パセリカレーの責任
パセリカレーをときどき作る。平松洋子さんのお馴染みのレシピだけれど、これは美味しいし、簡単だし、何というか、ストイックで気分が上がる。パセリと肉だけという言い切りも素晴らしい。実際にはスパイスやトマト缶、仕上げにすりおろしたにんにくなんかも使うのだけれど、細かいことはいいんでないかい。大きく、パセリと肉だけ。そういうところも好きだ。肉は合い挽きを勧めているので、しばらく合い挽きで作っていた。これでも十分美味しいのだけれど、パセリカレーは平松さんがモンゴルなんかを旅しているときに実際に食べたか、イメージしたかしたらしいので、そのときの肉のイメージは羊だったのかもと思い、今回はラムの切り落としを買い込んだ。
包丁で叩きながら、ざくざくと粗く切って鍋へ。平松さんお勧めのS&Bの赤缶から大さじ3杯程度スパイスを肉に振りかける。火を入れると肉が油でコーティングされてスパイスの味が肉に入りにくいんだそうだ。今回も言う通りに作る。この段階で好きに他のスパイスを加えてもいいことになっているので、ナツメグとマスタードシード、チリペッパー、クローブを加えて肉に混ぜ込んでいく。ある程度混ざったら、点火して炒める。半分以上肉の色が変わってきたら、ここでざく切りにした大量のパセリを投入する。パパイヤ鈴木の頭3個分くらいのパセリ。初めて作ったときには、ぼくの生涯でこんなに大量のパセリを一度に料理したことがない!と感じ入ったが、もうそんなふうには思わない。思わないどころか、このパセリカレーはわが家の定番メニュウにしたので、パセリが足りないと困るからと、狭い自家菜園にパセリの苗を3株植えて春先から育てていた。案の定、近所のスーパーであるだけのパセリを買ったが、足りない気がして、帰ってきて菜園のパセリも10枝くらい摘んだ。とにかく、3回くらいに分けてパセリを鍋に投入する。これがダイナミックで実にいい。何かものすごい、いい仕事をしている錯覚がある。
今回はラムだからいつもよりさらに美味しいことは間違いない。ウチの家族は好き嫌いがないので、助かる。ラムはみんなの大好物でもある。こんなカレーばかり作っているから、普通のルウのカレーはあまり歓迎されなくなっている。それはぼくの責任でもある。責任を果たすためにぼくは今日もキッチンに立つ。