コミュニケーションの課題を解決する。
自社の経営層から全従業員へ向けたメッセージの中で「生産性の向上」「スピードの向上」という言葉があった。情シスは経営層に応えるのが最大のミッションであるため、その言葉にどう応えられるかを考えてきた。
ビジネスチャット等の利活用により量のコントロールは可能となるが、質を高めるためには従業員のチェンジマインドが必要である、というのが本記事の結論です。
コミュニケーションの量と質
情シスが、開発部や営業部の方たちの「生産性を向上する」「ビジネスのスピードを向上する」ために何ができるか。
私が考えたのは、コミュニケーションの量と質を向上させること。それにより、結果として「生産性」と「(ビジネスの)スピード」が向上すると考えました。情シスが得意とするテクノロジーの力を借りて、社内のコミュニケーション性能を向上させます。
課題1(コミュニケーションの量)
メールが大量に飛び交い、公開範囲もあいまい。1対1への伝達ならまだしも、多数のアカウント宛に投げて情報を共有するメールという手段には限界があります。
メールや電話のように、人から人へ投げ合うコミュニケーションスタイルでは、コミュニケーションした結果を保管、管理、検索するのが難しい。会議や電話の後、そのやりとりをエビデンスにまとめる手間がかかる。生産性とスピードが落ちる。
人事異動や組織改革による業務の引き継ぎ時にも個人アカウント同士で投げ合うコミュニケーションでは文脈(コンテクスト)を引き継ぐことが難しい。
課題2(コミュニケーションの質)
メールや電話というコミュニケーションでは絶対に高めることができない機能がある。それは「自分は何者で何ができるか何ができないか」という状況を不特定多数と共有すること。
インターネットで、SNSやブログなどで日常的に行われている情報発信のことです。あれもひとつのコミュニケーションだと思うんです。
自分の考えを発信し、ネットワークの海に流す。それを興味を持った人が拾う。そういうことをやりつづけることで、その付近の人間同士が、人となりに触れ合っていく。あの人はこんな分野が得意そうだ、こういうことは弱点だが、こういう部分は圧倒的に強い、など。
メールや電話では、やりとりが外に漏れません。外に漏れないという利便性というのは理解してます。そういう機能も特定の条件下のコミュニケーションにおいては必要です。ですが、オープンなコミュニケーションがやりにくいというのは、コミュニケーションの質を高めるためには機能不足ではないでしょうか。
社内でオープンにコミュニケーションする手段を提供することで、情報に価値が生まれ、それを繰り返すことで質の高いコミュニケーションができるようになると考えます。
解決するために
解決1(コミュニケーションの量)
課題解決の糸口として、O365導入時にMicrosoft Teams(以下、Teams)を社内で運用開始します。
TeamsやSlackが成し遂げられる成果や効果は無限大なのだけど、それを達成するためには、そこに参加する人たちに何ができるか、どう嬉しいか、どう使うことにするかを利用者目線に落として浸透させていく。
運用ルールやガイドライン作りなども重要な要素ではあるが、それを理解して使ってもらうためには、各組織の内側から運用を変えてもらう必要がある。アンバサダーと呼ばれるような、現場を回しているキーマンを見つけて仲間に引き込。
解決2(コミュニケーションの質)
ビジネスチャットを社内に展開するタイミングで、情シスが突然「組織の中のコミュニケーションはオープンにしましょう!」などとは言いにくい。
オープンなコミュニティーを形成すること、オープンなコミュニティーであるべきという思いが社内で共有されていることが必要であり、これができなければ残念ながらコミュニティーの質を高めることが難しい。
これは情シスだけでは抱えきれない範囲であり、経営層を巻き込みながら会社全体で変化していくべき課題だと思う。
従業員に対してチェンジマインドを行い、社内でオープンなコミュニケーションができるよう進めていきます。それが社内のコミュニティーの質を高める時に必ずや必要になるから。
以上が本文です。以下は付録で調べたことを載せておきます。
Appendix 1. 心理的安全性
Googleのリサーチチームが発見したのは「(チームの効果性が高いチームに)固有の5つの力学のうち、圧倒的に重要なのが心理的安全性だった」というもの。
Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る
※心理的安全性とは?
心理的安全性とは、提案をしたり、質問をしたり、懸念していたり、失敗したことによって、罰せられたり、恥をかかされたりすることが無いことだと信じている状態。
心理的安全性は、会社組織(チーム)の中にあるマインドとかカルチャーとか、社風とか、そういうものとリンクするものだと思うんですね。心理的安全性が低い場合は、例えTeamsを導入してもオープンなコミュニケーションは生まれない。
自社がTeamsを導入しコミュニケーションの性能を最大化しようと考えれば、(情シスとしては)パブリックチャンネルを活性化したい。しかし、メンバ(従業員)のマインドが変わらなければ、DMやプライベートチャンネルばかりが利用される結果になり、当初から目的とする成果や効果には到達しない。
Appendix 2. 参考スライド
ところてんさん(@tokoroten)のスライド「チャットコミュニケーションの問題と心理的安全性の課題」はとても興味深い。
Appendix 3. メールからTeamsへの移行
Twitterで下記のツイートを見かけました。とても良い。
以上。
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