ベタ問を味わおう(1)なぜ山
こんにちは、しーやです。
あけましておめでとうございます。
さて、クイズの世界には「ベタ問」という言葉があります。
これは「あまりにもあちこちで出題されていて、手垢が付いてしまったような問題」のことです。「初心者が覚えておくべき基本的な問題」というニュアンスでも使われます。
そんなベタ問ですが、そんなにしょっちゅう出題されるにはそれだけの出題価値があるわけで、この企画ではそのベタ問を改めて味わってみようと思います。
そんな企画の第1回はこちら。
【問題】「なぜ山に登るのか?」と聞かれて「そこに山があるから」と答えたと言われる、イギリスの登山家は誰でしょう?
【正解】ジョージ・マロリー
「ベタ問といえばこれ」といってもいいくらい代表的なクイズです。「なぜ山」といえば「マロリー」とすら言われるレベルです。
また、そうでなくても「そこに山があるから」というフレーズは有名なので、どこかしらで聞いたことがあるという方も多いでしょう。
さて、この「そこに山があるから」ですが、上記の問題文にもある通り、発言者とされるマロリーはイギリスの人物なので、この発言は本来英語だったはずです。
それでは、このやりとりの英語での原文を見てみましょう。
"Why did you want to climb Mount Everest?"
"Because it is there."
「あれ?」と思った方もいるかもしれません。
この文章を直訳すると、「なぜあなた(マロリー)はエベレスト山に登ろうと思ったのですか?」「なぜならそこにそれがあるからです。」となり、この「it(それ)」は文脈から明らかな通り「エベレスト山」のことです。
なんとなく「そこに山があるから」と聞くと「ありとあらゆる山を制する」というようなニュアンスを感じ取ってしまうかもしれませんが、実はマロリーが目指していたのはエベレスト一択だったのです。
このやりとりは、1923年、ニューヨーク・タイムズの記者とマロリーの間で交わされたものとされており、1921年と1922年にエベレストに挑戦した彼の熱意が現れたものと考えられます。
ちなみにマロリーは、この発言の翌年、1924年にもエベレストに入りますが、この時に行方不明となり、遺体が発見されたのはずいぶん後の1999年のことでした。
というわけで、ベタ問もこのように味わい直してみると色々な発見があるかもしれません。
今後もこのような記事を色々書いていくので、どうぞよろしくお願いします!