「自主研のススメ」30.進化の過程
この7月から参加し進化思考(https://amanokaze.jp/shinkashikou/)を学んだ「進化の学校」も、9月末に最終日を迎えました。これまでnoteでも触れてきましたが、僕は進化させたい対象xを「自主研」として、進化ワークに取り組んで来ました。そして最終日に行った自主研をバックキャストで考えたワークについて今回は紹介します。
このバックキャスト。書いた本人がいうのも何ですが、自主研の進化にかかわらず、自治体職員はもっと本気になってアップデートしていかなければならないと、危機感を抱かずにはいられない内容となりました。。
2040年の自治体
2030年から定年が70歳へと延長されたことから、全国の自治体では第二次ベビーブーム世代が未だ現役で働いていた。しかしながら、業務内容についていけず厄介者扱いされる職員も多く、年金受給開始となる80歳までのセカンドキャリアを特に見いだすことができないことから、何とか組織にしがみついているというのが現状だ。
何故「厄介者扱い」されるほどまでに、業務についていけなくなったのか?
遡ってみると、大阪万博が開催された2025年から自治体職員の働き方は変化が起きはじめていた。
デジタル庁が発足してから3年が経過した2024年頃から自治体業務システムの統一化が加速し、翌2025年には全国各地で使用する多くのシステムが一気に統一が進み、全国標準化された。それにより、システムの構築・運用コストが軽減されただけでなく、個々の自治体が保有していたビックデータが容易に集約され、利活用できるようになった。使えるデータが格段に広がったタイミングで自治体事務AI研究が急速に進み、2028年には社会実装化されはじめた。それから2年経過した2030年(ネオ・DX元年)には、自治体業務の超変革が現実となって動き始めた。
時代に応じて行われる新規事業企画や住民との対話の場、そして福祉部門における相談支援といったAIが苦手とする業務を除いて、ほぼ全ての事務処理が自動化された。各種証明証取得は勿論のこと、保育所や介護サービスの申請から、道路や下水、公園等ハードに関する届け出や要望等も全てがスマホから行われるようになった。市民サービスに限らず官房部門においても、職員採用から人事異動、定数管理や予算編成までもがAIによって一瞬にて処理ができるようになった。正職員は、AI構築時は仕組み化を担うという役割があったが、一度AIが動き出してしまうと、正職員が担う業務領域は極端に狭まっていった。
これらの変革を経て、自治体では次の3分野にかかるスキルをもった職員が特に重宝されることになった。
(1)日々アップデートされるデジタル化をキャッチアップできるスキル
(2)課題解決に向けて、自ら立案・調整し事業化する総合企画スキル
(3)多様な意見から納得解を導き出すことができるコーディネートスキル
本格的に加速化した人口減少時代。要は少ない支え手で高齢者を支えるために扶助費コストは増し、一方で国内経済消費総量が減少していくために税収が減少する時代において、できうる限り住民の福祉の向上を図るためには、これらのスキルが求められるようになったのは必然であった。
さらに、世界的にみてグローバル化は、2020年に起きた全世界規模のパンデミックで一時期大きく停滞したが、2022年に特効薬が開発されて以降は、抑圧からの反動も重なり、世界規模で人流が加速し、グローバル化の波は過去にないほど大きな波を起こし、国境の壁は総じて低くなっていった。
そうしたグローバル化にあわせ、貧富の差も広がった。だからこそ、SDGsの「誰一人取り残さない社会」の構築に向けて、過去にないほど自治体は難しい舵取りが期待されるようになった。
2040年、現在活躍している職員は、若く現在に適応できている人材であったり、元々適応性が高くてどの時代であっても優秀な職員であったりという傾向のほか、その他の要因として、自主研等で学び続け、かつ組織を超えて越境し日頃からアンテナを高く張っていることがあげられた。特に、自ら企画・調整するスキルは、日頃の自主研活動で訓練されていることが多く、そうした人材は越境に伴って情報収集力も高かった。
こうした分析が自治体人事界隈で広まるにつれて、多くの自治体で自主研が強く推奨されるようになり、かつてマイノリティの集団であった自主研はメジャーな地位を得るまでにいたった。
ここで大きな副次的効果が現れた。自主研活動をすると職務へのモチベーションが高まりやすい効果があるため、その結果じわじわと組織に、さらに地域にもポジティブマインドが広がっていき、気づいたら自主研は地域におけるウェル・ビーイングのキッカケづくりにまで発展していったのだ。
2040年、自分も他者も幸せな気分を感じながら、まちへの貢献を果たすことができるよう、自主研の活動は今日も行われている。
振り返り
こうして書いてみて、個人的に思うことがいくつかあります。
・共感を得やすいよう文面の完成度を高めることが重要
・政治家の訴えはフォアキャストばかりでバックキャストがないよね
・実は自治体に限らずに民間企業でも状況は似たようなものではないか
そう、自主研・自治体職員にかかわらず、今を生きる一人の社会人として、日頃からこうした危機感を持ちつつ、今できる最善の行動を起こすことがとにかく大事ということが見えてきた感じです。
なお、上の気づきでも書きましたが、文面の完成度を高めることができれば、こうした未来からのバックキャストを世に広げることができるはずと捉えています。そこで、以前noteでも紹介しましたホルグによる「地方公務員オンラインサロン」の中でも仲間を募って文面の完成度を高めるための場を設けて、数人の仲間と一緒にこれから動いていこうと画策しています。
もし、進化思考と未来の自治体に興味がある方がいらっしゃいましたら、まずは皆さんも『進化思考』をお読みくださったうえで、僕らと一緒に2040年からのバックキャストワークをやってみませんか。希望ある方からのご連絡をお待ちしています。