」
なのである。それも、「心の底から望む生き方」、「本当に人生で成し遂げたいこと」と言った人生全体にわたる深い意味での「希望」である。
(「君」=【「僕」が思いを寄せている女の子】と捉えることもできなくはないが、私はその解釈は浅いものだと思う。その解釈だと、「モテない男が初めて女の子を好きになったときの感想文」という、どうでもいい代物に成り下がってしまう。この素晴らしい歌詞をその解釈で終わらせるのは非常にもったいない。)
では、なぜ「君」=「希望」と捉えられるのか、見ていくとしよう。
まず、前提として歌詞に出てくる「僕」は人生に絶望している人である。それも、青春真っ只中の、自分の将来、やりたいこと、生き方について悩んでいる若者であるとするとよりイメージしやすい。
「僕」は自分のやりたいことや、心が目指すものが漠然とはわかってはいるものの、親に反対されたりして自分の進みたい道に進めなくて絶望している。
「僕」は自分の心を殺して、楽しみも何もやりたいことがない残りの人生を消化試合的に過ごそうとしているのである。
「僕」は自分の望むことを殺したまま青春の時間をしばらく過ごしてしまい、とうとう自分の存在意義を喪失して、自分を「透明人間」と思うようになった。
人間は自分の心がやりたくないことに向かって過ごしていると、自分の心の声を見失って自分の存在意義が見えなくなり、自分自身が「透明人間」かのように思えてくるのである。
さらに絶望は深まる。「僕」は自分の存在意義を疑うとともに、この世界の素晴らしさまで見失ってしまった。この世界に生きる意味がない。この世界と自分との繋がりが見えない。「僕はこの世界を拒否」するようになった。
そんなとき、「君」(=「希望」)を新たに認識するようなことが起きる。(1番の歌詞の冒頭の部分)
それも、さりげない形で。それも、「僕」が自ら拾うかたちで。
しかも、「君」は「僕」のことを待ってくれている。
自分の存在意義が見出せず「透明人間」だと思っていた「僕」であったが、「君」と偶然出会うことで自分の存在意義を見出すことができた。
まるで「厚い雲の隙間に光が射す」ように。
また、自分の存在意義を見出すことで自分と世界との繋がりも見えて、「この世界は美しい」と思えるまでに至った。
今まで人生に絶望し、「やりたいことなんてない!」「死ぬまで人生消化試合だ!」と思っていた「僕」であったが、「君」と出会うことで以前では想像ができないぐらい前向きになり、「未来はいつだって新たなときめきと出会いの場」とまで思えるようになれたのである。
もうお分かりだろうか。
上記の解説文の「君」をすべて「希望」に置き換えると、ネガティブだった「僕」が「(人生全体の)希望」を認識することで、自己実現に向けてポジティブになれたという内容の歌詞であることがわかる。
上記の解説文だけでなく、実際の歌詞でも「君」をすべて「希望」に置き換えることで、このことが表現されていることがわかるであろう。
この曲の歌詞は「希望」を「君」という【「僕」が思いを寄せている女の子】に例えることで、「希望」を持った人のプラスの心情の変化が聴き手の心に直接響くように工夫されているのだ。よって、「君」=「希望」と捉えることができるのである。
また、2番以降の歌詞全体の「君」を「希望」に置き換えると、「希望」と出会って前向きになった「僕」が、「希望」を目指して時には奮闘しながらも、自己実現を目指していくストーリーになっていることがわかるであろう。
特にCメロでは、時には「希望」に振り向いてくれないと思うことがあっても、「希望」を意識し始めたときの微笑みを忘れずに、どんなときも「希望」はなくならないことを信じて「僕」は歩いて行こうとしているのである。
そして最後の「希望とは明日の空」。
我々にとっては「明日」ですら未来である。また、「空」というものは大変広大で無限に広がっているものである。
このことから、「明日の空」を「無限に広がる未来」と捉えることができるのではないだろうか。
「希望とは無限に広がる未来」
各自が「希望」を持って未来に向かって生きることで、自分にとっても、人類全体にとっても無限の可能性を広げることができるのではないか。
人生は荒波を乗り越え続けるものである。しかし、自分の心から望むことを実現(自己実現)していくために荒波を乗り越えていく人の姿は輝かしいものである。これこそが「人生の輝き」なのではないか。私はそう考える。
以上、「君の名は希望」の魅力の解説であった。皆様も人生に絶望しているならばこの曲を聴いて「人生の輝き」を再認識して欲しい。
また、各自が「人生の輝き」を求めて奮闘し、世界が自己実現を目指す人達によってより素晴らしいものになっていくことを切に願う。