組織内の情報の伝達ロスを減らしたい
なぜするか?
O365の効果(狙い)を検討するうえで、現在の社内の情報共有が抱える問題点を調査していた。その過程で考えついたのが「情報の伝達ロス」だった。現在の社内ではメールとファイルサーバと音声電話で情報を伝達しているが、その過程で、情報のロスがあらゆる局面で起きていて、それを改善したい。
情報の伝達ロスを改善することで、ビジネスのスピードが上がる。事業部門は情報の伝達(コミュニケーション)にかける時間が減り、本来業務に集中できる。
本記事では、「情報の伝達ロス」=「コミュニケーションがうまくいかないことによるロス」と考えて、書いていく。
何をするか?(目的)
メールという手段は、非同期型のコミュニケーションである。応答時間が限られている場合「○○月○○日までにお返事お願いします」などと本文に記述しメール送信しているが、けっきょくのところ、応答時間は依頼先の人に依存しており、そのケアのために時間を奪われることになる。1つ1つのメールにかかる無駄な時間は小さくても、それが積み重なれば大きい。
また、自分宛ではないメール(cc)も本文を読まない限り(自分にとっての)業務優先度がわからず、けっきょく開封するしかなくなる(完全なる情報伝達ロス)。
音声通話という同期型のコミュニケーションが古くからあるが、常務多忙中との理由で着信できないケースが多発しており、日常的なコミュニケーションの主にはなりにくい。
「メール(非同期型)」から「メール(非同期型)+即時性を持つ手段(同期型)」への変化をする必要がある。
どうやって?
O365を社内のコミュニケーション基盤と定義する。全社員にここでコミュニケーションをとることを周知する。つまり、音声通話、メール、チャット、やりとりするファイル、コンテクスト(文脈)等、過去から現在までのあらゆるコミュニケーションリソースを1か所に集める。
コミュニケーションリソースを1か所に集めることで、情報の伝達ロスを減らす。
何が起こるか?
社内のいくつかのシステムに分散していたコミュニケーションリソースが集まる。コミュニケーションの仕組み(手段)、コミュニケーションの記録(コンテクスト)、コミュニケーション後の成果物(ファイル)が1つの場所にまとまっている。視認性が高い。
業務改編等により、プロジェクトに新規で追加されるメンバも、コミュニケーションリソースが集まっていることで情報を伝達しやすい。
対象者は誰か?
コミュニケーションは送り手と受け手が同じ手段を利用していることが前提で成立するものになるため、全社員を対象としたい。
いつまでにするか?
スモールスタートで、徐々に適用範囲(適用部署)を拡大していく。まずは、O365導入に積極的に協力していただける事業部門を選抜し、情シスが全力サポートを行うなどで立ち上がり時の支援を実施。
懸念事項は?
全社共通のコミュニケーション基盤としたいが、部署によっては従来のコミュニケーション基盤(音声通話、メール、ファイルサーバ)を使い続けるケースが考えられる。部署レベルか、個人のレベルかわからないが、音声通話もメールもファイルサーバも無くすわけではないため、懸念事項である。ファイルサーバをO365(SharePoint)に完全に移行するか(移行できるか)を事前にしっかり議論しておくことが必要との認識である。
過去のコミュニケーションはどうだったか?
20年前、30年前の社内のコミュニケーションの様子を振り返ってみると、1か所に集まって仕事をする(同じ時間に出社して席を並べる)ことで情報の伝達ロスを減らそうとしていた。過去の働き方が勤務時間やロケーションに厳しかったのはそのためだろう。
もう2020年になっている。情報の伝達ロスを減らすためにできることは、1か所に集まって仕事をする以外の選択がある。1か所に集まってやることでビジネスの仕事が進む業務はそれを選べばいいし、そうでないものはそうでない選択肢をすることが必要だ。各業務の情報伝達ロスが最小化できる選択を取るべきだと思う。
まとめ
情報の伝達時に、作業時間のロス(コミュニケーションロス)が発生しているという視点で訴求したい。コミュニケーションをとるためにかかっている時間を減らし、本来業務に集中できる時間を増やしてもらう。
以上。