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物売りの風景

                                   2024.04.30 さかい 悠

 中国駐在時代 街に出るといろんな物売りの姿を見かけた。
今回は物売りの風景をご紹介して見よう。

 物売りとは拠点(店)を持たず、車(リアカー、荷車、自転車、など)に商品を積み、売り歩く 若しくは商品を天秤棒、籠、袋に入れ、あちこちの路上に広げ商売をする 日本で言う行商のスタイルである。
 以前は日本でも見慣れた光景、しかし昨今、ほとんど見なくなった。

 中国でも、同様に見かけなくなった、赴任当時の2000年代前半の頃は、まだまだ日常的に商売が出来ていた しかし、昨今はめっきり少なくなった。

 理由は。食べ物を売る場合、衛生管理面で厳しくなった、当然と言えば当然である。
またそれ以外の物売りでも、景観(特にゴミ問題)、道路事情、交通ルールの観点からなかなか許可が下りない 特に大都市では取り締まりが厳しく成った 当時はその面で、まだまだ規制は緩かった。

 実際にどんなものが売られているのだろう 商品別に少し触れてみよう。
 圧倒的に多いのが大都市近郊の農家で栽培する野菜類が多い 葉っぱ類を含めた新鮮(採れたて)野菜 きゅうり、なす、人参、豆類などいわゆる、一般的な野菜が多い。

果物類 これも日々食する為、よく見かける。
(みかん、バナナ、サトウキビ、パイナップル、リンゴ、トウモロコシなど季節によりライチ、栗、ヤシの実など)

 野菜、果物以外で食べるものと言えば少しお腹が空いたときに重宝する串もの、焼物、更に飴、団子、綿菓子などがある 道端で食べる 歩きながら食するといった光景もよく見かけた。

 食べ物以外ではどんなものが有るだろうか! 
街中でよく見るのはキャラクターの絵が付いた風船売り、どこでも見る。 
それだけ需要も多いのか? 特に遊園地、公園の入り口で必ず見かける。

 それ以外の物売りも紹介しておこう!
観光地ではよく目につく 骨董品、古い時代のガラクタ類、中には怪しげな偽物も、売られている。
場所も様々で1か所に同業者が一堂に集まる場所も有れば単独で歩道橋の上、中には階段のど真ん中に商品を並べ、売る者もいる。

 珍しいものでは地方から出てきたであろう 薬草類、漢方薬、蜂蜜などを売る者もいる。
薬草はある程度知識が無いと買うにもなかなか難しい 香辛料なども売り物にしている 小さなハカリを持参し、少量販売する。

 変わったところでは観光地の駅、バスステーションの近くでその地の観光名所が載っている地図、観光ガイドなどを売る人達も以前はいたが最近は見かけなくなった。 
 スマホの情報、ナビ機能が手軽に入手出来る為、紙の地図など、ほとんど使わなくなった。
スマホも使うが昔ながらの紙の地図も私は捨てがたい!

 そういえば最近見かけなくなった商売で、信号待ちをする運転手に新聞を売る、売り子も見ない。
危険もさることながら、地図同様スマホでニュースがリアルタイムに閲覧できる為、消えてしまった商売の一つである。

 その他 珍しい、商品として自分で作った、玩具、鳴り物、手作り品を売る人も見かけた。
この手の商売は買う事もさることながら、作る過程がとても興味が湧く。
 手際よく作る過程を見ていると面白い。 その技術(手さばき)の確かさに思わず買ってしまう 中国人も手先が器用な人が多い。

 この様に物売り商売は日本では遥か昔になくなってしまった、中国でも、消えつつある商売
 季節を届けてくれる商品は情緒が有り、残したい。
 
 説明の通り,衛生面、規制の面で無くなる運命なのか!

 実際に言葉ではなかなか説明不足の為 商売風景の写真を幾つか紹介して見よう。

中国南の地方でよく見かけるサトウキビの売り子 皮を剝いてくれただけのもの 甘い汁が美味しい! 
食べかすをそのまま路上に吐き出す為、環境面で問題と成る。
蒸したトウモロコシ、焼き芋なども商品としてよく見かける これも小腹が空いたときに重宝なおやつである。
パイナップルもよく見かける 丸ごと売る場合も 有るが四つ切にして串刺しのものが一般的
この写真の場所は玉は小粒だが非常に甘いと評判のパイナップル
日本のミカンと比べると少し小ぶりだが甘さは十分 ミカン好きにはたまらない 値段も安くて量も多い。
路上にシートをひきヤシの実を売る人も見かける ほとんどがゴミとなる 後始末が大変!
天秤棒に栗の籠を担いで売り歩く ナッツも手に持ち2種類の商品を売る 女手には結構キツイ商売 たくさん売れると帰りも楽に成る!
赤い団子のお菓子 買って食べた事は無いが街中で食べながら歩く光景をよく見かける。
ミツバチ農家が蜂蜜を小分けして売る商売 ミツバチの巣から分離して瓶詰めにする
その作業を物珍しそうに眺める人たち。
天秤棒を担ぎ、籠の中に香辛料とお茶が入っている 果たして1日商売してどれ位の売り上げに成るのだろう! 
まだあどけなさが残る女の子である。
歩道橋の階段中央に商品を並べての商売 通る人は必ず目にする 当然こんな場所は通行の邪魔に成る、規制の対象 しかし 取り締まってもイタチごっこでなかなか減らない。
同じく歩道橋の通路でいろんな商品を並べ商売をする アクセサリー、衣類、靴下、日用品など。
路地の両脇に骨董品を並べ売る商売もよく見かける 偽物も多いと聞く 見るには楽しい!
こちらの光景は果物を売る売り子と同じ場所で商売をする 人通りも多く、商売をするには立地も重要今日はこの場所で商売を始めるのだろう!
自分の車のボンネットに靴を並べ、街ゆく人に売る者 こんな商品の並べ方も面白い!
信号待ちの僅かな時間を利用して、新聞を売る商売 ここ最近は全く見かけない スマホの発達で紙の新聞を買う人は少ない。
こちらもよく見かける物売り キャラクター風船 特に遊園地、公園の入り口には必ずある。
それにしてもいろんな種類、形の風船がある。
鞄の中に道具、材料一式を用意し、手頃な場所で作ってきた物を並べる 更に作る手順を見せながら商売をする。 物作りに興味が有る人は完成まで見ている 値段を聞くと少し割高と感じる。

 この様にいろんな商品、商売のスタイル、売る場所、そして売り子の年齢層も千差万別
コロナの影響で渡航の機会が減ったことも有り、街中の様子は解らないが随分と様変わりしている事と思う。

 今回、物売り風景をご紹介しましたが今後全くなくなるのはチョット寂しい。
衛生面、規制の面で何かしら方策で解決できないだろうか!
 AⅠが発達する今後の時代、ロボット若しくはそれに準じた、売り子が街中に活躍するアイデアは無いものなのだろうか? 
 例えば、人は関わらなくても、衛生面で管理された売り子ロボットが活躍しても良さそうな気がする。 街中で必要な品物が歩いて、いながら調達できる、移動売り子的なロボットは実現できないものだろうか? 
 
 売り子の風景を懐かしく感じる昨今 将来は果たしてどんな商売の風景が街中で見られるで有ろうか! 
 その頃は街中を歩く人間など限られるかもしれない 未来は益々昔人間にとって、感情の無い世界と成ってしまうのか!

 私など高齢者は生きる為に今のシステムに順応していくしかないのだろう それだけ人は何事にも進化し続ける必要がある。 事実、タッチパネルシステムで商売、窓口対応が必修の世の中 果たして高齢者が対応できるのだろうかと心配したが何のことは無い、日常的に街中はそのシステムで概ね、機能している。  やってみる、運用して見る その繰り返しで改善がなされ、使いやすくなる。
所謂、トライ&エラーの繰り返しが改善につながる。

 売り子の風景がとんだ方向違いに成ったが 少しは情緒も残してほしいと願う。
その様に感じるのは私だけの拘りなのだろうか!

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