企業で高校生はどう育つのか
長野市の長野工業高校さんで講演。
「つなぐ事業」という飯田市さんと一緒にやってる「高校生と地元企業とを(その名のとおり)『つなぐ』事業」について、その内容とコンセプトについて、地元企業と高校の連携を考える「人材育成支援連絡会」主催の場でお話させていただきました。
ちょっと嬉しかったのは、普段から弊社(週休いつか)に出入りしている高校生が公休とって同行したこと。
卒業間際の彼は、1年生の時に「RESAS(地域経済分析システム)教えてください!」と会社に飛び込んできてくれた高校生です。早々と推薦で大学を決めて今は高校生活の総仕上げという時期(正確には卒業アルバムを作るのに汗を流す日々 笑)。
営利企業の利他という考え
この地域にある飯田OIDE長姫高校が取り組む「地域人教育」では「まちじゅうが教室」というキャッチコピーが示すように地域で学生を育てているわけですが(これも特異な活動なので機会があればお伝えしたい)、この「つなぐ事業」はさしずめ「企業で学生が育つ」という感じ。
対学生の雇用改善を本来の目標とする同事業ですが、わたしは会社を地域に開くこと、そして営利企業であっても利他であることが、こと学生に向ける眼差しとして正しいのではないかと考えてきました。(後述のとおり、それが、目標としている雇用改善につながると考えています。)
というのも、そもそも「地元で学生が就職せず、地域外へ出ていってしまう」というのは、当然の事実として「若い人にとって地元企業に魅力がない」ということにほかならず、それが賃金や福利厚生などの歴然たる格差という理由が大きいことは否めないにしても、若い人たちにとっては利己的な企業姿勢が嫌われているのを知ってしまったから。
ましてや労働搾取などはもってのほか。
言い換えれば、若い人の多くは人を虐げて自分が豊かになることなど、あまり好まないみたい。上の年代よりもそういった傾向がどうやら強いらしい。
・・・若い方と接する機会が増えるにつれ、そんな視座が芽生えてきました。
いや、これは何も若者だけでなく、どんな世代の一定数の人にとっても共通の考えではないでしょうか。利己と利己とがぶつかる世界の愚かさを、誰もが本来知っているはずです。
学生を信用する非常識な会社!?
さて、長野市まで一緒に行ってくださった彼と会社は、おそらく一生の付き合いになることでしょう。彼の進路はわたしどもの会社とは一ミリも掠ることがなくても、彼はわたしたちと深く結びついています。
それが「つなぐ事業」の強さです。
今回、彼の動機は「興味」以外のものはなく、もちろん報酬がでるわけでもなく、ただし一方では、長野市のそうそうたる企業の経営者や役員の方々が集う席という、とても学生が出入りできる場所ではないところへ社会勉強でお邪魔できる機会が得られたわけです。
このような場に学生を連れてゆくこと。企業人であればそのリスクや価値がおわかりになる方もいらっしゃるでしょう。
そう、企業の学生に対する利他とは、その学生を信用すること以上にありません。そして、そのような機会に人は育つのだとつくづく思います。
今はまだ非常識ですがいずれ
これは何も学生相手ばかりでなく「社員教育」においても同じことで、そもそも信用という命が息吹く組織では、「社員を教育する」という概念は徐々に薄まっていく感覚を覚えます。
人と人とはもっと信用できるのかも。いや、そうありたい。親御さんや公休許可を出された学校の信用もまた、ひとつ象徴的な事実です。
長野工業高校の先生の驚きが印象的でした。そう、とても非常識なことをわたしたちはやっています。今はまだ。
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