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尊敬されるオッサンと失望を生むオッサン

コメント欄に「知らない」というコメントが並ぶ。

「中村哲さん、知らない!!??」
「え、知らないの???」
「知らない人もおるのか!!!!」

すこし驚きながら、「(わたしは)尊敬している」と語った配信者。
金曜日の深夜、ながらで立ち上げていたTikTokに飛び込んできたベトナム人留学生のライブ配信です。

話の様子から、どうやら1週間後に控えた日本語能力試験の問題を解いているようです。

見ず知らずの人たちが温かく見守る試験勉強


一見して外国人だと分かる日本語。

とはいえ、日常生活には全く不自由のないレベルの配信者。

でも、漢字には苦戦していて、しかし、読めないものはコメント欄を通して「見ず知らずの」視聴者たちがこぞって教えてくれています。

・・・なんだろう、この状況(笑)

「(例文)日本では、将来について楽観的ではない若者が増えている」
「え?ほんとう?この問題、まちがってるよ」

・・・と呟いたかと思えば一転、

「間違っていると言うのは、問題つくった人に悪いさ」

と前言を正したり・・・(笑)。

異国の地でひとり勉学に励む留学生、という背景に加え、配信者の語り口から伝わってくる、優しく柔らかな人柄に、私も含め、多くの視聴者が引き込まれてゆきます。視聴者数は・・・深夜にも関わらず、なんと1.2k。


温かく見守る視聴者や勉強を手伝ってくれる視聴者に感謝しながら、「見ず知らずの仲間」と一体感をもって進む、深夜の試験勉強です。

「日本人である」というだけでメンターになれる場。

人助けと、感謝と、自己肯定が混ざり合う、素敵でもあり、不思議で稀有な時間が流れていきます。

・・・さて、冒頭の中村哲さんについてのやりとりは、勉強の合間の休憩時間に、同氏の写真が載った『SDGs』の冊子を画面に映した時のことでした。

「みんなはSDGs何番が好きさ?」
「わたしは1番さ」

なんて、やり取り。
ちなみに、SDGsの1番は「貧困をなくそう」です。

・・・偶然「出会った」外国人に関心しきりでした。


ふと思い出した、絶滅して欲しいおっさん

以下はこの配信者とは全く関係のない出来事ですが、この配信を視聴していて、ふと思い出したことがあります。

それは、とある日本人男性(50代)の公の場「◯◯委員会」での発言でした。「いまどきの若者」という話のながれで、このおっさんが語ったエピソードは、

都会にあるコンビニのレジは、どこも外国人ばかりだった。
「大変な仕事」であるコンビニで働く外国人は(身の程を)わかっている。
今の日本人の若者は苦労を避け、「そのような仕事」をしないからダメだ。

というものでした。この発言の違和感。
コンビニの仕事を労う意味ではなく、蔑視的な意味と感じる「そのような仕事」と表現していた点、加えて外国人を下にみる目線にあります。

彼が言う「そのような仕事」に外国人が就くことは疑問もためらいもなく当たり前。加えて、日本人でも、若者ならば苦労を知るためにやるべきだと。

ほう。

果てしなく上から目線だな、おい。

私は自分がおっさんであることも忘れ、これだからおっさんは絶滅しても良いなぁ、とすかさず思ったのですが、不思議とこういう人がそれなりに市民権を得ているから鬱陶しい話です。

現代日本のおっさん達は、たまたま先進国に生まれて、たまたま経済発展著しい時代に都合よく生まれたことで、今ある自分がそんな偶然の下駄を履かせてもらっていることに気付いていないのだろうか。

だから、こんな不遜な思想なだろうか。



N1を取得し、「日本の会社に就職すること」を夢見ている先の配信者。
そして近い将来、日本のおっさんにたくさん遭遇することになるであろうこの配信者。

私は、せっかく好きになったこの国に失望しないよう祈るばかりです。

夜12時までアルバイトをして、深夜までN1試験対策に挑み、大学では日本人と同じクラスで日本語で経営学を学ぶ・・・。

日本のおっさんの一人である私は、既にあなたを尊敬しています。
あなたが中村哲さんを尊敬なさっているように。

さて、わたしたち株式会社「週休いつか」も、尊敬しあえる仲間が集う会社でありたいと思います。この記事にピンと来た方、一緒に働きませんか?いつか、こんな素敵な留学生が就職先に選んでくださるよるな会社になりたいです。

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