〆たてのアジ、釜で炊く釜飯、もぎたての金柑
低気圧の雲の中をヒュインヒュインとあえぐように飛び熊本空港に到着。
車で一路、南に向かって2時間ちょっと。
えびのという高原の町について昼ご飯。
内陸の町。つまり海のない地域にあって大きないけすで活きた魚を活け締めでたのしむことができる「十兵衛」という店にくる。
内陸とは言え車で一時間ほども走ると九州南部の海にアクセスできるという、見方を変えればいろんな海の魚を集めるに適した場所。
今日はアジがおいしいという。一尾刺し身につくってもらう。
目がキラキラとうつくしく、氷の上に置かれた刺し身を口に含むとほんのちょっとだけあたたかい。ついさっきまで活きてた魚…、という証拠。ゴリゴリブリブリ、歯ごたえたくましく九州独特の甘い醤油がその食感に負けぬ味わいくわえておいしい。ウットリです。
釜飯にヒレカツという定食をもらう。
本来、味噌汁がつくところそれをうどんに代えてもらってひと揃え。
ここの釜飯は正真正銘、注文してから炊き上げ仕上げたもの。
お店で売られる釜飯には「釜(に入った)飯」と「釜(で炊いた)飯」の2種類がある。
提供時間を気にする店は、あらかじめ炊いたご飯を釜に詰め温め直すだけの窯に入った飯を釜飯と称してだすけど、米から炊き上げる釜飯とはやっぱり違う。
ここのは釜で炊いた釜飯。
蒸らし終わった直後のご飯はみずみずしくてしゃもじをすべるように茶碗の中になだれこむ。出汁の風味がひときわ強くお米の粒のひとつひとつを舌が感じるような味わい。それが徐々に水気が抜けて、ふっくらとしたご飯になっていくのがなんとも味わい深い。
提供時間は多分20分ちょっとかかったんだと思う。でもそれもアジの刺し身を食べてるうちにあっという間に出来上がった…、って感じでござった。食べ終わったアジの骨はバリッと揚げられせんべい状になって食卓に戻ってくる。バリバリ食感たのしくて、油の香りが香ばしい。噛みしめると魚の旨味が口に広がり、おいしい釜飯のよき相棒。
サクッと揚がったヒレカツも、ふっくらさっぱり、おゴチソウ。
もともとうどん屋さんからスタートした店。うどんのおいしさはお墨付き。やわらかでなめらかなうどんに昆布の甘みがどっしりとした汁がからんでお腹がやんわり、あったまる。もぎたての金柑食べて、すっかり気持ちも癒やされた。